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「畑」や「食」から幸せの引力を創るコミュマネ|BUFF卒業生の今 #03

大学3年時から埼玉県越谷市で畑を借り耕しはじめ、「畑」や「食」を通して「幸せ」を創る株式会社Share Re Green代表取締役の瀬戸山 匠(せとやま たくみ)さん。2020年末には、「新しい食文化」をデザインする「やさいのキャンバス」というプロダクトを開発し、クラウドファンディングを行う。私たちBUFFインターン生はそんなBUFF卒業生の今の活動を聞いた。

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1, ラオスとの出会い、そして研究と実験


ー瀬戸山さんは、今、「やさいのキャンバス」というプロダクトでクラウドファンディングをやられていると思うのですが、改めて自己紹介とともに大まかに教えていただけますか?

瀬戸山 匠(以下、瀬戸山):
Share Re Green代表の瀬戸山匠です。「やさいのキャンバス」というのは、“野菜"と“はちみつ”でできたチューブ状のクリームで、パンやクッキー、ホットケーキなどにお絵かきをして、食べることができるようになっています。

ーありがとうございます。この「やさいのキャンバス」はどのような経緯で開発に至ったのですか?

瀬戸山:
そうですね。まず僕自身が行う「やさいのキャンバス」などの商品開発は、学生時代から続けているラオスでの活動がきっかけとしてあって。

ラオスに初めて行ったのは、大学2年の夏頃で。大学生になってから怪我でサッカーができなくなって。自分からどのようにコミュニケーションをすればよいかわからなくなっちゃって、とりあえず新しいことをやってみようかなと思って海外に行こうと思ったんです。

僕は経済学を勉強していて、経済活動は幸せになるためにやるんですよって習ったんです。だけど幸福度ランキングが高い国って、例えばブータンとかは幸福度ランキングが1位って出ているのに、GDPがめっちゃ低いんです。それはなんで経済活動が盛んでなくても幸せな人がいるんだろう?って疑問に思ってラオスに行きました。

ラオスでは小学校を改築して中学校を建てたりと教育系の活動をしているんです。この活動は今も続けていて、社会人になっても年に2回ずつくらい村に行っていて。でも僕らはただ教育の活動をして贈与しているだけではなくて、ラオスの人たちがなぜ「主観的幸福感」がなぜ高いのかという研究をさせてもらっているんです。

今現在、200人ぐらいのインタビューのデータが溜まってきたんです。そのインタビューから彼らがなぜ幸せなのかという相関を出すことができれば、僕は日本の社会にそれをインストールすることで彼らの幸せに近い幸せをを擬似体験をできるんじゃないかって。

「やさいのキャンバス」はまさに「主観的幸福感」をインストールするための社会実験の一つとして始まったんです。

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2,コミュニティアレルギー


ーそうだったんですね。ラオスでの「主観的幸福感」が根底にあったんですね。瀬戸山さんが「コミュニティ」という文脈に至ったのにはどんなきっかけがあったんですか?

瀬戸山:
まず僕は元々「コミュニティ」という言葉にちょっとアレルギーがあって。子供の頃からサッカーとかやってはいたんだけど、とにかく大人数が苦手でさ、4人以上いるといつも無理していて(笑)。大学生の時には、自分で団体を立ち上げて代表というのに初めてなったんだけど、20人くらいのメンバーも全然まとめられなくて。もう「コミュニティ」とか「マネジメント」って言葉がアレルギーだったんです(笑)。

「コミュニティ」に対する意識が変わったのは、まさにラオスに行った時に学んだ「主観的幸福感」で。この主観的幸福感を上げるためには、「精神性」と「身体性」と「関係性」の3つが保たれている状態でなければいけないって指標があって...。僕はその「関係性」の所にうわって思って、「コミュニティ」にアレルギーがあったから(笑)。

だけどその主観的幸福感という視点をもってラオスに行ったら、農村の景色の見え方が全然変わったんです。「あぁ、関係で成り立っているんだな」とか「これがコミュニティなのか」って思って。確かにコミュニティがあった方が幸せなんだなっていうのはラオスでヒアリングして初めて気づいたんです。

