🦋スタッフ不定期コラム🦋イベントレポート「トンコハウスアーティストと描く、スケッチイベント」

BUGのスタッフたちが仕事をするなかで気になった本や、日頃思っていること、仲間がつくった展覧会のピアレビューやレポートなど、つらつらと書き連ねる不定期連載シリーズ。今回は石井貴子さんの執筆したイベントレポート「トンコハウスアーティストと描く、スケッチイベント」です！

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2024年7月27日（土）から8月25日（日）、BUGにて「Summer Studio 2024　トンコハウスとつくる展覧会・ワークショップ」を開催します。開催に先駆け、5月12日（日）に、トンコハウス創設者のひとりであるロバート・コンドウさんをお迎えし「トンコハウスアーティストと描く、スケッチイベント」を行いました。
 
ロバート・コンドウさんは2002年、憧れていたピクサーでスケッチ・アーティストとして活躍。背景美術監督として『トイ・ストーリー3』『モンスターズ・ユニバーシティ』を手がけたのち、2014年7月に堤大介さんと共にアニメーションスタジオ「トンコハウス」を設立しました。展示会やイベント、ワークショップの開催など多角的に活動されています。
 
スケッチを通して交流する本イベントは、BUGがあるリクルート本社ビルの22階で行いました。ロバートさん、通訳兼講師として参加されたアーティスト橋爪陽平さんと共に、各々がモチーフを囲み着席。

開始前のロバートさんからのお話が印象的でした。
「僕はスケッチをしながら皆さんとお話がしたいと思っています。ぜひ描いているところを気軽に見に来たり、質問しに来てください。お互いにとても緊張していると思いますが、スケッチをすることに正解・不正解は全くありません。ノートを取るような感覚できちんと捉え、観察することを楽しんでいただければと思います。」

トンコハウスはこれまでにもアニメーション業界を目指す方や、業界で活躍されている方々を対象にスケッチイベントを行なってきました。スケッチを通した交流の中で、参加者同士のコミュニティが生まれ、気軽に話し合える特別な場になっているといいます。

スケッチにおいて大事なのは、シンプルなモチーフをシンプルなライティングでじっくり観察すること。100分間という限られた時間の中、時に言葉を交わし合いながら、完成につれて場に一体感が生まれるのを感じました。

後半は参加者からの質問にロバートさんが回答する場面もありました。

参加者）幼い頃からずっと絵を描いています。修行のように感じてしまい、正直苦しいことも多いです。描くことを楽しむコツはありますか？

ロバートさん）習得するものだと構えるとプレッシャーになり、どうしても楽しめなくなってしまいます。大事なのは、自分がどういう時に楽しいと感じるかを知り、自覚すること。学生時代はプレッシャーから楽しめないこともありましたが、日常を見渡せば美しいものがたくさん見つかると気づき、描くことを自然と楽しめるようになりました。
 

参加者）制作で行き詰まった時、ロバートさんはどうしていますか？

ロバートさん）迷った時はまず制作の手を止め、外に出ること。「探すこと、習うこと」を優先させるように意識しています。様々な脚本家やアーティストなど、インスパイアをもらえる人に会いに行くようにしています。
また、一人で悩まず、誰かに話すことをとても大切にします。自分のアイデアをどう思うか？どうしたらいいと思うか？ということをフラットにコミュニケーションを取り、意見を求める中で、自分の考えを整理し解決に向かえます。
信頼できる協働者と相談し合うことは、一人で悩むよりも早く解決ができるし、心理的に安心して進められる。結果的にいい制作に繋がると思っています。

トンコハウスは “Inspire Curiosity”というビジョンを掲げていることも話してくれたロバートさん。自身も好奇心を探究し、常に広い視野で学び続けることを大切にする真摯さが伺え、まさにビジョンを体現されていると感じました。

参加者からは絵のテクニックではなく、制作上の葛藤や自分との向き合い方に関する質問が多かったのが印象的でした。アーティストやアートワーカーは個人で活動される方が多いからこそ、精神面の悩みを話せる交流の場づくりがとても大切だと再認識しました。

BUGにとっても初の試みだったスケッチイベント。参加者とフラットな関係性でひとつのモチーフを描き、作品を通してお互いを知ることができる心地のよい空間となりました。参加者の皆さんの作品も本当に素晴らしく、圧巻でした！
ロバートさん、橋爪さん、参加者の皆さん、本当にありがとうございました。

6月〜7月にはトンコハウスのクリエイターを講師にお迎えし、小学生・中学生・高校生を対象としたワークショップを開催します。

トンコハウスが大切にしていることや制作プロセスを教わりながら、オリジナルのキャラクターを考え、デザインし、キャラクター画やストーリーイラストを制作します。
ワークショップで制作した作品や制作の様子は、7月27日よりBUGにて展示させていただく予定です。トンコハウスと学生たちによる夏の特別プログラムを、ぜひお楽しみに。

「Summer Studio 2024 トンコハウスとつくるワークショップ・展覧会」　会期：2024年7月27日（土）〜8月25日（日）
https://bug.art/exhibition/summerstudio-2024/

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このレポートを執筆したのは・・・

石井貴子（いしい たかこ）
1994年神奈川生まれ大阪育ち。営業職の経験を経て、2023年4月からリクルートアートセンターに配属、企画・運営を担当。
アートセンターBUGでの主な仕事には「バグスクール」「Summer Studio」の企画運営、WEBサイト運営など。写真を撮ること/見ること、植物園巡りが好きです🌱