デジタル庁所管になったウェブサイトの「誰一人取り残さない」レベルを確かめる
長いタイトルだ。
デジタル庁設置に伴って、各省庁にまたがるウェブサイトがデジタル庁に移管された。そこで、デジタル庁所管になったウェブサイトの動作環境を確認することで、どのくらい「誰一人取り残さない」ウェブサイトになっているのか確かめた。
なお、引用している文言は、それぞれリンクしている政府サイトからの引用である。
e-gov
「利用環境」ということで次のように書かれている(テーブルを改変)。
e-Govでは、ご利用いただく皆様に一定以上の質を確保したサービスを提供できるよう努めています。
また、e-GovのWebサイトは、e-Govをご利用いただく皆様が使用する主なオペレーティングシステム(OS)やWebブラウザをサポートしており、日本国内で利用シェアの高いWebブラウザやモバイル機器のうち、以下に示すものでe-Govの各Webサイトの表示確認テストを行っています。
OS Windows 10
ブラウザ Chrome/Edge/Firefox/Internet Explorer 11
OS Windows 8.1
ブラウザ Chrome/Firefox/Internet Explorer 11
OS Windows 7 (注意)
ブラウザ Internet Explorer 11
OS macOS 10.15
ブラウザ Chrome/Firefox/Safari 13
OS iOS 13
ブラウザ Safari
OS Android 9
ブラウザ Chrome
(注意)Windows 7 Extended Security Update(ESU)プログラムを利用する場合に限ります。
これら以外のOS,Webブラウザの組合せにおいてもe-Govドメインの各Webサイトを利用いただくことは可能ですが、全ての利用環境において最適な表示を保証するものではありません。
また、開発・提供元によるサポートが終了したOS、Webブラウザについては、e-Govによる表示確認テスト対象から除外することとしています。
macOS、iOS、Androidが最新版での表示確認していないとか、あれだけGIGAスクールでChromebookが配られているのに表示確認していないとかあるが、Webサイトは利用可能ということなので、まあ誰一人取り残してはいないのだろう。しかし、e-Gov電子申請を利用しようとすると、WindowsやMacのアプリケーションをインストールしなければならないので、誰一人取り残さないとは言えない。
gBizID
以下を推奨環境としています。
■パソコンでのご利用の場合
対応OS/ブラウザ
Windows7以上
- Microsoft Edge(最新版)
- Google Chrome(最新版)
- Microsoft Internet Explorer 11
・MacOS 10.14
- Safari(最新版)
- Google Chrome(最新版)
■スマートフォンでのご利用の場合
・iPhoneの場合:iOS11以上
・Androidの場合:AndroidOS 5.1以上
上記は、GビズIDのサイトをご利用頂く際の推奨環境です。
GビズIDにつながる行政サービスの推奨環境については、各ホームページをご確認ください。
MacOS 10.14(ママ)とは、最新版の1つ前のバージョンである。「以上」は新しいバージョンは含まれるということだから、その点は取り残してはいないのだろうが、e-govのほうがまだましだという感じがする。
gBizINFO(経済産業省)
gBizIDと似たような名称だが、こちらは経済産業省のサイトとなっている。フッターにはデジタル庁の設置に伴い、なくなった内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室の名前が書いてある。デジタル庁に移管されるかは不明。
このサイトの動作環境は不明。
マイナポータル
動作環境ということで以下の通り書かれている(テーブルを改変)。
●Windowsをご利用の方
OS Microsoft Windows 10 ※Microsoft Edgeご使用の場合はCreators Updateを適用する必要があります。/Microsoft Windows 8.1
ブラウザ Microsoft Internet Explorer 11/Microsoft Chromium版Edge 79.0.309.65/Chrome 69以上/Firefox 68以上
ICカードリーダライタ/マイナポータルAPの準備 ご利用環境にあわせた準備が必要です。「ログインの手順画面」を確認し、準備を行ってください。
●Macintoshをご利用の方
OS macOS Big Sur(バージョン11.0以上)/macOS Catalina(バージョン10.15以上)/macOS Mojave(バージョン10.14以上)
ブラウザ Safari/Chrome 69以上/Firefox 68以上
ICカードリーダライタ/マイナポータルAPの準備 ご利用環境にあわせた準備が必要です。「ログインの手順画面」を確認し、準備を行ってください。
●Androidをご利用の方
OS Android 6.0~10.0
ブラウザ Chrome 69以上
マイナポータル(アプリ)の準備 マイナポータル(アプリ)のインストールについては、「ログインの手順画面」を確認し、準備を行ってください。
●iOSをご利用の方
OS iOS 13.1以上
ブラウザ Safari 13以上
マイナポータル(アプリ)の準備 マイナポータル(アプリ)のインストールについては、「ログインの手順画面」を確認し、準備を行ってください。
10万円の定額給付のとき、アクセスすることになった人も多いだろう。マイナンバーカードを普及させるために相当な手間をかけて、PCとスマートフォンに対応させたのだろう。しかし、Windows 10 Creator Updateって2017年の話だ。
調達ポータル
調達情報の確認、入札等を行うことができるサイトです。
推奨環境ということで以下の通り書かれている(テーブルを改変)。ハードウェア環境、ネットワーク環境についても書かれているのだが略す。
OS
Microsoft Windows 8.1(32bit版,64bit版)エディション Windows 8.1, Windows 8.1 Pro, Windows 8.1 Enterprise(ただしデスクトップモードのみ対応)
Microsoft Windows 10(32bit版,64bit版) エディション Home, Pro, Enterprise
ブラウザ
電子証明書を利用する場合 Internet Explorer 11(32bit版)
電子証明書を利用しない場合 Internet Explorer 11(32bit版),Microsoft Edge,Google Chrome
.NET Framework
.NET Framework 4.6.1以上
政府が行う調達に参加する事業者が対象のサイトだからいいのかもしれないが、環境縛りがすごい。Internet Explorer縛り。
政府電子調達(GEPS)
調達情報の確認・入札等を、インターネットを利用して行うことができます。
推奨環境ということで以下の通り書かれている(テーブルを改変)。ハードウェア環境についても書かれているのだが略す。
ソフトウェア環境
OS Microsoft Windows 8.1 (64bit版)ただしデスクトップモードのみ対応/Microsoft Windows 10 (64bit版)
ブラウザ Internet Explorer 11 (32bit版)/Firefox 60 (32bit版)ただしFirefox はポータルサイトのみ対応
.NET Framework .NET Framework 4.6.1以上
ネットワーク環境
接続 インターネットに接続していること
電子メール 電子メールが受信できる環境であること
プロトコル 以下のプロトコルによる通信が可能なこと
HTTP:Hyper Text Transfer Protocol
HTTPS:Hyper Text Transfer Protocol Security
LDAP:Lightweight Directory Access Protocol
Internet Explorer 11を使わないとこのシステムを使った入札も契約もできないということ。HTTPSが必要ならHTTPを使う必要はないように思うがどうなのだろう。
まとめ
デジタル庁のウェブサイトが誰一人取り残さないものとなっているとはいまのところ言えない。国のシステム開発は、入札かつ請負契約が原則となっているので、さまざまな環境での動作検証を入札の仕様書に入れると、落札価格が上がってしまうので、発注する国の側としては、細かく仕様書には書かず、落札した事業者としては、請負契約なので、仕様書以上のことはやらない、ということなのだろう。
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