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【三橋貴明氏】 竹中平蔵が変えた『 日本の潜在GDP 』の意味。

竹中平蔵がぐうの音も出なかった三橋貴明の反論

https://youtu.be/ahQ25mb8Iec


まずは「潜在GDP」の意味を変更させた

この「潜在GDP」がですね、実は定義変更されてしまいました。2004年ぐらいだったと思います、小泉政権の時。
やったのは誰かというと、「竹中平蔵さん」です。

これから出てくる「指標の変更」は結構、竹中さんが関わっているケースが多いんですけどね。

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GDP‥国内総生産のことで、一定期間内に国内で新たに生み出されたモノやサービスの付加価値のこと。(GDPには日本企業が国外で生産した付加価値は含まれない。)

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デフレに見えにくい数字「過去の平均」を日本の「潜在GDP」とした竹中平蔵

実は我が国がは今、「我が社は本気になれば100生産できる」という「潜在GDP」ではなくて、「我が社は過去にこれだけ生産してきた、その平均はこんなもんだ、これが潜在GDPだ。」っていうおかしな指標になってるんです。

「我が社は本気になれば100生産できる」これを「最大概念の潜在GDP」といいます。
国民経済において、既に存在する労働者や資本設備がフル稼働、100%が稼働、全員が働いた、そういう時に生産可能なGDP。
つまり「我が社は本気になれば100生産できるんだ」、このままなんですけどね。
労働者がフル稼働しているわけですから「完全雇用環境下のGDP」と呼びかえても構わないと思います。

それに対しておかしな、まあ実際日本で使っている「平均概念の潜在GDP」は、過去の平均的な労働や設備稼働率を計算するんですよね。平均をとるんです、それで対応したGDPになります。

だから「失業率」で言えば、まず過去の「平均失業率」っていうのを算出して、弾き出された平均失業率時点のGDPが「潜在GDP」ですよ、って。おかしいでしょ?
これ何がおかしいかってことでわかりやすくするためにイラストを作ったんですけど、

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例えば、最高タイム100メートル10秒のアスリートがいたとします。その人に対してインタビュアーが「あなたの最高タイムは100メートル何秒ですか?」と質問したんですね。当然「10秒」と言うべきなんだけど、「いやいや僕の平均タイムは100メートル12秒です」と言うわけなんですよね。そんな人います?

実際日本のGDPこの考え方になってるんですよ。過去の平均からとって、過去の平均失業率の時点が「潜在GDPだ」と、いやいや「フル稼働」してないじゃん、フル稼働してないんだけど、そういう状況になってます。

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完全失業率‥労働力人口(15歳以上の働く意欲のある人)のうち、完全失業者(職がなく、求職活動をしている人)が占める割合。雇用情勢を示す重要指標のひとつ。
総務省が「労働力調査」で毎月発表している。
完全失業者数を労働力人口で割って算出し、数値が高いほど仕事を探している人が多いことを示す。

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「完全失業率」と「平均潜在GDP」

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次の表は青い線が日本の「完全失業率」です。
日本経済が特に、デフレ化して以降(97年以降)失業率が上昇していきまして、デフレがピーク(5%強)、リーマンショックの時も5%強に「悪化」しました。(上昇は悪化です。)
そのあと一直線に下がってきてますけどね。

このオレンジの線が何かというと、「過去10年の平均完全失業率」です。これは別に難しい話じゃなくて「完全失業率」の過去10年分を平均してグラフ化しただけです。

それでこれわかると思いますけど「橋本政権の緊縮財政によって経済がデフレ化しました」あるいは「リーマンショックで刑事が悪化しました」ってなると「完全失業率」跳ね上がりますから「平均の失業率」も跳ね上がります。当たり前ですよね。

このオレンジの過去の「平均失業率」がその国(わが国)の「完全雇用の失業率だ」っていう風になってるんですよ、そんなバカな、と。
その何よりの証拠に直近を見ますと、過去10年の完全失業率の平均をとると「4%」なんですよ。
でも実際の失業率は「2.4%」くらいなんですよね。
当たり前ですよね、下がってきてるから。

直近の失業率下がってきてますから、平均も下がってきてますけど、この平均の方を「完全雇用の失業率だ」って言い張ってるんです、経済学は、信じられます?ここまでばかなんです。経済学って。

だって現実の失業率は「2.4%」じゃないか、と。
それを(平均は)「後追い」する形で下がってきてますけど、じゃあ日本って今「4%」の平均失業率をはるかに下回るところで失業率が推移してますから「完全雇用以上の失業率」ってことになっちゃいます、なんだそれって。


「資本設備がフル稼働、労働者が100%働く」状態よりも失業率が下、というおかしな数字

「完全雇用」って基本的に「働ける人は全員働いている」って状況ですから、それよりも失業率が下がってる、こういうバカな状況になってるんですけど、日本の「完全雇用の失業率」って何%くらいですかね。

これ、高度成長期は「1%強」くらいでしたよね。まあさすがに高度成長なみに失業率が下がるとは思えないけど、例えば80年とか、バブルの時っていうのは大体「2%強」くらいだから、まあそのくらいじゃないですかね。
日本の「完全雇用の失業率」って。

「2%」日本が失業率切ったら「完全雇用」でさすがにそれ以上は下がらないだろうと言っていいんだと思うけど、これが常識的な経済学のものの見方だと思うんだけど、経済学では「過去の平均だ」ってことになってるんです。

「過去の平均の失業率の状況のGDP」をとって「我が社のフル稼働した時のGDPだ」って言い張ってるのが、これが平均概念の潜在GDPなんです。そんなバカな。

どう考えても日本の「潜在GDP」は、「失業率」で言えば「2%」でしょうね。「2%」に下がった状態で生産できるGDP、これが(本当の)「潜在GDP」ですよ。
だからまだ日本は潜在GDPに達していないです、GDPが。
だって「完全雇用」に達していないから。

