2023.8.21 国立科学博物館のクラウドファンディング 三橋貴明氏
国立科学博物館は国営に戻せ! 独立行政法人は「失敗政策」だ!【三橋TV 第745回】 2023.08.21
01:24~
「国立科学博物館」のクラウドファンディング、1億円集まる
三橋氏
今日はですね、「独立行政法人」の問題を取り上げたいんですけども、あのブログですが、これはいつだったかしらね。
「8月8日」ですね、「国立科学博物館のクラウドファンディング」というテーマでエントリー書いたんですけど、この記事知ってました?このニュースって。
saya氏
ごめんなさい、収録の前まで知らなかったんです。お恥ずかしながら。
三橋氏
これはですね、びっくりする話なんですけど、その「国立科学博物館」がですね、「光熱費の高騰」などを受けて、「標本を、収集管理する資金」が危機的な状況にあるとしてですね、
「クラウドファンディング」で「1億円の資金を募る」と発表したんです。
で、これはあっという間にですね、目標達成になったんです。
saya氏
ほぅ?
三橋氏
で、「そういう問題かなぁ?」と。
saya氏
「よかったよかった」っていう話じゃないですね。
三橋氏
じゃないですね。
そもそも何で、「国立博物館」、「国立科学博物館」って面白くて、「国立」って(名前に)ついてるんだけど「国立じゃない」んですよ、あれ。
saya氏
えっ、そうなんですか?
「国立科学博物館」は、「国立」ではなく「独立行政法人」だった
三橋氏
そうなんですよ。
名前は「国立科学博物館」だけど「国立」じゃありません、「独立行政法人」なんです。
saya氏
へぇ〜。
三橋氏
「独立行政法人」ってね、このぐらい結構あるんですけど、これ一覧ですね、直近の。
でこの中の「文科省」かな、「文科省」の管轄の中にほら「国立科学博物館」(がある)、(国立科学博物館)「だけ」じゃないですよ、
saya氏
えぇ〜。
三橋氏
で、これはですね、要は元々は政府の省庁とかがやっていた事業について、独立した行政法人って形で、なんつったらいいのかな、これを読んで方がいいのかな、「定義」を読んだ方がいいですね 。
「独立行政法人って何だ?」という話なんですが、こういう定義になってます。長いんだけど、ちょっと読みますね。
「独立行政法人」の定義
「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から、確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、」
だから、絶対やらなくちゃいけないんですよ。
「国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には、必ずしも実施されないおそれがあるもの、」
何言ってるかわからないです・・・(笑)。
saya氏
紛らわしいですね(笑)
三橋氏
「又は、一の主体に独占して行わせることが必要であるものを効果的かつ効率的に行わせるため、中期目標管理法人、国立研究開発法人又は行政執行法人として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人」なり、と(なっています)。
つまり、「公共サービス」です、だから「国民の生活や、社会の安定上、これは絶対にやらなくちゃいけない事業がありますよ」と。
saya氏
えぇ。
三橋氏
で、それを「民間」に「えいっ」て委ねてしまうと、「やられない 可能性がある」と、それはまあ「問題ですよね」ということ。
あるいは、そのいっぱい、その「同じ事業について、複数の事業体にやらせる」のも、これも「ちょっとどうなのかな、と考えられる」ものについて「独立行政法人」という形にしてですね、
で、国の、厳密には「所管」の、「大臣」ですけどね、「所管の省庁の大臣の関与を減らす形です」「でも、民間ではないですよ」「独立してやってくださいね」って形で、 「省庁から、切り離された」んです。
「橋本政権」の時です。
saya氏
へぇぇ〜。
三橋氏
これが「独立行政法人」ですね。
saya氏
えっ、素朴な疑問なんですけど、じゃあその「事業をやる」ことの、その「事業費」というか「予算」は、どこ?
三橋氏
「予算」は一応つくんですけども、つくんですけども、基本的には「自前でやってね」っていう形になっておられる。
saya氏
へぇ〜、不思議。
三橋氏
予算付きますよ。
ただ、「財政危機になりました〜」と言った場合に「政府助けて〜」っての「言わせない」っていうような形になっとるんですよ。
ちなみに、この「独法化の目的」のは、すごいんだけど、これ。
「廃止・民営化を含めた業務・組織全般の定期的な見直し」
(つまり)「民営化(が)前提」なんですよ、これ。
saya氏
ほぅぅ、そうだったんですね。
三橋氏
「企業的経営手法による業務・財務運営」「民間人登用を含めた適材適所の役員人事」
他にもあるんですけど、
「一気に民営化すると、さすがにマズいなぁ〜っていう公共サービスについて、将来的な完全民営化を視野に入れた半・民営化路線」
なんです。
saya氏
ふぅぅ〜ん。
三橋氏
これは「何を」その「模倣して始めたか?」というと「イギリス」の「サッチャー政権」なんですよ。
saya氏
はい。
「独立行政法人」は「非営利法人」と違う、「利益」を出さなければいけない
三橋氏
「イギリス」の「サッチャー政権」がこういうことやってたから、「これ、よくない?」ってことで、
それで「財務省」、当時「大蔵省」でしょうけど、「大蔵省」としては、「いいね、これ金出さないで、自己責任にできるんだね」ということで進められた、としか思えない。要は、「緊縮財政」だから。
saya氏
いわゆる「非営利法人」とも違う?
