サンライザー解体新書~お前を解体したい~

◆♨◆よく来たな。俺はバグ噴射総一郎だ。この文章を読む前におまえは「ニンジャスレイヤー」について知るべきだ。俺はおまえのママではないので詳しい説明は省くが、ニンジャスレイヤーWikiというたいへん便利なサイトがあるので、メキシコへ旅に出る前にそちらを見るといい。第三部に「フォロウ・ザ・コールド・ヒート・シマーズ」という話がある。今回はその主要キャラクターであり真の男「サンライザー」について書くので、まだ読んでないなら決断的に読むことだ。◆🍣◆


はじめに

 日本人と自動車は切っても切れない関係にある。1960年代以降、日本の自動車メーカーはどこも技術力競争に励み、レースにおいて自社の技術力をアピールしていた。世界最高峰のレースと言われているF1(フォーミュラ・ワン)がその最たる例で、ホンダは早くから参戦、F1で得たノウハウを実際の商品としての自動車にフィードバックしていた。その中で大勢の個性的なドライバーが現れた。ジル・ヴィルヌーヴ、ニキ・ラウダ、アイルトン・セナ、ミハエル・シューマッハ、ジェンソン・バトン、フェルナンド・アロンソ、キミ・ライコネン。日本人で言えば鈴木亜久里、中島悟、片山右京、佐藤琢磨、小林可夢偉。モータースポーツに興味が無くても、名前だけでも聞いたことある人は多いと思う。そして彼らは皆一つの共通点を持っている。

「俺が世界一速い」と信じて疑わないことである。


サンライザーとはいかなる男か

 ◆忍◆ ニンジャ名鑑#473 【サンライザー】◆殺◆
元カースタントにニンジャソウルが憑依。その後しばらく闇社会でバウンサー稼業を営んでいたが、なんらかのきっかけを経て、やがてレーサーとして頭角を現す。危険かつ過激な荒野のレースイベント「ハシリ・モノ」の連続優勝記録保持者。 ・・・ニンジャスレイヤー「ニンジャ名鑑」より

 外観は流れるような金髪に加えエクステンションの如くLANケーブルが見られる。レース時はヘルメットとドライビングスーツを着用するがレース時以外は全裸か布一枚。性格は傲慢不遜。「チャンピオンがどこへ行こうと勝手だろう」「ほしいままに!オイラン!風呂!スシ!カネ!」といった台詞は彼の為人をよく表している。実際はレースの優勝賞金を回収するための運営の手先であり、各関係企業から最新鋭の機器の提供を受け、実地でのテストパイロットも兼ねている。その一方でレースそのものを妨害されることを許さない、自らが認めた相手に対してはモータル(非ニンジャ)に対してもオジギをするという律儀な面が見られる。

 先ほどF1の名レーサーの名をいくつか挙げたが、実を言うとサンライザーの性格はF1の歴代トップレーサーの気質に似ている。現在のようにテクノロジーが円熟していない時期はチームよりマシンを操るレーサーにスポットライトが当てられる機会が多く―今でも決して少なくはないが―ワールドチャンピオンになったレーサーは間違いなくヒーローであり、倹約家でなければそれこそ莫大な金、美女、豪勢な食事、最新鋭の乗用車、クルーザーに豪邸・・・と「ほしいまま」だったのである(むろん、翌年のシーズンのためのトレーニングやマシン開発のため時間だけはどうにもならんが)

 歴代のトップレーサーは総じて気難しい・・・ストイックな性格であることがほとんどである(もしくは悪ガキかお茶目か)。危険な幅寄せやあからさまな挑発ならたとえチームメイトでもブチ切れるし、見事な走りをしたレーサーには賛辞を述べる。こういった点から、あくまで私見ではあるがサンライザーは旧き良き時代のトップレーサーの有り方そのものがモデルになっていると考えている。

