早稲田大学・入山教授「“ゼロイチ”なんてウソだ」(日経ビジネス抜粋)

“経営共創基盤の冨山和彦さんに先日、「入山君、今、日本でことごとく産業がつぶれていっているよね? これ、どういう順番でつぶれているか知っている?」と聞かれたんです。「どういう順番なんですか、分かりません」と言ったら、「いや、簡単なんだよ、デジタルが入っているところから順番につぶれているんだよ」と言われて、ああ、なるほどと思いました。

 最初にやられたのが電機で、流通、メディア、そして今、自動車にきています。これから数年以内には製薬にも及ぶでしょう。最後まで残るのが、おそらく素材。なぜかというと、素材は一番、デジタルから遠いからです。”

“日本の企業は、いまだに新卒一括採用、終身雇用制度を続けています。すると、だいたい似たような人が集まる。これも経営学的に分かっていて、人事の採用担当というのは、だいたい自分と似た人間を採る傾向があるんです。

 似たような人が集まって、同じ業界、同じ場所に何十年もいたら、その時間軸の中で、既存の知と知の組み合わせはさんざんやってきています。だから、知と知の組み合わせはやり尽くして、もう終わってしまっているんです。

 同業他社もだいたい似たような知に囲まれているので、そこも終わっています。なのに、同業他社との比較ばかりをしている。終わっている会社が終わっている会社のまねをしても、イノベーションは絶対出てこない。”

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