三橋氏
違いますね、違います。
で、ここ「企業的経営手法による、業務財務運営」という、これ、目的として本当に定められてるんだど。
じゃあ「利益を追及しろ」って話ですかね?
saya氏
そうなんですね。
三橋氏
そもそも「公共サービス」で「利益を追及する」方向に持っていくという発想が、私にはそもそも全然わからないんだけど。
saya氏
う〜ん、まさしく。
三橋氏
ですよね。
saya氏
はい、そしてそれが今回?
「国立科学博物館」、「国立」なので「国」が助けるべきだった
三橋氏
はい。まさかここまで電気代が上がるとは思ってなかったんですよ。
そこを支援して、「政府が支援すればいい」んだけど「やらない」から、だから「クラウド ファンディング」と、「国立」科学博物館が。
あ、ちなみになんで「国立」ってついてるかというと、その外国に向けては「国立の科学博物館ですよ」という風に見せたいから。
さすがにあの「国立の科学博物館とかがない国」ってのはダメだから、「名前を残した」んだけど、実際は「独立行政法人」です。
saya氏
そうなんですか。
三橋氏
だから、財政的に危機に陥ったって「政府」は「助ける義務はない」ですね、というおかしな状況になっとるわけなんです。
saya氏
う〜ん。
三橋氏
これ、いくつもね問題があるんですけども、まず「成功しちゃったこと」ですよ「クラウドファンディング」が。
今後だからその「博物館」とかね「美術館」とかが「危機に陥りました」と。
それをまあ本来「政府が支援するべき」だと思うんですけど、どうせ「やらん」でしょうと。
すると「クラウドファンディング」が「次々に行われることになるのかな」と。
saya氏
「独立行政法人で」ですか?
三橋氏
そう。
これから「博物館」「美術館」のクラウドファンディングが次々と行われる?それは「財務省の思うつぼ」
「独立行政法人だけ」じゃなくてですよ。
いろんなところでこれって、「財務省」からしてみたら「思うつぼ」じゃないですか。
本来は「文科省」「文化庁」ですね。
「科学技術館」は。あの「国立科学博物館」は「文化庁」だから、「文化庁の予算」を増やして、「それで出してやれよ、高熱費の上昇分ぐらい」って話なんだけど、そんなのやりたくないんですよ、絶対。
saya氏
これ、この「クラウドファンディング」をやる前に、この「国立科学博物館」は、その文科省に対して「予算」を(増額して、と)?
三橋氏
やってましたよ。
saya氏
やってたんですか。
三橋氏
あの、この話が問題になったのって、ちょっと前、半年ぐらい前かな。「そろそろヤバいんじゃないか」と。
saya氏
「増額」をずっと「主張してた」けれども、それに答えないから?
三橋氏
(増額の主張は)ずっとしてましたよ。
だって文科省の予算、ずっと「変わってない」んだもん、全然。
saya氏
はぁ〜、これ酷い話ですね。
「独立行政法人」蔓延る日本、「国立」でもなんでもない
三橋氏
これあれですよ、だからその「文化庁」を含めた「文科省」のその「独立行政法人」が、まあいくつかありますよね、さっき見たら、こんだけありましたけど。
ちなみに「文科省」の問題だけを取り上げたいわけじゃないんですけど、一応今回はこうですね。
こういうような形で「独立行政法人」あるじゃないですか。「国立美術館」とか「国立文化財機構」とかですね。
これどう考えても「国立でやるべき」だろう、本当の意味でね。でも全部「独立行政法人」にされちゃってるわけなんです。
で、今回の「輸入物価上昇」、特に「エネルギーコスト上昇による、光熱費の上昇」って、絶対「この人たちの責任じゃない」じゃないですか。
saya氏
そうですね。
三橋氏
「国家の問題」だろう、「政府の責任」だろう、という話なんだけど、それであっても(国家が)「助ける義務はない」んですよね、ってことになっちゃって、
それで「クラウド ファンディング」だから、次々やり始めるんじゃない?
この「国立美術館」とか「日本スポーツ新興センター」とか、そういうとこみんな困ってるはずだから。
「東京芸大のピアノ」、「 IPS細胞の山中教授」、日本の宝が次々と・・・?
saya氏
まさにあの「東京芸大」の「ピアノ」を「維持できない」、
三橋氏
あ、そうそうそうそう、ありました。
saya氏
要するに「温度」が、「空調で管理する」のに「お金がかかりすぎるから、できない」ということで、ひいひい悲鳴を上げていて、
で、結局その親御さんっていうか、そこに通ってる学生さんの「親御さんからのクラウドファンディング」みたいので「何とか持ち直した」っていう。
三橋氏
そういったら「 IPS細胞」の「山中教授」もそうですよね。あったの覚えてます?
saya氏
覚えてます〜。
三橋氏
あんな素晴らしい業績上げられてる方がですね、お金がないから「寄付」求めて「マラソン」やるんですよ、アピールのために。
なんじゃこの国は、と。
saya氏
その上、アメリカに取られちゃいましたもんね。
三橋氏
取られちゃいました。
saya氏
山中さんをね。
あれもなんか京都に、あのなんかあれは「計算省」でしたかね、なんか2人組で行って、山中さんに「予算出しませんよ」なんて。
三橋氏
「厚生労働省」じゃない?
saya氏
「厚労省」でしたかね?
話をしに行った2人が、なんかフラッシュかなんかにすっぱ抜かれたり。 なんか、
「政府は金を使いません」「使わせません」By 財務省
三橋氏
だから「緊縮財政」。
「政府は、金を使いません」っていうこの「扇の要」がある限り、いろんなところにその悪影響が伝播してってて、それが「常に表明化した」のが、
「ロシア・ウクライナ戦争」始まって以降かな、「コロナ以降」かな、そのぐらいからなんですよね。
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