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Sasieni / FANTAIL / PAT.D-170067 / 16


レストア前

サシエニのファンテイルです。

サシエニのフォードットのラスティック、できればベントなやつをずっと狙っているのですが、なかなか手頃なやつが出てきません。
一度出会ったけどミスって入札できてなかった…
で、状態良くて安いベントのファンテイルが出ててつい。

ファンテイルは、サシエニのアホほどあるセカンドラインの一つ。
なのですが、セカンドなのにフォードットと同じラスティックが施されてるライン。
カブトムシみたいなステムが特徴です。

この特徴的なステムで特許取ってるし、評判良かったらフォードットの別ラインにしよう!と観測気球的に発売されたのでは?と勝手に思ってる。
値段もセコンドの中ではちょっと高めだし。
65年のカタログだとセカンドの中で一番最初、フォードットと同じページで紹介されてるし。
流行らなかったからか、結局セカンドだけど。

上記のカタログ内の説明だと、軽量でバランスが取れているので、入れ歯使用している人でも、通常では快適に持つことができないサイズのパイプでも、快適にパイプを楽しめるステム、らしい。

ステム側面には、Fantailの「F」が刻印されてます。
2段テノン。

PAT.D-170067が特許番号。
この特許は1953年7月に取得され、50年代後半(57年との説あり)までファンテイルに刻印されていたそう。
なので、多分50年代製。
2代目サシエニさんの時代、ファミリーエラです。

ボウルトップはスムース。
綺麗にワックスかけられてるけど、ヤニが乗った上からワックスかけられてて若干黒ずんでる。
特に手前右側。

全体的にクリーニング済みですごく綺麗。
が、ボウルトップとかステムの傷とかちょっと気になるので軽くお掃除。


ボウルのお掃除

まずはボールをリーミング。
すでにリーミングされてはいるので、軽くでOKそう。

コットン詰め込んでアルコールメソッド。
数時間おきにエタノール注ぎ足して一晩放置。

一晩経ったら汚れが浮いてきます。
ヤニってより、染料ぽい黒多め。

コットンを取り除いて、軽くリーミング。
シャンク内はストローブラシとコットンで色がつかなくなるまでゴシゴシ。
ある程度綺麗にされてるから特に問題なくあっちゅうま。

ボウルトップの黒ずみを、エタノールつけたナイフで軽く擦る。
特に問題なくあっちゅうま。

外側はとても綺麗なので、今回は洗ったりしない。
でもボウルトップはワックス落としたので、椿油で潤いと色味をプラス。
あまり放置せずに拭き取り。

ボウルトップのスムース部分にカルナバワックスをかけ直すついでに、全体にもルネサンスワックス重ね塗り。
歯ブラシで溝にもしっかり。
すぐに拭き取ります。
豚毛の靴磨きブラシで擦ってピカピカです。

最後に蜂蜜をエタノールで薄めてボウル内に塗ります。
ボウルの保護とともにカーボン付きやすくなるように。

前は蜂蜜乾くのをじ〜っと待っていましたが、全然乾かないの。
1週間とか。
なので、余分な蜂蜜はキッチンペーパーで軽く拭き取り。
これやっとくだけで早く乾きます。
1日である程度乾くレベル。

さらに、最近は、1日経ってちょっとベタつきが残るくらいのボウルを「灰皿」にして、非着香のシガリロを一本吸っています。

シガリロってのは紙巻タバコサイズの細い葉巻。
良質なカーボン付けるためには、不純物が無い葉巻の灰が良いとされていて、蜂蜜と葉巻の灰を練ってボウル内のパテ埋めに使ったりします。
なので、葉巻の灰を修理用に保管しておいたりするのですが、手持ちなくなったし、ぶっちゃけ面倒くさいし、ダイレクトに灰入れりゃ良いんじゃね?と思って開発した方法。

シガリロの灰を直接ボウル内にトントン落としちゃいます。
1本分灰にしたら、タンパーのスプーンで壁面に擦り付け。
余分な灰を落としてから、火口をティッシュとかで塞いで、強く息を吹き込んで、さらに灰を飛ばします。
これで大体ベタつきなくなって使えるようになります。
早いし便利。
自分で使う分には全然これで良い。


ステムのお掃除

ステムも基本綺麗なので、オキシ漬けはなし。
いきなりエタノールにドボンです。
他の溜まってた分と一緒に。

エタノールに入れてしばらく経ったらヤニがもわ〜っと出てくるので、引き上げてストローブラシとモールで掃除。
色つかなくなるまで。
基本綺麗なのであっちゅうま。

あとは400〜2000でヤスリがけ。
といっても、吸い口だけ。
吸い口だけちょっとティースマークと傷が残ってたけど、他は綺麗に磨かれてたので。
あっちゅうま。

あとは白棒パフかけて、コンパウンドかけて、研磨はおしまい。

「F」マークの色が抜けていたので、修正液で白入れ。
塗ったら拭いて、細かいところは爪楊枝とかで削って、白字復活。
コンパウンドかけた後にやらないと、細かい傷とかに白入っちゃいます。

サシエニはダンヒルに比べるとずっと黒い印象あるけど、一応変色防止液も塗っておく。

ダボのところの滑りがよくなるように、鉛筆をぬっておしまい。
合体して、全体をつやふきんで拭いて完成です。


完成

ピカピカツヤツヤです。
外側ほとんど手を入れてないけど。
ボウルトップもボウル内部も綺麗。

そして、これが噂のサシエニのラスティックかあ。
木目に沿った枯山水感。
二人の熟練工で全てのカービングを行っていた説があるみたい。
ライン幅が均等。
緊張感があって美しい。

カブトムシみたいなステムの吸い口もピカピカ。
Fマークも復活。

以上でレストア終了です。
おつかれさまでした。


おまけ

おまけです。
自分は吸い口にパイプビッツというゴムをつけて使用する派です。
噛み跡つくの嫌なので。
でも特殊な吸い口だと、ビッツがうまくフィットしません。
今回は特に。
パカパカしちゃう。

で、ベテランスモーカーのブログとかでたまに見かける「熱収縮チューブをビッツの代用に」を試してみることに。
吸い口の幅をはかって、熱収縮チューブと、ヒートガンというものをAmazonでポチー。

ファンテイルは、吸い口が20mmで、茎部分10mm。
ちょうど、平置き20mm(内径φ12mm)、収縮率2:1てのがあった。
収縮率2:1てのは、熱加えると半分まで縮むよ、てこと。
ぴったり。
1m500円くらい。

ヒートガンていうのはドライヤーのもっと高温になるやつ。
熱収縮チューブをあっためたり、レジンの気泡とったり、シール剥がしたりに使うらしい。
ステムをライターで炙ったりする時の代わりにも使えそう。
2000円くらい。

熱収縮チューブを適当な長さでカット。
ぴったり入って安心。
普通のビッツだとこんな感じになっちゃう。
下の方パカパカ。

ヒートガンの先に、熱収縮チューブ用の金属のアダプタを取り付けてスイッチオン。
思ったより静か。
みるみる縮んでく。
気持ちいい。

ジャストフィットー!
軽く咥えてみた感じ、悪くない。
ゴムのビッツより薄くて硬め。
サイズ合わないやつは全部これでいいな。
コスパも良い。

以上、おまけの検証でした。

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