ベンゼンしべ長者
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むかしむかしあるところに一人の貧乏な男がいました。毎日大学院の博士課程の学生として真面目に働いても暮らしが良くならないので貧乏から何とかして逃れようと観音様に願をかけたところ、「初めに触ったものを、大事に持って旅に出なさい」とのお告げをもらいました。男は観音堂から出るやいなやパイプラインにつまずいて転び、偶然1環のベンゼンに手が触れました。
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男はお告げ通り、そのベンゼンを手に持って道を進んでいきました。ところが彼の顔の周りを、大きなMTADが飛び回り、煩くて仕方がありません。そこで男はMTADを捕まえると、ベンゼンにくっつけてやりました。
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すると、傍で大泣きしていた男の子が芳香族性がなくなってかわいそうと言うので男は困ってしまったが、大泣きに手を焼いていた男の子の母親が「ArMでtransmetallationののちreductive eliminationで芳香環をつけましょう」と申し出てきたので男はグリニャール試薬を受け取り生成物を元のベンゼンから数えて75%の収率で得ました。
道を進んでいくと、大きな研究室に行き当たりました。ちょうど旅に出かけようとしていた研究室の教授は、男に研究室の留守を頼み、代わりに先ほど作った物質を借りたいと申し出る。主人は3年以内に自分が帰ってこなかったら、この研究室を譲ると男に言い出す。男は承諾し、教授は生成物に乗って旅に出発した。
しかし3年待っても5年待っても教授が旅から帰ってくることは無かった。こうして男は一流大学の研究室の教授となり、裕福な暮らしを手に入れることができました。めでたしめでたし。
参考 ベンゼンから天然物を合成する
恐怖のシクロヘキシルメチル基を回避する話
Synthesis of (+)-Pancratistatins via Catalytic Desymmetrization of Benzene
「脱芳香族的二重官能基修飾化反応の研究」ーイリノイ大学David Sarlah研より