シェアリングエコノミーサービスは多くの場合は、個人ユーザがホスト/ゲストの2種類の形で登録します。

個人ユーザが取引の主体となるため、信頼性や安全性が担保できず、何らかの詐欺やトラブルが発生する可能性もあります。

そのような事が起きたときの対処のために、ユーザに身分証明書をアップロードすることをルールとしているサービスが多くあります。今回はそのようなシェアリングエコノミーサービスにおける身分証明書の取り扱いについて説明します。


ユーザー登録と身分証明書

ゲスト/ホストどちらの場合も、ユーザ登録時に身分証明書を登録してもらいます。ホストが登録する場合は多いですが、ゲストにも登録してもらうサービスも多数あります。

メルカリなどの物販系の場合はゲスト側は登録しなくても成立しますが、レンタルや宿泊などのようにサービス対象が再利用される場合は、その対象の破損や汚れなどが起きた場合の責任問題になりやすく、ゲスト側の身分証明書も登録しておいたほうが安全です。


身分証明書登録で実現できること

ユーザに身分証明書を登録してもらうことで、ホスト/ゲスト間のトラブル発生時の解決の安心材料になります。シェアリングエコノミーサービスの多くはオンラインで登録が完結しているために、解約されてしまうとユーザの追跡ができません。最悪の場合訴訟をしたり和解することも選択肢に入りますが、その際にユーザの所在を特定するために身分証明書の登録が必要になります。

身分証明書の登録方法

身分証明書の登録は一般的にマイページから行われます。登録するタイミングをユーザ登録時にしてしまうとユーザ登録のハードルが上がってしまうため、ユーザ登録後の取引発生の直前に登録させる場合も多いです。

登録する内容はサービス内容や運営方針によって様々ありますが、多くの場合は以下のようにしています。

・運転免許証の写真 裏表
・健康保険証の写真 裏表
・パスポートの写真
・社員証や学生証の写真
・公共料金の納付書の写真

これらの画像をアップロードしてもらい、何らかの方法で画像を確認して登録している本人であることを確認します。

運用方法ごとのリスクとコスト

身分証明書の登録と確認を行うオペレーションについては以下の選択肢があります。

1.事務局が手動、目視で行う。
全ての作業を事務局が行うパターンです。初期フェーズでユーザ数が少ない場合はこれでも全く問題ありません。無理にシステムを作ったり外注コストをかけるよりもとりあえずこれでスタートするのも良いでしょう。

この場合は、ユーザがアップーロードした身分証明書は、事務局が開発して用意した管理システムに格納されて管理画面経由で事務局が定期的に確認します。ユーザ視点で考えると身分証明書をアップロードするタイミングはサービスを利用したいタイミングなので、できる限りリアルタイムに確認することが望ましいですが、24時間張り付いて確認するのは現実的ではないのでデイリーや1日2回くらいの頻度で確認する程度でも良いでしょう。

全て自前なので一番安上がりですが、セキュリティや対応スピードの品質が100点ではないので、初期フェーズに留めておいた方が良い方法です。

2.管理画面を用意して外注する。

1のパターンの派生で、管理画面は自前で用意しますが、その運用は外注することもできます。このような身分証明書確認業務を請負ってくれる外注企業はたくさんあります。

インターネットモニタリング企業がサービス提供している場合が多いです。本人確認代行などで検索するとたくさんでてきますので、そこから選ぶことをおすすめします。

費用としては、

対応言語x確認スピードx確認する身分証明書数

の変数で計算されることが多いようです。以前私がとある会社で見積もりをした際には、

日本語のみ、1日2回確認、身分証明書数100以内/日

で、月15万円くらいでした。おそらく月10万円くらいが下限なのではないかと思います。

3.eKYCサービスを使う。

ある程度サービス規模が大きくなり、予算も使えるようになりセキュリティ意識も高める必要がでてきたらeKYCサービスを利用することも検討しましょう。

KYCとは、Know Your Customer の略です、本人確認業務のことです。eがついているので電子本人確認業務となります。

登録から管理画面から運用までワンパッケージで提供してくれるeKYCサービスがいくつかあります。eKYCで検索すると色々でてきますが、2021年6月時点で私の周りでよく遭遇するのは以下の二つです。

LIQUID eKYC

ProTech ID Checker

TRUSTDOCK

料金は2と同様にいくつか変数がある場合が多いですが、まず必ずシステム連携のための初期費用がかかります。50-100万程度がおそらくミニマムとなり、システム内容次第でそれ以上の場合もあるでしょう。

ランニングコストは数万〜数十万/月の場合が多いようです。かなり幅がありますが、ここは利用内容次第のようです。


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