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NO MORE心の映画泥棒


映画館はいつだってワクワクする。なぜだろか。映画だけにワクワクしているならネットフリックスを契約した時点でおぼれるくらいのよだれが出ているだろう。だから映画だけではない。映画館自体が楽しめるような構造になっているのだ。

それもそのはず、私が映画館に行くときは映画の内容はもちろん楽しみにしているが、ポップコーン売り場や、いつ行っても清潔感100点トイレ、半券を切ってくれる爽やか店員さん、量り売りしている買っている人を見たことがないカラフルお菓子、といった映画館全体の雰囲気を楽しむようにしている。

デートできている人、その映画のファンで公開後すぐに観に来ている人、少し背伸びして社会派の映画を見に来ている大学一年生(昔の僕)Lサイズコーラをもって二時間半超の映画に挑む、絶対途中でトイレ行くじゃんって人、など。そういった人を観察しているのも楽しい。


そんな映画館の思い出だが、振り返ればたくさんのことが一昨日のことのようによみがえる。

初デートでカッコつけて難しい映画選んで気まずくなったことや     
これまた初デートで前日に観に行ったことを隠しながら同じ映画を観に行き、詳しく解説してカッコつけたことや                
サスペンス系の映画で事前に考察をしっかりと読み込んだうえで観に行き、あたかも自分が思いついたかのように意見を発表してドヤ顔を決め込んだことや
別れる寸前の彼女と朝イチでグレイテストショーマンを見に行く約束をしたら1時間遅刻され、ヒュージャックマンを像に乗ってるおじさんとしか思えなかったことや                           土曜の朝から一人でポケモンを見に行って子供に囲まれながら号泣したことや

思い出せばきりがない。(てかカッコつけようとしすぎ、てかデートの選択肢少な笑)


が、一番思い出深いのは

上映前のNO MORE映画泥棒である。

劇場での映画の撮影、録音は犯罪です。法律により、10年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金またはその両方が科されます。
不審な行為を見かけたら劇場スタッフまでお知らせください。
市販の音楽や映像が違法にアップロードされたものと知りながらダウンロードするのも犯罪です。

ってやつ。特徴的なBGMに合わせて、カメラマンがパトランプマン(合ってる?)にリズミカルに捕まるあのCM。とても怖かったが、観るのは嫌ではなかった、むしろ好きだった。肝試し的な心理なのだろうか。不思議な中毒性がある。初めて見たときはさすがに怖すぎてトラウマになったけど、大人になった今観てみるといったい何が怖かったのか全く分からず笑ってしまう。

あれが始まると、それまで喋っていた人たちも静まり返っていく。(黙らせる手段として最強なので、小学校の先生も流したらいいんじゃないか笑)        そしたらいよいよ映画が始まるんだなと。映画を観る支度が整っていく。映画泥棒が、上映開始のゴングを鳴らしてくれている。泥棒なのに。

なぜだろう、観に行った映画の本数分だけ映画泥棒を観ているはずだが、映画よりも記憶に残っている。
そう、初めて見た時からぼくはあのCMの虜だったのだ。

映画泥棒は、私の心も奪っていった。そんな思い出の話。       

P.S.映画館だけでしか食べられないあの直方体のクレープ冷たくて食べやすくて非常においしいので市販してほしい。売ってんのかな?


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