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TNENT-テネットはシリアスなドラえもんだった。

『TNENT』を観賞しました。
コロナウィルスの流行のため、半年ぶりの映画館でした。
個人的な感想で、少しネタバレがあります。
まだ理解できない点もあります(笑)

クリストファー・ノーラン監督の映画は全て観ていますが、今回の作品は立ち位置的にはやはり『インセプション』が近しいでしょう。
ノーラン監督の俺的ルールが炸裂した作品で、今回はスパイ+時間逆行という『時間』を描いてきた監督ならではの面白いアイディアの作品です。

今回の作品は、基本的には世界を消滅させるほどの力を持つ兵器の最後のパーツを奪い合う話ではあるのですが、非常にストーリーラインが難しいです。

というのも、時間の逆行のルールなどが過不足なく説明されないため、恐らく重箱の隅を突けば矛盾が大量に出るであろう粗が頭を掠めて、それがノイズになるのです。また、人物設定も一見だけでは理解するのは非常に困難でして、それもあって必要以上にストーリーが呑み込みにくいです。
ややこしい設定×初めて観る映像表現+語りすぎない人物背景という方程式がここに出現し、『ダンケルク』を超える難解っぽい映画が誕生しました。

とはいえ、それは監督もわかっていると思います。これは間違いなく複数回観ることを想定されて作られている映画ですし、初見でも基本ラインは理解できますので、とても楽しめる作品です。

何よりも、日本人は『ドラえもん』で慣らされていますから、こういう時間もの、未来のお前がー?的な作品は呑み込みやすいと思います。
てか『インターステラー』とネタが被ってるし(笑)
やはり『ドラえもんのび太の大魔境』を思い出しました。ノーラン監督の映画はいつも音楽で興奮させてテンションあげていくって感じなので、『ドラえもん』を撮ってもこんな感じになるでしょうね。

冒頭1時間半はめちゃくちゃ面白くてのめり込みましたが、後半で失速ですね。伏線回収は上手いのですが、『インセプション』の雪山シークエンスと一緒で、後半のアクションはいつも失速している気がします。
大人数を動かすのが得意ではない感じです。

撮影監督は『ダンケルク』に続いてホイテ・ヴァン・ホイテマさん。この人の御名前も、若干のTNENT感がありますね。『アド・アストラ』を観たとき、思わず撮影監督を調べましたが、この方でした。『アド・アストラ』の映像の質感は大好きな『ブレードランナー2049』に通じるものがあって、とても好きだったのですが、今回もとても美しい撮影で、とくにエリザベス・デビッキさんの美しさはこの世のものとは思えないほどです。

エリザベス・デビッキさんは身長が190㎝あって、大抵の男性俳優は彼女とのシーンは見上げて話す羽目になるので、そこが面白かったですね(笑)
とにかくエリザベス・デビッキさんはほんとうに天女みたいに美しくて、ビックリしました。
それからロバート・パティンソンさんもいいですね。物語の締めの重要な役割ですけど、いい役者さんで、清涼剤になっていました。

一番良かったのは、逆行の世界に入るシーンですね。あれは異界を観るような感じで、あれが一番映画的な体験でした。詩的ですらある。

本当に観たことのない映像の連続で、すごく脳みそを使う作品です。音響も劇場ならではでしたので、4連休におすすめの作品です。


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