僕とドラゴンクエストと序曲と
そのゲームの存在を初めて知ったのは、たしか友達の家に遊びに行った時だと思う。
カセットを差し込み電源を入れると、青い画面が写って、タイトルロゴが表示され、その曲が流れ出した。
今や知らぬ者のいない名曲、ドラゴンクエスト序曲だ。
それまで僕は、「オープニングの演出」があるゲームを見たことがなかった(たぶん)。
ドラゴンクエスト略してドラクエは、青い画面をバックに、いい感じにパースの効いた「DRAGON QUEST」の文字が表示されたあと、イントロが流れ終わると、Dの隙間に竜のシルエットが現れ、Tの文字を模した剣の部分がキラリと光るのだ。
カッコ良かったし、正直シビれまくった。
絵を書くのが好きだった僕は、授業中にノートも取らずに、何度も「DRAGON QUEST」のカッコいいパースの効いたタイトルを書き写したりしたものだった。
ドラクエで僕は、初めてゲームの「音楽」というものを意識した。ように思う。何度も何度も、そのオープニングの序曲を聴いた。友達に借りてドラクエを遊ぶ時も、電源を入れたら絶対に序曲を聞き終わってからゲームを開始していた。
もちろんドラクエは、序曲以外の曲も素晴らしい。
ゲームを開始してすぐに放り出されるアレフガルドのテーマの郷愁ただようメロディ。
デロリャンデロリャン! と突然襲いかかってくるモンスターとの戦闘の曲。
松明もレミーラもない状況だと本気で心細くなる、ダンジョンの曲(階を降りるごとに変調するギミックは、II 以降にはなかったものだ)。
どの曲も素晴らしかったし、ゲームをやっていてBGMが、音楽がこれほどまでに気分を盛り上げてくれるものだのだと、初めて知ったように思う。今風に言えば、超エモいサウンドだったのだ。「呪い」のSEなんて、トラウマものだ。
その後、わりと早くにドラクエIIが発売され(ドラクエI は86年の5月、II は87年の1月なので、実に8ヶ月しか経っていない)、ふっかつのじゅもんの曲「LOVE SONG探して」や、初めて登場した「塔」の曲など、これはこれでとても素晴らしかったのだけれど、いかんせん小学生がやるには、ドラクエII はぶっちゃけ難しすぎた。自力クリアを諦めて、友達がハーゴン、そしてシドーを倒すところを一緒に見たくらい。だからあんまり、II の曲は印象にない。
しかし、さらに1年余の時を経て、僕がゲームの音楽のみならず、ゲームミュージックというものを決定的に意識することになる事件が起こる。
「僕とドラクエIIIとサウンドトラックと、に続く
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