ところが「平均概念」の潜在GDPを使うと、いやいやそんなことない。過去の平均の「4%」だから、これが「潜在GDP」であることになっちゃうから、今まさに典型ですけどね、

失業率それより下がっちゃうから、ということは、フルフル稼働の潜在GDP以上に生産ができちゃうわけですよね。

ということで日本の「GDPギャップ」を見ますと、


これ面白いですね。

ゼロから上が「インフレギャップ」、ゼロから下が「デフレギャップ」なんですけど、まあ直近見ましょう。

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インフレギャップ ‥ 総供給より総需要が多く「需給ギャップ」がプラスになっていること。
好況や景気が過熱しており、物価が上昇する要因。

デフレギャップ ‥  総需要より総供給が多く「需給ギャップ」がマイナスになっていること。
景気の停滞や不況を示しており、物価が下落する要因となります。

需給ギャップは国の経済全体の総需要と供給力の乖離(かいり)のことで「GDPギャップ」と呼ばれることも。

第二四半期 ‥ 企業等の決算報告で会社が3か月を境に収支報告をする時に、 一般的に7月から9月までが第二四半期という呼び方をされる。(4月から6月までが第一四半期。)

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17年の第二四半期から18年第二四半期までの「5 四半期」「GDPギャップ」が「プラス化」した、すなわち「インフレギャップ」に計算されちゃってるんですよ。そんなバカな。

「インフレギャップが計算される」ということはですよ、さっきの話に戻りますと、

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この左側の「インフレギャップ」が計算されている、「本来供給できないようなGDPが供給されてる」ってことになっちゃうんです。「最大概念のGDP」使うと。

ただ、さっきから言ってるように「潜在GDP」は「平均概念」でやってるから「インフレギャップが計算できる」、つまりこれは「(青い)供給能力が実際よりも下げられてる」ってことになるんですよね。

だって「失業率」本来「完全雇用」は「2%」なのに、「4%で完全雇用だ、その時のGDPが潜在GDPだ」ってことになっちゃってるんで、全体的に青い「供給能力」が引き下げられる状況になってるんです。

だから「インフレギャップ」の計算もできちゃってるんだけど、これどういうことか?

『 デフレに見えにくい 』んですよ。

『 デフレに見えにくい 』

つまりこの右側で「デフレギャップ」がありますよ、まあ実際ある、あるとしてもですよ、「平均概念の潜在GDP」使ってこの青い「本来の供給能力」をぐわ〜と下げていくと、総需要を下回っちゃう、実はちょっと前までそうだったんですけどね、そう状況になるわけなんで、実際は「デフレ」であるにも関わらず、「デフレギャップ」あるにも関わらず、「いやいやいや、もうデフレじゃないよ、インフレギャップになってるじゃん」、と。
こういうレトリックが使えるんです、というか使ってるんです。

これ、何よりの証拠に、2015年だったかな、私がテレビ愛知だったかな?の番組で、かの竹中平蔵さん討論して、真っ向からぶつかった時があるんです。
あの時「デフレ」の話をしていたら竹中さんが
「三橋さんね、もうデフレじゃないんだよ? 」
と言ったんですね。

「はぁ??!!」と思ったんですけど、その後に竹中さんが何を言ったか、、
「だってもうデフレギャップ埋まってるじゃん。」
そう言ったんですね。

そうだったんです、そうだったんです、ちょっと見てみましょう。

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彼が話したのは「2014年のQ1」くらいだったか、あるいは「2015年のQ1、Q2」だったかな、
確かに「インフレギャップ」になってるから、「デフレギャップ」埋まってるんです、「インフレギャップ化」しちゃってる。

「だから「デフレ」じゃないんだよ」
と言ったんだけども、その時私が
「竹中さんね、それは「平均概念のGDP」を使った場合ですよね? 「最大概念のGDP」を使えばまだ日本は「デフレギャップ」ですよね? 「デフレ」ですよね。」

と言ったら、竹中さんは沈黙して何も言わなかった。それはもちろんわかってるから。
本人が変えたんだから、「平均概念の潜在GDP」に。

竹中さんはもちろんわかってるんだけど、
「どうせ一般の視聴者は「潜在GDP」自体を知らないでしょ?
ましてや「最大概念」とか「平均概念」なんか知らないから、気づかないでしょ?」
(ということだったと思います。)

私は確かに「「最大概念のGDP」で見たら「デフレギャップ」でしょ?」と、「あなたがデフレじゃないって言ってるのは、それは「平均概念」でのGDPだからでしょ?」ってツッコミを入れたんだけど、誰もわかんないでしょうね、視聴者は、

その状況でわかったのは、もちろんの竹中さんと、私の横にいた藤井聡先生、2人だけだったんじゃないかと。
私の言ったことが正しいんですが、視聴者とかわからないから竹中さんは「あ、これはスルーしとこう」と。
突っ込まれて議論になると負けるから、「どうせ視聴者はわからないから」(と国民を騙して)という感じでスッと流されたわけですよ、本人はわかってますよ絶対。

この「指標の変更」したのが竹中さんなんですからね。

「潜在GDP」を「平均概念」に変えてしまった結果、「デフレギャップ」が小さく見える、下手したら「インフレギャップ」、逆転しちゃう、そうすると「デフレじゃない」ってことになっちゃうから‥

「デフレ対策は、うたなくていいでしょう」

ってことになる。

(長年、騙された日本人、平和ボケの日本人をたくさ〜ん作って、もっともっと考える力など失わわせる方向に持っていく政策もやろうとしてる、李平蔵さん、自分の国でやってください)

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