マシンについて

 ここまではモータースポーツの代表格ともいえるF1を基に話を進めてきたが、マシンの話になってくるとそうもいかない。まず第一に「ハシリ・モノ」は優勝者以外だいたい死ぬデスレースである。サンライザー以外はどいつもこいつも機関銃やロングボウなどであからさまに武装している。第二に、荒れ地を走るレースであるため、参考とすべきマシンを選ぶのであれば、数あるレースの中でもWRC(世界ラリー選手権)に出られるようなタフなマシンを選ぶべきだろう。ここでフォーミュラカーやカートは論外。GT500などで用いられる空力特性のために車高を低くしたマシンではオフロードの走破は現実的ではない。

 ゆえにそういった点でどんなマシンかを想像することになる。知っての通りサンライザーのマシンには明確な名前が無く「車体がプラチナゴールド」「外装は電子戦争(2000年ごろ)以前のヴィンテージ・スポーツカーのレプリカで、内部は2030年代の最新鋭技術が用いられている」ぐらいの事しか判明していない。駆動方式すら明らかでない。だから我々も実在する車で似通ったものを探すしかない。

 かなり強引に絞って、サンライザーのビジュアルと「ヴィンテージ・スポーツカー」という言い回しから考えて海外の車、それも1900年代後半の車、少なくとも車高は低くなく、コーナリングでネズミハヤイと接触してスピンで済むぐらいなので重心は良好かつタイヤに特殊技術なし、<枯れ野>に入る際樹海を突破していたので湿った地面でも問題なく走破できる、という条件で絞っても候補車が山ほど出てくる。しかも技術的問題はサンライザーのワザマエでどうにでもなってしまう。サンライザーの車が物理書籍で出るのを期待したが次の物理書籍が「ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ(上)」なので下手したら物理書籍に乗らない可能性すらある。だからもういっそ上記の条件を満たしつつ強引にサンライザーが乗りそうな車を出すことにした。一応気休め程度にナンデそれを選んだかは書いておくのでセプクは勘弁していただきたい。

①ポンティアック・トランザム(第三世代):ポンティアック・ファイヤーバードシリーズの最高級車。カーアクションの金字塔ともいわれるTVドラマ「ナイトライダー」のナイト2000のモデルとして有名。FR車だがドリフトを巧みに使うサンライザーにとってはFRのほうが都合がよかったのかも。

②ランチア・ストラトス(ホモロゲーションマシン):個人的には最有力候補。WRCに勝利する目的で作られたホモロゲマシン(※1)なので希少価値が高く、ヴィンテージそのものである。ミッドシップエンジンなのでコーナリング時の慣性モーメントが小さく、旋回のオン・オフが効きやすいのもコーナリング重視のサンライザーのスタイルにピッタリか。また、ミッドシップの欠点は限界を超えるとスピンしやすいことにあるが、サンライザーの敗因もスピンによるものである。

③ランチア・デルタ・インテグラーレ(4WD仕様):WRC六連覇を成し遂げたマシン。WRCのみならずグループA(※2)でも活躍した名車。

④シボレー・コルベットC4改「スレッジハンマー」:アメリカの代表とも言えるコルベットの四代目(C4)をベースに、1988年にキャラウェイが改造を施したマシン。900馬力・最高時速409kmという驚異的なスペックを発揮し、2005年にブガッティ・ヴェイロンに抜かれるまで市販車最速の地位を維持し続けた。

⑤ベントレー・マークV、ロールスロイス・ファントムIII、ロールスロイス・レイス:日本クラシックカークラブ及び東京都では1919年から1945年までに発売された車を「ヴィンテージカー」と定義している。それに則り、最新鋭機器の収納スペースが確保できる、あるいはガワだけ最新鋭マシンに被せられるという点で浮かび上がったのがこの3台である。「ヴィンテージ・スポーツカーのレプリカ」だからこそできる芸当である。

まとめ

 マシンに関してはレース好きの筆者でもこの程度しか挙げられなかった。ダイハード・テイルズ広報曰く二次創作のデザインはコミカライズやわらいなく=サンのデザインに囚われる必要はないという。だからトヨタ2000やホンダ・インテグラに乗ったりイルカチャン型四輪駆動車に乗ったりするサンライザーがいてもおかしくはない。100人ヘッズがいれば100通りのサンライザーがいるのだ。わかったか。


