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【漫画】2022年個人的に心に留めておきたい漫画のセリフ8選

小さい頃からずっと漫画が大好きだった。漫画が好きな理由はいろいろあるけど、その中に「良いと思える台詞に出逢えるから」というものがある。

今回は数ある好きな漫画のセリフの中でも、自分の現在の状況に照らしたときに自分にピッタリだなぁと思えたセリフを8つ置いておく。

8つの内4つは台詞の紹介に留めたが、特に印象的だった台詞4つに関してはなんで自分に刺さったのかに関する説明も付した。

2022年は折に触れてこれらのセリフを思い出して諸々の困難に立ち向かっていきたい。

では行こう。

1.『BURN THE WITCH(集英社・久保帯人)』ニニー・スパンコールより

おとぎ話なんてクソでしょ あんな途中で解ける魔法の何がいいの
約束破ったからしょうがないとか 時間を過ぎたからしょうがないとか
何がしょうがないのバカみたい
あんたも誰も 魔法が解ける本当の理由なんかわかってない
魔法が途中で解けるのは それが自分の力じゃないからよ

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最初はBLEACHでおなじみの久保帯人先生の最新作から。

誰しも子供の頃は「何にでもなれる気がする」「何でも出来る気がする」といった幼いがゆえの万能感を持っていたと思う。で、これまた誰しも、10代後半くらいから20代にかけて、現実を知ったり挫折をすることで、だんだんそういう万能感が薄れていき、人生の選択肢が狭まっていく感覚を味わっていくと思う。

こういう通過儀礼を「大人になる」ことだと思っていたところに、ガツンとハッとさせられたのがこの台詞だった。

僕も高校生くらいまでの頃は、勉強も恋愛も何でも思い通りにいっていた。どんなに無理そうな願望や目標でも、実現していた。僕はこれを子供にかかる特有の魔法だと思っていた。20代も折り返した僕は、今や上手くいかないことの方が多い。僕はこれを、幼いがゆえの万能感が薄れたから、つまり魔法が解けたからだと思っていた。

でも違うんだな。

子供の頃何もかもうまくいっていたのは、単に自分がガムシャラな姿勢でズバ抜けた努力をできていたから。今自分が現実的な目標しか掲げなくなってしまったのは、努力が足りないから。ズバ抜けた努力をするストイックさみたいなのを失ってしまったから。ニニーが言うところの「自分の力じゃないから」。

子供特有の魔法が大人になると自動的に解けるなんてのは幻想で、何歳になろうと魔法にかかったままの人はいる。たとえば毎日死に物狂いで努力していて自分の夢に向かっているプロアスリートなんかは、実年齢は大人でも、子供の頃の魔法にかかったままでいられているんだと思う。

2022年、自分で自分に魔法をかけられるよう、自分の力で頑張ろうと改めて思えた台詞でした。

2.『チェンソーマン(集英社・藤本タツキ)』姫野先輩より

気楽に復讐を!

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シンプル・イズ・ベストな名台詞。
悪魔に対して異常な復習心を燃やし視野狭窄になっていた早川アキの心を吹っ切れさせた姫川パイセンの遺言。

昨年2021年は、個人的に元カノにマウントを取られるという事案が複数回発生しイライラしていた。これはそんな自分に刺さった台詞だった。

自分は新卒で入った会社を2年で辞め、自分のやりたいことが見つかったためにそれを叶えるべく大学院に進学した。26歳の今は卒業を目前に控えていて、4月からはその目標が叶う職場に再就職する。けど、この自分の進路選択をポジティブに応援してくれる人もいれば、無職になった・レールを外れた・堕ちたとネガティブに捉えてくる人もいる。

そんな中、去年は元カノが後者のような捉え方でマウントを取ってくるような連絡をよこしてきやがったことが複数回あった。

当たり前だけど元カノは立派に働いてるし、何も言い返せなかった。あまつさえ仕返ししようと思っても、仕返しできる材料なんて何一つ持ってない。

怒りが湧いたと同時に、「あぁ、自分はこんなしょうもないマウント取ってくるような子に本気になってたのか…」と肩を落としたりもした。

この感情は復讐心なんて大それたものじゃないけど、この台詞が随分僕の心をラクにしてくれた。仕事や勉強は本気で頑張る。でも、過去嫌な思いをさせてきた相手に対しては本気にならない。プンスカせずに、気楽でいようと思えた。

また、この台詞は、一見相反する「復讐」というダークでシリアスなイメージを持つ単語と「気楽に」というポジティブな単語を見事に融和させてきたという点でも感心した。藤本タツキ先生のワードセンスに脱帽。

3.『BLEACH(集英社・久保帯人)』石田雨竜より

そこに利害はない 正解も不正解も無い 僕らは友達だからだ

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またしても久保帯人先生の作品より。

最終話間近で、ラスボス・ユーハバッハの側近であるハッシュヴァルトが、石田に対し「自分たちの味方に付いた方がどう考えても得だし利になるのに、主人公側の味方するとかお前頭おかしいんか?」といった感じで問い詰めながら石田をボコボコにしていく。

