備忘録 22-10-23
大人(たいじん)は言(げん)必ずしも信ならず、行(こう)必ずしも果ならず
――大人者不言必信、行不必果
『孟子』
田中角栄元首相が北京に乗り込んで、当時の周恩来総理と国交回復の交渉したときのこと。周恩来から角栄氏に一枚のメモが渡された。見ると、「言必信、行必果」と書かれてあったという。「言必ず信、行必ず果」――約束したことは必ず守ってくださいよ。やりかけた仕事は必ず最後までやり通してくださいよ、と読めることばだ。このことばの出典は『論語』であるが、必ずしも褒めことばとは言いがたい。なぜなら、この程度のことができなかったら、そのへんのカスみたいな政治家と同じにみなしますぞという意味が、言外にこめられていることばであるからだ。
それを間接的に語っているのが『孟子』のこのことばである。大人は必ずしも「言必信、行必果」にこだわらないのだという。では、大人にとって第一義的に重要なことは何か。「ただ義の在るところ」と『孟子』は断言している。「義」の前には、前言を取り消しても、いっこうにさしつかえないのだという。
以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より
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