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斬り捨てる。ハナシ

こんにちは。就労継続支援ビルドの秋田です。
突然ですが優先順位づけ、難しいですよね!!!

障害がある皆さんと一緒に働いていて、一番サポートが必要な部分だと実感しているのが
情報の整理や取捨選択の部分=優先順位づけです。

生きていると、意外と様々な場面で判断を迫られています。
ただ、優先順位づけに必要な情報処理スキルは得意不得意が分かれやすいのです。

しかも、この優先順位づけの苦手
「できないことをできるようになる」のか「受け入れて人に助けてもらう」のかという方向性も含めて取捨選択を考える必要があります。
見えない障害・大人の発達障害とされる方たちの多くが「できるようにならねばならない」という思考に執着して手放せないというところがあるので、根深いです。

なぜか

大人になってから障害がわかったり、働いている途中でメンタル不調になった場合は「みんなと同じにやる」が当たり前の文化で育ってきているゆえ、無意識のうちに
できないことをできるようになることが当然だと考えてしまうからです。
自分にはできないことがある、と受け入れることは大変です。
他の人ができていることは自分にもできる。そう思いますよね。
私たちは、
人に合わせる・人と同じことをするのが当たり前の教育を受けてきました。
うまくいかないと怒られるし、(周囲の人に)泣かれるし、気まずい思いをしてきたので、苦手なことを苦手だと表明して助けてもらったり、SOSを出してうまくいったという経験自体が少ないからです。


少し前に、「ときめきお片付け」で有名なこんまりさんが、子育てを優先して片付けを"ちょっと"諦めたというニュースが世界を駆け巡っていました。

一度手にしたもの、しかもそれで仕事をしていることを手放すというスキルの高さには感銘を受けました。
人生において何を優先すべきか?を取捨選択できるこんまりさん、さすが、片付け界のカリスマです。

片付けスキルが高い人は、「これは不要」とか「今はこれはやらない」「今、これはできない」という判断が的確なのだと思いました。

実際、情報の取捨選択や優先順位づけが苦手な方の多くは、机の上やパソコンの中の整理も苦手です。
「これはもう捨てていい」の判断が難しくて、もう使わなくなった紙の束が、引き出しにごっそり残っているというようなこともあります。
タスクの管理も同様で、「これは後でいい」とか「これはすぐにやる」の判断が難しくて、全部”やらなきゃランキング”上位にランクインしている状態になっています。
パソコンのフォルダ分けのようにルールが決まっていることは上手にできるけれど、日常生活や人間関係にはマニュアルが無いので難しいというパターンもあります。

そう、自分なりのマニュアル・基準を決めていけばいいのです。自分一人で決めるのが難しいとか、そもそもどこにルールや基準が必要なのか気づきづらい場合は支援者に手伝ってもらうといいです。

秋田の愛読書である【要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑】では、優先順位をつけられない理由は”優先順位づけするものさしが無い”から、と表現していました。
公開されている目次だけ並べてみても、「なるほど!」となると思います。

  • 優先する「人」の順番を決めておく

  • 先にスケジュールを入れて、空いた時間を把握する

  • いっぺんにたくさんやりたい気持ちを抑える

  • 「締切」と「質」で迷ったら、締切を選ぶ

  • やらないこと・できないことを決める

気になった方は、ぜひ中身も読んでみてください。

ビルドは作業の練習・スキルアップをする場所なので、今の作業の他に別のやりたいことが出てくることもあります。しかも、今やっていることをやりながらこれもやりたい、ということが起こります。一応支援計画の作業内容に入れておくけれど、実際はできる作業量に限りがあります。3か月後に振り返ってみたら「結局やらなかったねぇ。今じゃなかったねぇ」ということもあります。
そうやって少しずつ、自分のキャパシティを把握していくと、「やりたいけど今じゃない」とか、「これをやるためにはこっちを優先しないといけない」と自分で判断できるようになります。

また、利用者さんとの面談などの際に「気づかないうちにハマっていた呪縛」に気づく機会があって
じゃあ、そこをこれから整理しようか。という場面も起きます。

このように、日常のコミュニケーションや支援の中で少しずつ自分の思考のクセを把握したり、自分のキャパを確認したりしているうちに、じんわりと少しずつ優先順位づけができるようになっていくことが多いです。
ただし、全部を完璧にできるわけではないので、そこは「話をしているうちに整理ができた」とか、「相談してみたら解決策がわかった」といった成功体験の積み重ねも重要となります。

冒頭に書いた

「できないことをできるようになる」のか「受け入れて人に助けてもらう」のかということも含めて取捨選択できるのか、を考える必要があります。
見えない障害・大人の発達障害とされる方たちの多くが「できるようにならねばならない」という思考に執着して手放せないというところがあるので、根深いです。

の部分
どちらかにしないといけないわけではなくて「ここはできるけれど、ここは助けてもらおう」という判断ができるようになることもひとつの取捨選択になるでしょう。

そのような経験をできるのも、就労支援事業所の良いところだと思います。


いただいたサポートは利用者さんの工賃に!素敵なヘッダーイラストを描いてくださった皆さんに還元しますね。