原作の世界観を生かした良アレンジ 映画『交換ウソ日記』ネタバレあり感想

こんにちは! 雫倉紗凡(しずくら しゃぼん)です。
今回は、7/7(金)に公開された映画『交換ウソ日記』の感想を書いていきます!

映画および原作小説のネタバレがありますのでご注意ください。

映画の概要・あらすじ

『交換ウソ日記』は、櫻いいよさんの小説を原作とする青春恋愛映画です。主演を高橋文哉さんと桜田ひよりさんが演じ、高校生たちの胸キュン100%な恋愛模様や瑞々しい友情などが描かれます。

以下、あらすじです。

「好きだ」——高校二年生の希美は、ある日移動教室の机の中に、ただひと言、そう書かれた手紙を見つける。送り主は、学校イチのモテ男子・瀬戸山。イタズラかなと戸惑いつつも、返事を靴箱に入れたところから、ふたりのヒミツの交換日記が始まる。ところが、実はその手紙や交換日記が親友宛てのものだったことが判明。勘違いから始まった交換日記だったが、本当のことが言い出せないまま、ついやり取りを続けてしまう。いつも空気を読みすぎてしまう話し下手な希美は、自分とは真逆の、思ったことをはっきりと口にするド直球な瀬戸山を最初は苦手に思っていたが、彼を知るうちに惹かれていく。その一方で、打ち明けるきっかけをどんどん失っていき、事態は思わぬ方向へ…

公式サイトより

良かった点

まず全体的な感想としては、「すごく良かった!」です。

筆者は原作の大ファンなので公開をとても楽しみにしていた一方、正直なところ「原作の良さがどこまで映画で引き出されるか」という不安も抱いていました。

原作では「どういう理由で→どんな気持ちになり→こう言った(した)」という主人公の発言・行動までのプロセスが丁寧に書かれている部分が多く、そこが『交換ウソ日記』という小説の非常に大きな魅力になっています。

心理描写についてはさすがに「映画」という媒体では再現が難しい部分も多かったようですが、大胆なアレンジにより物語の魅力がまた原作とは違った形で引き出されていました。

以下、映画の良かった点を大きく3つに分けて書いていきます。

展開

後半になるにつれ映画オリジナルの展開が増えていきましたが、個人的に特に良かったと思うのは球技大会のエピソードです。瀬戸山とのバスケ練習(実質的バックハグ)、希美が試合でシュートを決めるシーンなど視覚的にグッとくる絵がたくさんありましたし、何より原作では描かれなかった優子と米田の告白シーンががっつり見られたのはとっても良かったです。

(ちなみに優子と米田の空気感は序盤からかなり丁寧に描かれていて、カラオケのシーンなどさりげなくお互い近くにいる二人の様子はニヤニヤ不可避でしたね)

音楽・演出・小道具など

なんといってもホルモン!(笑)

原作では「ヘヴィロック」や「デスメタル」と大まかに書かれていた希美の音楽の趣味ですが、映画化にあたって特定のアーティストに絞ったのはわかりやすくてとても良かったと思います。

……まあ、シリアスなシーンでホルモンがかかってだいぶシュールに感じる瞬間がなかったといえば嘘になりますが、あれはあれでアリでしょう(^^;;

その他、細かいですが教室後ろの黒板の「米田爆誕」の文字が彼のキャラクター、クラスでの立ち位置を上手く表現していてナイスでした。「うるさいけどなんだかんだ好かれている男子」って感じがすごくわかりやすく伝わってきます。

キャラクター

メインキャラ5人(希美・瀬戸山・江里乃・優子・米田)は原作通りの良さが引き出されつつ、映像で見ることによって改めて一人ひとりの魅力がとても伝わってきました。ここについては語りきれないので割愛するとして。

個人的に今回の映画オリジナル要素で一番良かったと思うのは矢野先輩の活躍です。

放送部の矢野先輩は希美の元カレで、意思表示が苦手な希美に「なにを考えているかわからない」と告げ交際3ヶ月で振っています。原作では前半にさらりと登場するのみでしたが、希美の自己嫌悪を表現するための重要なキャラクターでした。

今作では原作通りの設定に加え、後半で出番が大幅に増えています。

恋愛ものにおける元カレって「恋の障壁」として登場するイメージがあるのですが、本作の矢野先輩は(途中で希美・瀬戸山のすれ違いの原因も作る場面もありつつ)別れた後もやさしく希美を見守りその成長のきっかけを作ってくれるとても素敵な人物として描かれていました。

彼との関わりが結果的にエピローグで描かれる希美の未来にも繋がっていくわけで、原作の持つ「みんないい人!」な温かい世界観の延長線上にある秀逸なアレンジでした。

個人的に原作の方が好きだった点

一つ挙げるとすればエピローグです。上記の通り映画ならではの良さもあるのですが、どこかに原作と同じ「どっちでも」のセリフが入ると嬉しかったなと感じました。

映画エピローグで希美がラジオのリスナーに送る「自分に嘘をつかない」という言葉も確かに、彼女が物語を経て得た大事な気づきなのは間違いありません。ですが、筆者が思うに彼女の口癖である「どっちでもいい」「なんでもいい」こそが黒田希美という人物の芯であり最大の魅力なので、ラストでもやはりこのセリフを聞きたかったです。

個人的にはこの「どっちでもいい」の肯定こそが『交換ウソ日記』という物語から最も感銘を受けた部分だったので、映画だけを見た人に「希美は『どっちでもいい』を辞めて自分の意見を持つことにしたんだ」と解釈されそうなラストは少しもったいないと感じました。

まとめ

今回は映画『交換ウソ日記』の感想を書きました。

原作の登場人物たちの魅力が鮮やかに再現されつつ、小説とはまた違った角度から感動を味わえる良作でした。

江里乃推しとしては彼女がメインとなる「2」の映画化も期待したいところです((o(´∀`)o))

最後までお読みいただきありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?