それに対し石田はボロボロになりながらも、主人公・黒崎一護と自分が一緒にいるのは、損得勘定などではないと断じ、上のセリフを言い放つ。

20代半ばともなると、僕自身も周りの友達も、自身の人生経験やキャリアの中で様々な人脈を獲得していく。そのせいか、ここ数年「〇〇社のCEOと知り合いで~」とか「こういう奇天烈な経歴の人が知り合いにいて~」みたいなことを会話の中で他人に言われる頻度がだいぶ増えた。人脈アピールしたくなるのは必然だし、自分も学生時代の同期がだんだん社会で目立った活躍をするようになってきている。経歴や個性が豊かな知り合いがたくさんいること自体は自分の自慢だ。

ただ、本当に大切な人脈は、凄い人でも個性的な経歴を持つ人でも無く、どん底気分の時に支えてくれる友達で、凄くなくても、平凡でも、つらい時こそ傍にいて励ましてくれる友達だということを再認識させてくれたのがこの台詞だった。

凄い人や色々な経歴の人と人脈を持つことで「すごい人と繋がってる自分すごい」とか「〇〇社にツテがあるから仕事で困ったときに助かった」とか「面白い経歴の人から面白い話を聞くのが楽しい」などと思えることの根底には、利害関係がベースにある。自分に利があるから、その関係を結んでいるわけだ。

でも、様々な人脈が増えれば増えるほど、逆に損得勘定抜きにした本当に大切な人間関係が浮き彫りになる。石田のこの台詞は、そんなことを端的に表現した名言だと思う。

4.『進撃の巨人(講談社・諌山創)』アルミン・アルレルトより

何かを変えることのできる人間がいるとすれば、その人は、きっと…大事なものを捨てることができる人だ

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お次は2010年代の漫画史を語るうえで絶対に外せない「進撃の巨人」から。

この台詞は、人によって色んな解釈があると思う。だが今回は人間関係に着目する。

基本的に、人生において友人というのは増えていく一方であり、減ることは無い。

自分はつい最近まで「新たな出会いや今のコミュニティを大事にするために昔の友人と会う頻度を減らす」とかそういうことはしてこなかった。遊びや飲みに誘われたら大抵行くし、昔からの友人関係をすごく大切にしてきた。それでもちゃんと新しい友人は増えていった。

けど、遂に去年キャパが限界を超えた。地元・高校・大学のサークル・大学のバイト先・前職の友人・大学院の同期etc…自分が所属してきたたくさんのコミュニティで知り合った全ての友人と定期的にコンタクトを取るのはもう無理!となった。

26歳になるまでこのことに気づけなかったのは、シンプルに自分のダンバー数が高かっただけのことだと思う。ダンバー数というのは、社会学や人類学の専門用語で、人間が安定的な社会関係を維持できるとされる人数の認知的な上限のことだそうだ。そして、その平均は約100人から250人だと言う。自分の場合は、多分それが300以上ある。

でも、八方美人であらゆるコミュニティでの関係をまんべんなく維持しようとするのはもう無理かも。人間関係リセットとまではいかずとも、「誰にでも良く対応する」「誘いを基本的に断らない」というスタンスは見直す時が来たように思う。

友達は大事だ。

でも、それこそアルミンの言う「何かを変える」レベルで何かを頑張るために、お誘いに塩対応することも去年からは増えてきた。そしてこれからもそうなっていきそうだ。フランクに言えば「気乗りしない遊びには行かん」ということかも。

色々な解釈があり得るこのアルミンの台詞は昔から好きだったけど、今回は友人関係の面で気づきを与えてくれた。

(※補足:よく「たくさんの大事じゃない人と浅く広く付き合うより、少しの仲良い友達がいる方が良い」と言う人がいる。それにはめちゃくちゃ共感する。ただ、この台詞に関して言えば、アルミンの言う「大事なもの」を「昔からの友人」に重ねているわけなので、それとはちょっと違うかなと思う)

5.その他4つ(台詞のみ紹介)

最後に、台詞の紹介だけにとどめておくもの4つを置いてこの記事を締めくくる。上4つに比べたら…ってだけで、どれも自分の心に強く残っている台詞です。

秤にかける事もできず迷いに追われて決めた事は全て後悔になるからだ
例え結果は変わらずとも 思うままに選択し 思うままに進む事に意味がある 後悔は無い 何一つ
(『BLEACH(集英社・久保帯人)』ユーグラム・ハッシュヴァルト)
みんな何かに酔っ払ってねぇと やってらんなかったんだな…
みんな何かの奴隷だった… あいつでさえも…
(『進撃の巨人(講談社・諌山創)』ケニー・アッカーマン)
死の恐怖の無い世界では人は それを退けて希望を探す事をしないだろう
人はただ生きるだけでも歩み続けるが それは恐怖を退けて歩み続ける事とはまるで違う だから 人はその歩みに特別な名前をつけるのだ 勇気と
(『BLEACH(集英社・久保帯人)』藍染惣右介)
人生はゲーム。楽しみなさい。
(『今際の国のアリス(小学館・麻生羽呂)』加納未来)


こうして見ると久保帯人先生の作品からの引用が多い。さすが俺達の師匠だね。久保帯人先生より好きな漫画家自体は何人もいるんだけど、今回はこんな感じになりました。

やっぱ漫画って良いね。それでは。

ぶち



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