改訂:悪性隔絶魔境新宿の考察+カルデアエースの謎
(本文章は2017年5月27日ふせったーに投稿した文章に加筆修正、カットした部分を追加したものです。またFate /Grand Order「冠位時間神殿 ソロモン」「悪性隔絶魔境 新宿」、「カルデアエース」、「月姫」、「路地裏ナイトメア」についてのネタバレを含みます。)
私がFGOを始めたのは、2017年1月の事だった。
前々から興味を持ちつつも仕事の転属や引っ越しで忙殺されていたので数々のイベントに参加できなかったが(らっきょイベントやりたいです)、その後3月半ばに第1部をクリア。そのままの勢いで新宿を進めつつ、ぐだぐだ本能寺復刻版、明治維新、CCCイベントと忙しいFGOライフを送っていた。
FGOはFateの名に違わず、ストーリーとキャラクターを売りとしている。特に六章、七章の面白さ、最終章の怒涛の展開もさることながら、1.5部の第一弾として公開された「悪性隔絶魔境 新宿」はホームズフリーク、並びに巌窟王贔屓の私としては大変に面白くありがたい作品だった。
事前にネタバレを完全シャットアウトした上で臨んだため「このアーチャー、モリアーティ教授と見せかけてモラン大佐(※1)じゃねえの?あっ魔弾の射手とくっついた教授でしたすいません」だの「あっこいつはあからさまにスリーピーホロウだけど下の狼はなんや、フェンリルか?Fakeでエルキドゥのマスターやってた銀狼の合成獣か?違うやんけ!」だの「すまない・・・水滸伝はあらすじしか知らないんだ・・・本当にすまない・・・」だの「Ah・・・Where are you from,Bob?」などのたまいながらプレイしていたが、ストーリー自体も推理モノの要素を押さえており、黒幕は誰か、そもそも幻影魔人同盟とはなにか、アウトレイジよろしく全員悪人もとい悪属性の中誰が裏切り者(ダブル・クロス)なのか、など先を推理・予測しながらプレイするのが楽しかった。毎ターンインビジブル発動するアヴェンジャーは思い出したくもないが。
最終局面で助っ人に現れた探偵たちは正直ブラウン神父と「ベルギー人」と呼ばれていたのがエルキュール・ポアロなんだろうな、ということ以外わからなかった。後で調べるとブラウン神父以外は「隅の老人」「ヴァン・ドゥーゼン」「ソーンダイク」と出てきた(すまない・・・名前ぐらいしか知らなくてすまない・・・隅の老人に至っては初めて知ってすまない・・・)。
協力者たる魔神柱バアル(特技は変身)を失い、モリアーティはダブル・クロスという策を取ってしまったがゆえに正義の味を知ってしまったこと&「お前が犯人だ!」の決定的宣告を受け、敗北することになる(主人公の「アレ、楽しかったでしょ?」はプレイしてる側にも刺さった 実に楽しかった)
ところで、最近発刊されたカルデアエースを読んでから改めて新宿のストーリーを見直すといくつか興味深い点が出てきた。
FGOの世界においては「シャーロック・ホームズは実在する」「生前からジキル博士、エレナ・ブラヴァツキー女史と知己であり、バリツでキメラを倒す腕前(※2)」「自称キャスター」であることが明言されている。TYPE-MOONエースでは「知名度補正や逸話からセイバーやアーチャーで召喚される可能性もある」との記述もあった。新宿では主人公の信頼を得るため巌窟王エドモン・ダンテスの姿を借り、「エドモンに変装したホームズ」をフレンド枠で使用することもできた(性能はエドモンと同じ)。
FGOのホームズには、とにかく謎が多い。原典でも長年の付き合いであるワトソンが気づけないほどの「変装」の達人だが、戦闘時にエドモンの能力を使っていたので、バリツが瞬間移動と黒炎を出す武術でない限り「変身」関係のスキルか宝具を持つと思われる。変身能力はランスロット(狂)がFate /Zeroで披露していたのでまだわかるが、六章でアトラス院に居た理由、「巌窟王の姿を取れば主人公の信頼を円滑に得られる」ことをどこで知ったのか、なぜ複数の特異点にわたってビーストめいて単独顕現しているのか、カルデアに来た真意は、など謎が多い。というか怪しい。
そして巌窟王エドモン・ダンテスである。
「ある人物の依頼」で新宿に来たようだが、ある人物とは誰か。
「シェイクスピアのファン」と言及されているため、ハムレットに感銘を受け作家を目指したアレクサンドル・デュマの依頼という説が有力である。
Fate /strange Fakeでデュマはキャスターのサーヴァントとして登場し、対ギルガメッシュ用の切り札としてエミヤよろしく宝具の贋作を量産、マスターの部下に提供している。現状でステータス・宝具は不明。エドモンの実在の可能性については、終始あえてぼかした言い方をする。(あと口がめっちゃ悪い、下品なホラ話ばっかりする)
