アートとコトバのコラボリレー「えがいて かいて またえがいて」
こんにちは。
こちらは宮城県とブックハンターセンダイにゆかりのある8名の作家さんによるアートとコトバのコラボリレー企画です。
文芸・写真・絵の作家さんたちが、文芸作品とアート作品を交互にバトンとして、リレーをつなぎました。
ひとりの制作期間は約2週間。
リレーが始まったのは、2020年5月1日。
TwitterとInstagram・ブックハンターセンダイサイトで作品を随時公開しました。
途切れることなく、バトンはつながれ、8月29日に8番目の作品が発表となりました。
その作品をまとめたものがこのノートです。
作家さんのプロフィールとともにご覧ください。
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1
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第1走者 ｜ 佐久間直美
1970年北海道札幌市生まれ。
1992年東北工業大学工業意匠科卒業。
作品の発表をきっかけに写真講座や仙台のみやげもの制作などに声をかけていただくようになる。写真撮影・写真講座・グラフィックデザインなどを承る lane design roomとして活動中。仙台市在住。
HP ｜ https://lane-design-room.jp
Facebook ｜ https://facebook.com/lane.design.room/
Instagram ｜https://www.instagram.com/lane.design.room/
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2
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自宅のドアを施錠し階段を下り、アスファルトで舗装された道へと一歩踏み出す。頭上は灰色で空気は湿っている。ペトリコールと呼ばれる匂いを嗅ぎ取ると、耳が雨音を拾い、剥き出しの顔に雨粒がぶつかり始めた。
天気予報に従い手にしていた傘を開く。なんの変哲もない無色透明のビニール傘は、水滴を弾き周囲と自分とのあいだに膜を張る。
目的地は長い坂道の途中にある。視界が悪くても認識できるくらいの存在感を放つ、赤い箱。差入口がひとつだけの、小さな郵便ポストが佇んでた。
郵便物の送り先と自分を繋いでくれる、無口な友人に会いに来たような心境だ。相手は配達員への仲介人。雨の日も風の日も、オンラインが隆盛のこの時代であっても、在り方を定めたまま変わらずにいる。
ところどころ汚れた天板の上で、いくつもの波紋が生まれては消えていく。その光景を目に焼き付けながら、宛名が少し滲んだ手紙を預けた。
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第2走者｜志津
宮城県仙台市出身。
2013年より合同文芸サークル「夜光虫のランプ」を結成し、関東の同人誌即売会を中心に活動中。2020年9月に新刊を発行予定。
Twitter ｜https://twitter.com/wanderer_xxx
HP｜ https://d-nomads.com/cindex.html
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3
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第3走者｜佐々木洋子
仙台市出身在住 イラストレーター
グラフィックデザイナーを経てフリーランス
東北イラストレーターズクラブ会員 仙台市内にて個展・グループ展多数
Instagram｜https://www.instagram.com/sayokaeru/
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4
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甘いのが好きだったな、と珈琲を飲んで思い出す。
「お元気ですか？」さえも聞けないのは、なにかを知って後悔するのが怖いから。苦さが深々とつのり、宛名だけ残した白紙をそのままに万年筆を置いた。どんなに飾り立てても本物の言葉には敵わないと知ってしまってから、あなたを想い気にかけることで幽愁をつみ重ね、わたしは毎日いいわけをしながら生きている。
カタッと玄関先から音がした。なにかに呼ばれた気がしてドアを開けると、挨拶する間もなく赤いバイクが遠ざかっていった。痛みをともなう熱に糸雨が優しくなぐさめ、雲間から出た陽がかたくなな頬を暖める。荒れた庭も美しく色をつくり、上風が耳を通りぬけて囁く。
一緒に生きることができたなら。
臆病なわたしの足もとを淡い紫色の風鈴草が笑うように咲いていた。いつの間にか一歩外へと踏み出していた。
呼びたいのはわたしなのに、夢はいつも呼ぶ声で覚める。
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第4走者｜幻ノ月音（げんのつきと）
宮城県出身の素人物書きです。文芸、童話、詩などを好んで書きます。自営業の傍らアルファポリスと小説家なろうに少しずつ作品を載せています。Twitter(双子moon)の方に頻繁に出没しておりますのでお気軽にお声がけください。
Twitter｜https://twitter.com/@moon61226676
アルファポリス｜ https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/981562406
小説家なろう ｜https://mypage.syosetu.com/mypage/novellist/userid/1193948/
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5
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第5走者｜幾何学えかき あまの
