28歳で顔パックを始めたら、飲酒量が半分に減った【アラサー男性とスキンケア】
晩酌なんて、どう考えてもメリットよりデメリットのほうがデカい。
そんなことはわかっているのに、会社員生活を始めてから5年間、ほとんど毎日2~3缶のお酒を飲んでいた。
会社から帰宅して入浴の後、食事をとりながらアニメを見る至福の時間。このタイミングで発泡酒を開けなければ、「その日頑張った自分を救えない」ような気がしていたのだ。
そういうわけで平日は基本的に毎日晩酌をしていたのだけれど、ここ数ヶ月は頻度を半分くらいに落とすことができている。
きっかけは、スキンケアを始めたことだ。
春に前職を辞めて、有休消化期間中のこと。
「環境変わるし、これを機に垢抜けたい!」
と、田舎から出てきた大学1年生のようなことを28歳直前にして思い立ち、伊勢丹メンズのお姉さんに教えてもらいながらスキンケア・メイク道具をそろえたのが3月。それから、いろいろ調べていくとどうやら夜のうちからの保湿が大事らしいということが判明し、顔パックなるものを使い始めた。
毎晩10分のケアをそれなりに億劫には感じつつも、徐々に肌のくすみが緩和されていくのを見てモチベーションも上がり、無事習慣化することができた。
さらに、スキンケアを始めたことで、見た目の改善と合わせて一つの大きな変化が起きた。
生活習慣を気にするようになったのである。
7月の上旬だったか。新しい職場にも慣れてきて、ちょうどライター業の再開を考え始めた時期だった。
夏の夜特有の生ぬるい風を浴びながら帰宅した20時。通勤のストレスを凝結させたような汗を冷たいシャワーで洗い流し、ドライヤーを終えてパックを顔に張り付ける。頬の端までカバーできるようにしっかりと伸ばし、乾いた皮膚にグリチルリチン酸を行き渡らせる。
10分間の保湿を終えてパックを捨て、冷蔵庫から紺色の缶を取り出した。
椅子に戻り、U-NEXTで『推しの子』の再生ボタンを押しながら、金麦のプルトップに手をかける。
しゅわ、っという幸福のサウンドエフェクトを耳にした途端、ふと一つの疑問が浮かんだ。
「せっかく毎日クソ面倒なスキンケアをしてるのに、お酒飲んだらプラマイゼロでは??」
そんな当たり前のことに、28歳にして初めて気が付いたのである。
とはいえ、そこで飲むのを辞めたわけではない。既に缶を開けていたこともあり、結局その日はいつも通り胃にアルコールを流し込んだ。ほのかに鈍った頭で、アニメの世界に没入した。
けれど、脳裏によぎった違和感は、一晩経っても消えなかった、翌朝、アラームにたたき起こされて目をこすると、まぶたには水溶液の潤いがしっかりと残っていた。
シャワーを浴びて、Spotifyのプレイリストを再生しながら身支度を進める7時半。無印の化粧水をコットンにしみ込ませながらぼんやりと考える。
昨晩の飲酒は、肌にどれくらいのダメージを与えたのか。
その日は左目下のニキビが妙に目立っていて、コンシーラを塗っても塗っても納得行く顔にならなかった。自然なオレンジ色が私の不摂生を覆い隠す間に、スピーカーから流れるローリング・ストーンズの『黒く塗れ!』が終わりかけていた。
その夜は、迷いに迷った挙句お酒を飲まずに寝た。簡単ではなかった。4年以上の習慣が持つ引力はすさまじく、「やっぱり1缶だけ飲もうか」という誘惑が何度も頭をよぎったのを覚えている。けれどそんな悪魔のささやきを、「せっかく金と手間をかけてスキンケアしているのにもったいねーだろ」というセルフ正論パンチがどうにか上回り、久しぶりに「酒を飲まずに寝る平日」を過ごすことができた。
その日以降、きっぱり酒を辞められたわけではない。平均して週3から4くらいは飲んでおり、決して健全な飲酒習慣とは言えないだろう。
それでも、「お酒を飲まなければ眠れない」という思い込みをなくすことができたのは大きい。
今でも不摂生な部分は多いけれども、肌の調子を気にし始めたことで、「自分を大切にするとはどういうことなのか」、 少しだけ感覚がつかめた気がする。
さて、今日も無事noteを書けたので、これからスーパードライを飲むとしよう。
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