そんな中カルデアエースでなんと「生前のエドモン・ダンテス」が描かれたドラマCDが公開された。
内容を要約すると
【モンテ・クリスト伯ことエドモン・ダンテスは、ファリア神父を無実の罪でシャトー・ディフへ送った三賢人への復讐のためローマへ渡り、聖堂教会と敵対する。一人目のターゲットである代行者アンジェロを捨て身の罠で殺害し、二人目のターゲット、代行者タランテラを倒そうとする。しかしタランテラの正体は死徒ロア(※3)であり、追い詰められたエドモンは十四の秘宝に由来する黒炎でロアを完全に消滅させた。最後の一人、枢機卿は失脚させられた。】
ホームズ同様、生前のエドモンの活躍が公式で出たことで彼は実在するということになる。型月の作品は後述の理由からまじめに考察するとキリがないが、少なくともFGOの世界では
「ホームズとワトソンは実在する。ワトソンの著書が世に出ている形になる」
「エドモン・ダンテス、エデ、ファリア神父は創作ではなく実在する。エドモンの黒炎は神秘に類する」
「FGOの世界にも死徒が存在する」
「ロアの転生体は今後登場しない」
という事になる。
同一サーヴァントが分霊という形で複数現れる(※4)という事があるにせよ、肝心な部分を伏せて行く先々に現れるホームズと、「何者か」の依頼で新宿に来たエドモン、そしてその「何者か」が2部でのカギを握っていると思いたい。あとモラン大佐をアーチャーで実装して宝具演出で銃を高速で組み立てたり岩とか投げさせてほしい。
<以下加筆分>
さて、前述のドラマCDについて、「エドモンがロアを倒した」という事だけをスカムまとめブログが断片的に報じた結果、そのストーリーを快く思わない人も現れている。私もロアには愛着がある。メルブラでロア使ったとき「なんでこいつだけコンボ難易度高いねん」などと愚痴りながら使い続けたり、コハエースに少し出ただけで「出た!いなくなった!」と喜ぶぐらいには愛着がある。そこで、型月作品のパラレル設定がどうなっているのか、今一度おさらいすることでこの問題を解決したい。先ほど「まじめに考察するとキリがない」と述べたが、Fate関連作品だけでも奈須きのこ氏以外の方が書いていたり、人物像の解釈が異なっていたり、いるはずの死徒二十七祖の大半が設定だけだったり(※5)「きのこの言う事を真に受けるな」などと言われていたりするので、あまり真面目に考えると脳細胞とかによくないので参考程度に留めてほしい。
①大前提として、人理が脈動し、英霊がサーヴァントとして召喚されるシステムが整った世界がFateの世界であり、そうでない世界が月姫の世界である。ただし例外として「Fate/strange Fake」はどちらとも取れる。FGOは人理を扱ってきたので、現段階ではどちらとも言えない。
②Fateの世界では死徒はサーヴァントほどの力を発揮できず、頂点たる二十七祖は存在しないとされる。逆に月姫の世界ではサーヴァントは存在せず、死徒二十七祖が世界の闇に君臨している。戦闘力も、実力の30%の状態のアルクェイドが通常のサーヴァントの4倍の戦闘力、個体能力は2倍とされる(「通常のサーヴァント」が誰レベルなのかは不明)。
③Fateの世界観ではアーサー王が男か女か、70年代にマナが尽きたか否か、第三次聖杯戦争でアインツベルンが召喚したのが天草四郎かアンリマユか、ロマニ・アーキマンが誕生したか、などの要素により複数の作品に分岐する。
④すべての作品において「魔法」とは「他の手段で不可能なことを可能にする」ものであり、魔術とは大きく異なる。聖杯は第三魔法の副産物である。
⑤第二魔法「並行世界の運営」(※6)を行えるのがキシュア・ゼルレッチ・シュヴァインオーグ(概念礼装・カレイドスコープで横向いてるじじい)である。彼は死徒二十七祖の第四位で、彼が観測した並行世界は事実となる。
なんやかんやと書いたが、世界を行き来できる存在であるゼルレッチ翁以外、Fate世界の死徒は強大な力を持てないし、また、ゼルレッチ翁以外の死徒二十七祖は存在しない。すなわち「エドモンが消滅させたのは並行世界のロア(※3)」で、アルクェイドに血を吸わせて死徒となったロアとは異なる存在である。ロアの扱いがあんまりだ、と思っていた諸氏の疑念を晴らすことが出来れば幸いである。まあロア第一回人気投票で0票だったそうですけどね(台無し)
