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結婚指輪について

仕事を辞めてから、毎日結婚指輪を着けている。

元職場では細かい手作業が多く、しかも古い書類や伝票をよく触る部署にいた。
勤め始めた頃は指輪を着けて仕事をしていたが、夏場、指輪と皮膚の微妙な隙間にホコリが入り込んでかぶれてしまったことがあり、それ以来勤務中は指輪着用を控えていた。
そんなわけで、約二年半ぶりに、毎日指輪を着けている。

ところで、私の結婚指輪はいわゆる正式な結婚指輪ではない。

それは、夫と付き合って最初のクリスマスプレゼントとして貰った、決して高価なものとは言えないステンレス製のペアリング。
何の変哲もないシルバーリングだ。
交際中は右手の薬指に着けていたのを、籍を入れた日から左手の薬指に変更した。
ただそれだけなのである。

しかしこの指輪、何も言わなければそこそこ良いものに見えるようで、結婚前に友人知人から「それ、エンゲージリング?どこの?」などとよく聞かれた。
私が元々あまりアクセサリーをしないため、余計に。

結婚式の準備中、夫と「結婚指輪は必要か?」という話になった。
どうせなら彫金教室へ行って世界に一つだけの指輪を作りたい、それじゃこのペアリングはどうするのか、いややっぱり新しく作ろう、これがあまりにもしっくりきているからもうこれでいいんではないか、とかうだうだ言ってる間に時は過ぎ、そのまま式の指輪交換でも使うことにした。

なので、私は本当のことを言うと婚約指輪も結婚指輪も貰っていない。

交際二年目の誕生日、フレンチレストランで彼とディナーを食べ、ふとお手洗いで席を外して戻ってきたら、お皿の前に小さなジュエリーケースが置いてあったとか。
デパートの宝飾品売り場に二人で行き、お互いの名前と挙式の日付を刻印してもらったとか。
そういう体験はしていないし、していなくてもまあ別に構わない。

私にとってこの指輪は、中学校時代のクラスバッジのようだな、と思う。

私の通っていた中学では、制服に名札とともにクラス名が書かれたピンバッジをつけなければならなかった。横長で、ネイビー地に白文字で「1-3」とか書いてあるやつ。
さらに、女子生徒の中で“彼氏がいる者はクラスバッジを逆さ向きにつける”という習慣があり、告られただの告っただの、スクールカースト上位の女の子たちは、みんなバッジを逆さにしたり戻したり一喜一憂していた。
カースト最下位にいた鈍感なイモ娘の私には、全く関係の無い話だったけど。
(夫の中学校にはこういう流行はあったのだろうか。今度聞いてみようかな)

単に「私は結婚しているんですよ」という事実を表明するだけのために、左手の薬指に古いペアリングを着ける。
スタンスとしては夫もおそらく同じだと思う。

でも、たまにくだらない夫婦喧嘩でイライラして指輪を外したりすることがあるから、やっぱり「二人の愛の象徴」みたいなイメージも心のどこかに持っているのだろうか?
うむむ……

#夫婦
#結婚指輪

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