突然のめまいで倒れる
当時私は50 台半ば。世間で言うところの脂の乗り切った部長といったところでしょうか。仕事は大きめのプロジェクトから雑用までなんでもござれでした。朝は始発電車(4時台)に乗り帰りは深夜にはならないものの残業当たり前、月の半分は自主的に休日出勤をして食事中も仕事の事を気が付けば考えている、夜も熟睡できず目が覚めては仕事の事を考えて眠れなくなる、、。そんな生活を続けていました。なので睡眠時間は5~6時間、残業は月に80時間前後と冷静に考えれば異常な生活でしたが自分では自分が異常な生活をしていることは分からないものです。
そんなある日、私主催の会議を始めようとした時、突然周りの景色がグルグルと回り出し、回転はどんどんと速くなり、「ちょ、ちょっと体調が悪いので先に進めといてください」とどうにか声を絞り出して言ったものの、眩暈がしているわけですから普通には立てません。恐らく周りから見ると私は酔っ払いが千鳥足であるいているかのように見えたと思います。壁や手すりにつかまりながらようやく社員用の医務室にたどり着いてベッドに寝かせてもらいました。
血圧計測をしたり問診をしてもらったりしましたが眩暈はひどくなる一方で、気分も悪くなり、話をするのも苦痛になってきました。就業時間も過ぎてしまいらちが明かないと見たのでしょう。産業医の方が救急搬送を選択、救急車で20分程運ばれて大き目の病院に着きました。
病院では2~3人の医師が瞳孔を調べたり1時間ほど検査をしましたが血圧も高くなく瞳孔も異常なしで原因が分からないまま、歩いて帰れそうだねと言われて(笑)家族に見守られながら電車で帰ってきました。当日を含めて3日程は眩暈が続いたので自宅療養をしました。
今はあの時の眩暈の原因はストレスだったとわかります。大きな企業特有の、事なかれ主義、言い出した人が先頭に立って責任を持たされると言った企業風土の中でいつしか四面楚歌のような状況になり精神的に追い詰められ、私の身体は悲鳴を上げたのです。
眩暈で倒れる前も予兆はありました。アルコールの量が増える。飲んでも酔えない、気が付くと独り言を言っている、突然涙がこぼれだす、など。精神が崩壊していると自分で自分がおかしくなっているとはなかなか気づけないものです。精神と身体は密接に関係しているので当然身体にも予兆は現れていました。体重が急激に増え、睡眠時無呼吸症候群や睡眠障害、突然の動悸や多汗、不整脈もありました。
でもそんな身体や精神がせっかく声をあげ、悲鳴を上げているよと私に気づかせようとしていても私は気づくことが出来ませんでした。そして原因不明の眩暈で倒れてしまったのです。
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