※1:セバスチャン・モラン大佐。モリアーティ教授の右腕。猛獣狩り、射撃の名手。ライヘンバッハで生き延びたホームズに岩を投げたり、カードクラブでイカサマして生活費稼いだり、イカサマがバレたら相手を特注の銃で射殺したり、ロンドンに帰還したホームズを狙撃しようとして逆に待ち伏せ作戦で捕まったりした。銃弾はダムダム弾。
※2:カルデアエースより。ちなみにバリツとは日本の武術であり、柔術説や相撲説があるが詳細は不明。具体的にはモリアーティ教授をライヘンバッハの滝つぼにぶちこんだ。(正当防衛)
※3:本名ミハイル・ロア・バルダムヨォン(Micael Roa Valdamjong)。「月姫」のラスボス。死んでも転生し、覚醒すると転生体の人格にロアの人格がプラスされ殺人鬼となる。FGOではアルクェイドとの出会いが無かったため「月姫」と違う形で死徒化と転生術を得た(ゆえに原作よりは弱いらしい)。そういや月姫リメイクの話はどうなったんだろう
※4:七章の牛若丸の台詞に「カルデアにいる牛若丸と自分は別と考えてもらいたい」といった意の発言がある。七章の時点でうちのカルデアには牛若丸も弁慶もいませんでした。もうバーサーカーになって増えたりしないでね。
※5:最強の力を持つORT(第五位)の初登場は、よりにもよってコハエースXP(ぐだぐだオーダーとか書いてる人の作品)である。知性体相手なら最強のキアラと最凶最悪のタッグを組んだり忘年会にしれっと参加したりPSvitaが初期型じゃなかったりした。
※6:佐々木小次郎の宝具「燕返し」は第二魔法の領域に片足を突っ込んだスゴイヤバイ級の技である。FGOで佐々木小次郎(剣)とか出たら☆5間違いなし!
おまけ:死徒二十七祖一覧
英霊は人類史を肯定する存在である。死徒は人類史を否定する存在である。
第一位:プライミッツ・マーダー
「霊長の殺人者」「ガイアの抑止力」。
その正体は人類に対する絶対殺害権を有する災厄の獣キャスパリーグ。FGOにおける「ビーストⅣ」「フォウ君」。
第二位:the dark six
最初の死徒。詳細不明。
第三位:朱い月のブリュンスタッド
「タイプ・ムーン」。死徒誕生の原因。真祖の始祖。
第四位:キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ
朱い月のブリュンスタッドを倒した際に死徒化した。
第五位:ORT
「タイプ・マアキュリー」。宇宙から来た。現在休眠中。
第六位:リィゾ=バール・シュトラウト
「黒騎士」。遠野志貴のライバル候補。
第七位:腑海林アインナッシュ
吸血植物の群体。固有結界と勘違いされていた。
第八位
フィナ=ヴラド・スヴェルデン
「白騎士」。ショタコン。
第九位:アルトルージュ・ブリュンスタッド
実質的な死徒のトップ。黒騎士と白騎士は彼女の護衛。
第十位:ネロ・カオス
おなじみCV.中田譲治。666の獣を体内に有する。
ロアとは盟友。
第十一位:スタンローブ・カルハイン
既に教会によって倒されたが怨念は未だ残留している。
第十二位:教会にて封印中。
第十三位:名称不明
「タタリ」。存在するとされている。
第十四位:ヴァン・フェム
表社会で財閥のトップの地位についている。
第十五位:リタ・ロズィーアン
魔眼蒐集列車の支配人。蒼崎橙子とルゥ=ベオウルフにオークションを台無しにされた。
第十六位:グランスルグ・ブラックモア
死徒でありながら死徒への優位性を持つ。
第十七位:トラフィム・オーテンロッゼ
アルトルージュと並ぶ二大派閥を持つ最古参の一人。
第十八位:エンハウンス
半人半死徒で、死徒でありながら死徒を狩る。
魔剣「アヴェンジャー」を有する。戦闘を重ねるたび神経が破壊され、肉体は腐っていく。
第十九位:教会にて封印中。
第二十位:メレム・ソロモン
「王冠」の二つ名を持つ悪魔使い。
敵対する教会に所属している変わり者。
第二十一位:スミレ
酒を好む。流水を克服した代償に陸上での活動が難しい。
第二十二位:教会にて封印中。
第二十三位:教会にて封印中。
第二十四位:エル・ナハト
相手を道連れに死亡し、自らは数十年後に復活するため一騎打ちでは最強。
第二十五位:教会にて封印中。
二十六位:教会にて封印中。
第二十七位:コーバック・アルカトラス
聖典を作り上げ何者も侵入不可能な迷宮に隠すも、自分も出られなくなった。
番外位:ミハイル・ロア・バルダムヨォン
「アカシャの蛇」。 転生を繰り返すことで「永遠」を実現した死徒。
自らアルクェイドに血を吸わせたため、高い戦闘能力を持つ。
盟友ネロ・カオス以外からは嫌われている。
後の作品のキャラと似た名前・要素を持つキャラがチラホラいるような・・・
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