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備忘録 22-12-04

大兎(たいう)は聖人にして乃ち寸陰を惜しめり、衆人はまさに分陰を惜しむべし

――大兎聖人乃惜寸陰、衆人当惜分陰

『晋書』

 「兎(う)」は、むかし中国を治めたとい言われる聖王。ことばの意味は、「兎は聖人であるにもかかわらず、寸陰(短い時間)を惜しんで仕事に精励した。まして凡人たる者は、分陰(さらに短い時間)を惜しんでつとめなければならない」となろう。東晋(とうしん)時代の名将陶侃(とうかん)が語ったことばである。

陶侃という人は、みずからにもそのような日課を課したらしい。その精励ぶりは、仕事のあるうちは一日中膝もくずさず事務をとり、その日の仕事を翌日に延ばすということがなかった。そのくらいであるから、部下が酒やバクチで仕事をなまけているのを見ると、酒類やバクチの道具をとりあげて川に投げこみ、「バクチなど、人間のクズのやることだ」と戒めたという。

いささかやり過ぎの嫌いがないでもないが、その気持ちはわからないでもない。特にリーダーには、陶侃の言う「分陰を惜しむ」精励が望まれるのかもしれない。

以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より

今日も一日顔晴りましょう。

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