見出し画像

明るさという画集

どういうきっかけで知ったのか、今では定かではないのだが、ある時、Twitterに現れた、東京から京都に引っ越してきたというひとをフォローした。アイコンは耳の大きな猫のような狐のようないきものだった。

会ったこともない、qpという名前のそのひとは、沢山のフォロワーがいて、自らは誰もフォローしないというひとで、なにやら水彩の絵をかくひとのようだった。本の装丁などのお仕事もされていることは、後のツイートで知った。

なぜフォローしたかというと、同じく東京からの引っ越し組の自分には、Twitterにあげられるそのひとの訪れる場所が、どこもとても新鮮で、素敵で、愉快で、味わい深かったからだ。おお〜!そんなところがあるのかあ、そして、そんなものがあるのかあ、と参考になったし、その精力的な街歩きに感心もした。

そう遠くないところにお住まいのようで、自分の知っている風景の画像が時々現れる。食事処や甘味店、蚤の市など、なかなかお好みが渋かったりする。町並みの中で見つかる、おっ!となる発見画像もいい。自分も行ってみたい見てみたいと何度も思った。

てなわけで、このひとを、こっそり自分の「街歩き師匠」に認定している。まあ、迷惑をかけるわけではないから、いいかな、と。勝手に。

いつだったか、あるイベントでこのかたの本が売られると知った。そこで「明るさ」という画集を入手した。

画像1

印象的な薄い水彩絵の具が滲んだ表紙をめくると、

画像2

とある。

薄い絵の具。淡い色合い。さまざまな、小さな、独立した、輪郭のやわらかなもののかたち。それらが繰り返し整然とならんだり、混沌とてんでに重なったり、せめぎあったり、あいまいにまざりあったりする世界を切り取る絵。

画像3

このなかのどこに身を置いても、すっと馴染めそうでありながら、ずっとそこにいたら、きっと寂しくなる、そんな感じの世界。

画像4

↑が、一番好き。

この画集を手にした帰り道に、イベント会場に近いのばら珈琲さんに寄った。

画像5

このかたのツイートにのばら珈琲さんも紹介されていて、店主さんと香水の話などをしたとあった。

店主さんに画集を見せると、ふむふむと眺めながら「ああ、あのひとね、まあ、イケメンだったわね」とにやり。見えないひとの足跡を見つけた。

会ったことも会うこともない人だけど、イケメンでなにより、とか思ったりして。ふふ。


読んでくださってありがとうございます😊 また読んでいただければ、幸いです❣️