沖縄うまれ＆大阪育ち＆2010年から仙台在住。
ある日突然降って湧いて描いたゴチャゴチャした幾何学っぽい宇宙っぽい、そして時々自分のアタマの中を自ら覗きたくなるような絵を描き続けている。
HP｜https://www.amanokikagaku.com
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6
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「またアイツが取りやがった」「しかも一般の部」「しかも三枚全部受賞」「一年のクセに」「画材買う金もないクセに」
部員たちが陰口を叩いている。対象のＫは同じ美術室にいるが、彼は離れた場所で淡々と筆を動かし続けていた。
「Ｋ君、そろそろ帰らない？」
副部長ＭはＫに言った。日はすでに暮れ、室内には彼らしかいない。
Ｋは筆と手を洗い、帰り支度を始める。
「先輩たちの話、聞こえてたよね？」
「はい」
「あ、あんなのはさ、言わせておけばいいよ。君は凄い才能を持ってるんだから」
「先輩は県展、どうだったんですか」
「私は全然ダメ、入選すらしてない。やっぱ才能ないんだなぁ」
Ｍは愛想笑いした。途端、Ｋは舌打ちした。
「絵描きなら、表現者なら、もっと唯我独尊になれよ。卑下してるアンタはアイツら以下だ」
そう言ってＫは教室を出ていった。
「何よ、アイツ！」
憤慨するＭが絵でＫを見返すようになるのは、まだ数年先の話。
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第6走者｜紙男（かみおとこ）
茨城県生まれ福島県育ち。山形県にある東北芸術工科大学に進学。度々仙台を訪れ、ほどよい都会感に魅了される。現在は都内在住。
パッと読めてパッと楽しめる、奇想天外な短い小説を得意とする。ツイッターでの作品発表やフリーペーパーの発行、即売会での冊子販売などの活動をする傍ら、プロの作家を目指し奮闘中。
好きなものは猫とラーメンとゲーム。影響を受けた作家やアーティストは星新一、伊坂幸太郎、spitzなど（敬称略）。
Twitter｜https://twitter.com/paperman104
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7
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第7走者｜HIYOKO
秋田県出身 / 仙台市在住
絵を描いたりGIFアニメーション作ったりしています。小さい頃から漫画やアニメばかり見ていたせいか、そういう表現が多いです。YouTubeチャンネル開設したのでよかったら見てね。まだ動画は少ないですが作品のメイキングとかアップロードしていく予定です。
Web｜ https://studiohiyoko.themedia.jp/
YouTube｜ https://www.youtube.com/channel/UCvhb85Rt3tJuLeKO0G0xA1g?view_as=subscriber
Twitter｜ https://twitter.com/jshtmlcss
Instagram｜ https://www.instagram.com/norihiro.yamauchi/
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8
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昨日も雨 読みかけの物語
帰る場所なの
水溜りの空 揺れる波紋
まだ わからない
あの頃 名前はなかった
必死に生きてた
必死に生きてたから
ここにも咲く シオンが咲く
風が捲った日記帳
鮮やかな青春賛歌
こんがらがった赤い糸
「青空って知ってる？」
滲んだままの青インク
額縁の中 閉じ込めたのに
愛しい雨よ 悲しいよ
わたしの肌が濡れてゆく
もう 戻れない
この頃 名前を思い出す
新しい靴 新しい帽子
新しい花束抱えて 会いにいく
きっと雨は俄雨
花壇の土に沁みてゆく
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第8走者｜かつお
1999～2002年に４冊の詩集を手製本で制作し発表。
2019年 小説「ほのぼ物語 この地から」をブックハンターセンダイにて発表。
現在「ほのぼ物語第二章 この地から 旅」を執筆中。
美術作家としても活動。
「根は縄文に伸びている」を胸に秘めて生きてます。
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いかがでしたでしょうか。
最初の一枚の写真から、めくるめくそれぞれの世界が展開されてゆき、8番目の作品までたどりつきました。
さて、実はこのリレーですが、まだ続きがあります。
いえ、続きがあるかどうかは、このノートをご覧いただいた〈あなた〉にかかっています。
いかがでしょう。
8番目のバトンを継いで、作品を作ってみませんか？
この作品群のラストがどうなるのか、それを〈あなた〉へゆだねたいと思います。
制作した作品に「 #ブクハンバトン受けとった 」とハッシュタグをつけて、ぜひnoteに発表してください。ハッシュタグのついた記事はブックハンターセンダイのマガジンへ収録させていただきます。
作品は文芸・イラスト・写真・書・音楽なんでもOKです。
ただし、作家さんたち同様、2週間の期限内での制作とさせていただきます。
◎制作期限：2020年9月11日まで
◎記事投稿：2020年8月29日ー9月13日まで
#ブクハンバトン受けとった のハッシュタグを付けて記事を投稿！
それでは、9番目の作品をお待ちしています！
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◎Twitter Instagramでも「#ブクハンバトン受けとった」」企画を開催中です。
◎作品を今秋発行予定のブックハンターセンダイ冊子（仙台市内無料配布）へ収録する可能性があります。その際、収録の可否ご了承については個別にご連絡させていただたき、確認いたします。