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備忘録 22-09-21

韜晦(とうかい)して圭角(けいかく)を露(あらわ)すなかれ

――韜晦無露圭角

『宋名臣言行録』

「韜晦」は、包み隠して外に表わさないこと。「圭角」は、とがったかど、この場合は才能をいう。
宋代に杜衍(とえん)という宰相がいた。門下生の一人がさる県の知事に任命されたとき、このことばを引いて、なるべく目立たぬよう振舞うがよいと忠告を与えた。門下生としては、納得が行かなかったらしい。「なぜでしょうか」とたずねたところ、杜衍はこう答えたという。

「そなたの場合、今やっと県知事に任命されたばかり、今後の昇進は上司のサジ加減ひとつにかかっている。ここでへたに才能をひけらかせば、上司に嫌われるばかりか、無用の禍(わざわい)を招くのがオチであろう。それゆえ、なるべく控え目に振舞うがよいと申したのじゃ」

組織のなかで生きる者には、いつの時代でも、こういう用心深い一面が必要なのかもしれない。杜衍の忠告を、必ずしも老婆心と笑うことができないのである。

以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より

今日も一日がんばりましょう。

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