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マルチタスク、実はマルチタスクじゃないハナシ

こんにちは。就労継続支援ビルドの秋田です。

ビルドにはたくさんの発達障害をお持ちの方が通所されていますが、発達障害の特性のひとつに【マルチタスクの苦手】があります。

お仕事をしていて、複数のプロジェクトが動いて、今日やらないといけないこと今週中に仕上げないといけないこと、今月中のタスク……を抱え、「今、この瞬間に何をやるべきかわからなくなってパニック!」という状態に陥ってしまう。

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たとえるならこんな感じでしょうか。

逆に、「勉強しているときに耳がヒマなので音楽聞いてます」とか、「アニメ見ながらゲームしてます」という理由でマルチタスクが得意と考えている人もいますよね。


さて、

メールチェック、書類作成、資料探し、電話対応etc...を同時にこなす。

これが一般にイメージされるマルチタスクでしょうか?

実はね、ちょっと違います。

私のある日の出来事

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紙コップを使いたくて取りに行ったのに、最終的には紙コップの補充と確認モレの仕事のチェックしかしてなくて当初の目的を果たせていないですね!

同時進行で物事を進めると、このように簡単にヌケモレミスが生まれます。

この場合は、紙コップ補充を完了してから仕事の確認をしに行っているのが偉いです。へたすると紙コップ補充も忘れて、紙コップを取りに行ったはずが仕事の確認だけして終わっていた可能性があります。

本当は

1.紙コップを取りに行く(紙コップの不足に気づく)
 あとで紙コップを補充することにして、とりあえず紙コップを取って戻る。
2.紙コップを補充する
3.(もしかしたら)途中で気付いた仕事の確認をする。

3つのタスクを別々に処理をしたほうがいいのですが、ついつい同時進行のほうが効率的に思えてしまうんですよね。

結局、自席に戻ってから紙コップを持ってきていないことに気付いて取りに戻るわけですから二度手間なんですけども。

仕事や日常生活でこのようなことを繰り返していると、脳が疲れます。

実は、マルチタスク=同時進行ではなくて

マルチタスク=タスクをひとつひとつを確実に取り組むこと。なのです。

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タスクスイッチングという言い方をしているネット記事を見かけました。タスクを区切り、ひとつひとつに取り組む。

厳密に言うと、私の紙コップを取りに行く一連の動作の中でも微妙にタスクスイッチングをしています。ほんとうに同時進行にしようとしていたら、補充用の紙コップを取りに行くついでに仕事の確認をしながら歩いていた感じです。たぶん、よそ見しながらの行動なので人かモノにぶつかりますね。

ビルドで一番よく見かけるnotマルチタスクyes同時進行は、【左手で自動手指消毒剤を出しながら右手でタイムカードを押し、体温測定を受ける】です。タイムカードの押しミス、手から消毒剤がこぼれ落ちる、検温の際に前髪を上げないといけないのに消毒剤をもみ込んでいて手が使えない……と弊害だらけです。

理想は、

タイムカード打刻→検温→手指消毒

と分けることです。

一般的に複数の仕事を同時にバリバリこなしているように見える人がいますが、実は同時進行で何かを進めていません。タスクを整理して区切ってシングルタスクをどんどん片付けているだけなのです。


コンピューターならば、バックグラウンドで複数の情報処理をしながら他の作業をこなせますけれども、それは脳がたくさんあるからできること。人間は脳がひとつしかないので、1回に考えることができるのはひとつだけです。

ミーティングの途中で別の業務の資料を確認していたら、ミーティングの内容が頭に入ってきません。あとから「あれ?あのミーティングでは何の話をしていたんだっけ?」と困るくらいなら、ミーティングの間の30分はそちらに集中し、ミーティング終了後に別業務の資料を確認したほうがはるかに効率的です。このように実はシングルタスクの連続で複数のタスクをこなしていることがわかります。

さて、「話を聞きながらメモを取る」

この行動もマルチタスクで、障害をお持ちの方が苦手とすることのひとつです。

苦手だと自覚していたならば、ボイスレコーダーや音声入力のアプリを使ったり、あとからメモにまとめてもらったり、先に概要を文字情報でもらって詳細な指示を受けたり……思いつく合理的配慮は色々あります。

仕事を指示するほうも、二度手間三度手間になるよりは効率がいいので遠慮することはありません。お互いのために必要なことなんですよ。

マルチタスクをシングルタスクにするために必要なことは何でしょうか?

タスクの切り出し・整理です。

これは、オリジナルグッズ"サリュ"を開発するプロジェクトの際に使用した双六形式のフローチャートです。

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タスクの切り出しは、やり方も様式も人それぞれですが

頭の中にあるふわふわとした「やらないといけないこと」を捕まえて描き出すことから始まります。

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ごちゃごちゃ考えていると、

なんか、やることいっぱいある!!!

と混乱しがちですが、書き出してみると案外少なくて安心するものです。

タスクを切り出したら整理します。

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ついでに、期限と誰に何をしてもらうかも書いておきましょうか。

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いつ、誰が何をやればいいか明確になると、自分も周りも安心です。

他のタスク(プロジェクト)が重なっているときはそれぞれのタスクに対してこの切り出しと整理を行い、期限をざっくり決めておきましょう。おのずと優先順位が見えてきます。

あとは、ひとつひとつ上から片付けていくだけ!

個人的には手書きが一番アウトプットしやすいのでToDo用の罫線が付いた付箋を愛用しています。

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マンスリー、デイリー、瞬間瞬間のタスクで使い分けています。

が、ツールは人それぞれ。

エディターACのスケジュールテンプレートに便利なテンプレートがたくさんあるので活用してみるのもいいかもしれません!オススメ→

ちなみに、スタッフちーちゃん(仮名)のお気に入りはコレだそうです。


実は、発達障害者に多いマルチタスクの苦手の真相は

タスクの整理が苦手
優先順位づけが苦手
そもそもゆっくり考える時間を取ることができないくらい追い込まれている

といった要因が影響して複数のタスクをシングルタスクに切り出しできていないだけなのですね。

どのあたりにサポートしてもらうとやりやすくなるのか、支援者や上司と話しあってみるといいかもしれません。





いただいたサポートは利用者さんの工賃に!素敵なヘッダーイラストを描いてくださった皆さんに還元しますね。