ーなるほど、アレルギーが治ったのも、ラオスとの出会いだったんですね。

瀬戸山:
そうそう。ロングステイしてたラオスでのホームステイ先ではね、朝ごはんをさ隣近所の人と一緒に食べるんだけど、日本じゃ、朝から迷惑だって話じゃないですか(笑)。だけどそれがめちゃめちゃ楽しくて、大変なことは色々あるんだけど、これがコミュニティなんだなって思って。コミュニティがあってそこに所属していることが、1人でいることよりもずっと幸福度が高いんだなってのを自分で学んでいく中で理解してきて、少しずつアレルギーが治っていきました(笑)。

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3,なんでもできる畑をつくる


ーBUFFで一番印象に残っていることや役立っていることってなんですか?

瀬戸山:
そうだな。BUFFに通っている時に、僕はどんなコミュニティを作りたいんだろうって色々考えていたんです。直感でBUFFに入った自分にとっては、自分がなんで「コミュニティマネージャー」という言葉に惹かれたのかが本当にわからなかったんです(笑)。だけどやっていく中で「Share Farm Studio」というビジョンが見えて、僕は「農」という分野で本当にやりたかったことが見つけられました。それが最大の発見でしたね。

あとはBUFFは「競争」から「共創」へとマインドを変えてくれて。とにかく一緒に参加している人たちは本当に素敵な人たちばかりです。コミュニティマネージャーとしてのすごいやわらかい受け入れるマインドを持っているんです。それはすごい大きな変化でした。

ー具体的に「Share Farm Studio」はどんなビジョンなんですか?

瀬戸山:
僕がやりたいのは、遊びがある畑。つまり「なんでもできる畑」を作りたいんです。日本の畑は生産する場所って決まっちゃってて、畑の成果物でしか畑を評価しなくなったんです。

まず地域の老若男女が集まって、みんなでどんな場所にしたいのかっていうコンセプトから話し合って、ビジョンを描いて、そこに向かって5年くらいかけて創り上げていく。その過程の中でも、ビジョンを描き直したりして。未完成の畑のまま続いていく、野菜を育てるプロセスを楽しむ畑、別に整った畑じゃなくていいんです。例えばグルグルの畑とか三角の畑とかあったら楽しいじゃないですか。そんな遊びのある畑、「なんでもできる畑」を作りたいんです。

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これが僕がBUFFの最終発表の時に、上手に話せなかった話なんです(笑)。だけど、今ようやく自分の中で整理して、この「Share Farm Studio」のビジョンに向けて頑張っています。

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4,引力を見つけてあげる存在へ


ー瀬戸山さんにとってコミュニティマネージャーってどんな存在ですか?

瀬戸山:
コミュニティ、人が集まるためにはそこに何かの引力があると思うんです。コミュニティには引力が必要で、けれどそれは目に見えなくて。コミュニティマネージャーはその引力を見つけて可視化してあげることや引力を創ってあげること、それがコミュニティマネージャーの仕事かなと思います。

「やさいのキャンバス」は、野菜でおえかきをすることによって、新たな関係性を生み出すきっかけになり、より関係性を深めることができるような引力をもたらすすごく大事なツールになるなって思ってて。「Share Farm Studio」もまちの引力となる空間に「なんでもできる畑」を出現させることでみんなが交流を図ることのできるコミュニティが生まれると思うんです。

ー最後に瀬戸山さんの人生のビジョンや野望を教えてください!

瀬戸山:
自分の関わる村とかコミュニティの人たちが主観的幸福感を高められるようなことが事業としての目的であり、人生としての目的もそこにあります。

1つ野望としてあるのは、「やさいのキャンバス」をラオスで作って東南アジアの主要都市で売りたいんです。ラオスの今の課題って、教育のための貨幣がなかなかなくて。だから産業が必要で、自分の村や隣の村の市場だけじゃなくて、外の都市に市場がないと村の貨幣は増えないんです。

「やさいのキャンバス」の社会実験が成功することで、バンコクやハノイに市場を作ることができて、ラオスに経済的価値を生み出し、主観的幸福感も高められると思うんです。絶対に成功させたいですね。

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https://www.makuake.com/project/share-re-green/


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