見出し画像

1300万光年離れた銀河にワームホールがあるかも!【ワープやタイムトラベルが可能に】

2021年が明けて早々、心躍るニュースです!

このタイトルをみただけで、宇宙やSF好きの皆さんはワクワクしませんか?

ニュースソースは「ゴゴ通信」の2021年1月5日付の記事です。


内容を簡単に紹介すると、ロシア天文台の研究チーム「銀河の中心部にある超巨大質量のブラックホールが、実はワームホールの可能性がある」という研究成果を発表しました。


ワームホールとは?

ワームホールとは、2つの離れた場所をつなげる時空のトンネルで、SFでは宇宙船が遠く離れた宇宙へ、あっという間に瞬間移動-いわゆる「ワープ」するための通り道です。

ワームホールは、2019年に初めて撮影に成功したブラックホールと同様、アインシュタイン博士の一般相対性理論によって、理論的には存在するはずと仮定されてきましたが、まだ発見されていません。

このワームホールを利用すると、ワープだけでなく、タイムトラベルまで実現する可能性があります。

2017年ノーベル物理学賞の受賞者、アメリカの理論物理学者キップ・ソーン博士は、ワームホールの片方の入口を光速に近い速さで振動させて時間を遅らせることで、過去にタイムトラベルする方法を考案しています。
※詳しくは下記のYouTubeをご覧ください↓


AGNワームホール

「本当にそんなワームホールが見つかったとしたら、世紀の大発見じゃん!」と疑ったあなた、私も同じ気持ちだったので、記事の元になった論文を探してみると・・・見つかりました!

arXiv(物理学や数学などの各種論文がオンラインで掲載されているサイト)で、昨年の8月21日すでに発表されていました。

●AGN(活動銀河核)におけるワームホール候補の探索:衝突する降着流からの放射
2020/8/21 arXivより

この論文は、ロシアのサンクトペテルブルクにあるプルコヴォ中央天文台の天体物理学者、ミハイル・ピオトロヴィッチ博士らの研究チームが発表したものです。

銀河の中心部から強力なエネルギーを放射している特殊な銀河「活動銀河」があり、その中心部はAGN(Active Galactic Nnucleus/活動銀河核)と呼ばれています。

AGNの説明

活動銀河核の解説AGN/Wikimedia Commonsより/日本語はBTTPが付記)


このAGNの正体はいままで、超巨大な質量をもつブラックホールだと考えられてきました。

超大質量ブラックホールに物質が飲み込まれると、物質はブラックホールの周囲を回転して降着円盤と呼ばれるリングを形成します。
この降着円盤のガスが回転する摩擦熱でプラズマが発生し、強力な磁場が作られ、宇宙ジェットが放出されます。

画像2

活動銀河から放出されるジェット活動銀河M87/Wikimedia Commonsより


ワームホールとブラックホールの違い

ワームホールブラックホールは似ています。
どちらも非常に密度が高く、他の物体を引き付ける強い引力を持っています。
2つの主な違いは、ブラックホールには、そこを超えると光でさえも戻れなくなる「事象の地平線」を持つのに対し、ワームホールにはその境界がなく、物体は理論上、脱出することができます。

ロシアの研究チームの成果は、ワームホールが存在する場合、ブラックホールと区別するための具体的な観測方法を示したことです。

活動銀河のワームホール

AGNワームホールの解説図ロシア研究チームの論文を参考にBTTPが作成)


ワームホールの入り口に入る物質は普通もう一方の出口から出てきますが、研究チームはそれぞれの口に入った物質が、同時にワームホールの中でぶつかる可能性があることを計算で示しました(図の赤い線)。
これは、ブラックホールでは決して起こらない現象です。

超大質量のワームホールの口に入った物質は、その強力な重力場のために、非常に速いスピードで移動します。
このような物質がもう一方の口から入った物質と衝突した場合、プラズマ状の球体がワームホールの両方の口から光速に近い速度で飛び出す可能性があります(図のピンク色の線)。

研究チームは、そのようなワームホールからの放出を、超大質量ブラックホールからの放出と比較しました。

その結果、ワームホールから放出されるプラズマ状球体は、10兆℃の高温に達する可能性があり、6800万電子ボルトのガンマ線を生成します。

反対に超大質量ブラックホールは、降着円盤の温度が低いため、そのような高いエネルギーのガンマ線は放出しません。

このようなガンマ線が観測された場合、そのAGNはワームホールの可能性があります。

さらに研究チームは、そのようなワームホールがどこにあるか?、その場所も論文の中で示しました。

われわれの天の川銀河に最も近いワームホールの候補は、1300万光年離れた場所にあるセイファート銀河にあるそうです。

画像4

セイファート銀河ESO 97-G13ハッブル宇宙望遠鏡で観測したESO 97-G13/Wikimedia Commonsより


1300万光年とは、光の速度で飛べる宇宙船で飛んでも1300万年かかる距離です。

瞬間移動するために、想像もつかないはるか彼方の宇宙へ旅するのは本末転倒ですが、出口は別の宇宙に通じているかもしれません。
ワープやタイムトラベルの現実的な可能性を示す論文として、注目すべき研究です。

タイムリープやタイムトラベルの情報を集めています!