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ジョブズとWhole Earth Catalog

Whole Earth Catalog(ホール・アース・カタログ)は、1968年から1972年まで発行された、アメリカのカウンターカルチャー雑誌です。スチュワート・ブランドが編集し、技術革新、環境保護、持続可能性、オルタナティブカルチャーなどに関する情報を提供していました。

初版の『Whole Earth Catalog』は、カリフォルニア大学バークレー校で学ぶ学生たちを対象に、裏庭での自給自足生活を目指すための情報を提供するものでした。しかし、その後、この雑誌は広く一般にも受け入れられ、ニューエイジムーブメントやヒッピー文化、環境保護運動などを支える重要なメディアとなりました。

『Whole Earth Catalog』は、社会に対する様々なアイデアや技術革新、持続可能な生活の方法などを掲載し、読者自身が情報を手に入れ、自分たちの生活を改善することを目指すことを奨励していました。また、編集部が選定した様々な製品を販売するカタログ版も作られ、アメリカの文化や消費行動に影響を与えました。

『Whole Earth Catalog』は、1972年に最終号が発行されましたが、その後、1980年代から1990年代にかけて、『Whole Earth Review』という類似したコンセプトの雑誌が発行されました。このような出版物は、技術と社会、文化と環境、そして自己実現と個人の自由に関するアイデアを広く伝えることで、アメリカ文化における重要な位置を占めることになりました。

スティーブ・ジョブズは、若い頃にホール・アース・カタログに影響を受けたと公言しています。彼は、特に初期のMacintoshコンピューターのデザインにおいて、ホール・アース・カタログから得たインスピレーションが反映されていると述べています。

ジョブズは、1970年代にカリフォルニア大学バークレー校で学生をしていた時期に、ホール・アース・カタログに出会いました。彼は、同誌が提唱する自己啓発、自己実現、環境保護、持続可能性などのアイデアに強く共感し、その後の彼のビジネス哲学や製品デザインに大きな影響を与えました。

例えば、初期のMacintoshコンピューターは、ユーザーが簡単に扱えるように設計され、ユーザビリティに重点が置かれました。これは、ホール・アース・カタログに掲載されたDIY文化の精神や、人間中心のデザインに基づいていたと考えられています。

また、ジョブズは、自らが創業したアップルの初期の広告キャンペーンにおいて、ホール・アース・カタログに掲載された写真やコピーを使用しました。アップルの広告は、環境保護、持続可能性、自己実現などのテーマを掲げ、カウンターカルチャーやオルタナティブカルチャーに共感する若者たちを取り込むことに成功しました。

その後、ジョブズは、1980年代に再びホール・アース・カタログに出会い、彼の新しいプロジェクトであるNeXTコンピューターのデザインに影響を与えました。彼は、NeXTのカタログをホール・アース・カタログ風にデザインし、カタログのスタイルや哲学を取り入れた広告キャンペーンを展開しました。

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