おまけ:ビッグユージについて


◆忍◆ニンジャ名鑑#505【ビッグユージ】殺◆
非ニンジャ。フジサンで開催される過激な長距離レース「ハシリ・モノ」の名物司会にして主催者の一人。総金歯と眼帯、白スーツがトレードマークの小男。闇カネモチにドゲザし、ニンジャの暴虐にも耐え、 片目も歯も失った。夢の為にだ。  ・・・ニンジャスレイヤー「ニンジャ名鑑」より

 レース解説役にして片目や歯を失おうともレースに情熱を捧げ、運営の意向とサンライザーの誇りの間で板挟みになる苦労人、それがビッグユージである。我らがニンジャスレイヤーWikiでは「トニー谷」(※3)がモデルとして挙げられてるが、筆者としてはもう一人脳裏に浮かぶ人物がいる。

 マクラーレングループ総帥にしてマクラーレンF1チーム代表、完璧主義者ロン・デニスである。F1界史上最大の悪ガキにして「地獄からの帰還兵」ことゲルハルト・ベルガーの暴虐(アイルトン・セナと共謀したベルガーにワニ沼に突き落とされ、年俸アップを条件に助けられた)(マクラーレンの新車をお披露目するときにベルガーのイタズラでクラッシュした)(ダイビング中に酸素ボンベのスイッチを切られた)(クルージング中にサメを呼ぼうとして撒き餌と一緒に海に放り投げられた)にも耐え、真面目なキャラクター性も威厳も失った。優秀なレーサーのためにだ。

 レース関係者の気苦労は絶えない。今までもこれからも。


(※1):最初からレース用に設計・開発されたマシン。市販車を改造してレースに出るのと逆のパターンなので、「年間○○台販売」などの制限を満たさないとレースに参加できない。

(※2):市販車をカスタムして行われるレース。同じく市販車ベースで行われるグループBと比較して改造制限が厳しい。

(※3):トニー谷をモデルにした著名人として「おそ松くん」「おそ松さん」のイヤミが有名。


追記

 先日、元F1ドライバーの佐藤琢磨がインディ500で優勝するという歴史的快挙を成し遂げた。あえて他のスポーツで例えると、テニスで言えばウィンブルドン優勝、ボクシングで言えばヘビー級世界王者、忍殺で言えばモータルがニンジャを倒すぐらいの快挙である。2004年、BARホンダ時代から追い続けた甲斐があった!おめでとう!

追記その2(2016.6.2)

 本文中に「チームメイト相手でもブチ切れる」と書いたが、F1におけるルールに触れていなかったので「えっチーム制なの?」と疑問を抱いた方のために補足しておく。

 F1では1つのチームにつき2台のマシンが出走する。各チームファーストドライバーとセカンドドライバー、リザーバー・テストドライバー・マシン開発要員としてサードドライバーを用意する。レースの細かいレギュレーションは毎年運営が変更する(これが毎年賛否両論となる)。レースは世界各国で20回近く行われる。1回のレースでの順位に伴いポイントが加算され、最終レース終了時点で最もポイントの多いレーサーがその年のワールドチャンピオン、所属ドライバーのポイントの合計が最も多いチームがコンストラクターズ・ワールドチャンピオンとなる。そのため、同じチームに所属しているドライバーは協力関係にあり、かつワールドチャンプの座を奪い合うライバルとなる。

 参考までに2016年のF1の記録を記す。1つのレースで貰えるポイント(以下p)は1位25p、2位18p、3位15p、4位以降は12p、10p、8p・・・と続き最後は10位1p。2016年は21回レースが行われ、ワールドチャンピオンは合計385pを稼いだニコ・ロズベルグ、総合2位は380pのルイス・ハミルトン。この二名はどちらもメルセデスAMG所属なので、765pと圧倒的なポイントを得てメルセデスがコンストラクターズ・ワールドチャンピオンとなった。

 残念ながら現在は日本でのF1の地上波放送は終了している。しかし観戦する術はある。BSフジかスカパーで見るか、三重県鈴鹿市で行われる日本GPを見に行くか、いっそ外国に行くか。ちなみにメキシコでもエルマノス・ロドリゲス・サーキットで開催されている。標高約2300mのタフなサーキットだ。

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