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中国茶のある暮らし――12月のお茶「龍脊古樹紅茶」

長い歴史に磨かれた豊かな中国茶の世界。
四季折々の甘味や食に合わせるお茶を、中国政府公認高級評茶員・茶藝師の澄川鈴が提案します。
心に余裕がなくなりがちな日々だからこそ、めぐる季節を愛で、自分を癒すひとときを。
そして、お茶を通して見える中国の人々の素顔と暮らしにも、ほんの少し触れていただけたらと思います。


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12月のお菓子「ショートケーキ」

 ふと気付けば、きょうから12月ですね。
 振り返れば今年もコロナに翻弄された1年でした。中国に行くこと叶わず、残念無念。
 そんな寂しさを、せめて美味しいケーキと中国紅茶で紛らわせようと思います。
 選んだのは、神戸の名店アンテノールのショートケーキと、広西チワン族自治区の龍脊古樹りゅうせいこじゅ紅茶です。

 じつは紅茶も中国が発祥の地です。
 この龍脊古樹紅茶は、私の中国茶の先生の後輩が、数年前に現地の皆さんと開発した茶です。
 中国紅茶の中でも群を抜いて美味しく、ストレートで飲んでも甘みを感じます。大好きな茶なので、皆さんにご紹介することにしました。
 現地には、日本では流通していない茶がまだまだたくさんあります。そういった茶に出合えるのも、中国茶の楽しみのひとつではないでしょうか。

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 さて、中国留学中のクリスマスの思い出を振り返ってみたのですが、これといって特筆できる思い出がありません。これはまずい……。
 というのも、中国では欧米や日本のようにクリスマスが特別なイベントにはなっていません。旧暦の春節を盛大に祝うため、大晦日の夜こそ世界時間に合わせてカウントダウンはするものの、元旦はわりと静かに過ごします。

 私は当時学生でしたから、クリスマスから新年にかけてはテスト期間となり、大量の課題とテスト勉強に追われていました。
 毎年友人と食事をするくらいで、あまりイベント感に浸ることなく過ごしていたのです。
 なので、今回は少し真面目に中国茶の水についてのお話をしようと思います。


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