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パクチーと、ジンくんの【The Astronaut】を味わおう

大好きな、ジンくんの、ソロ活動、初めての最初のシングルですからね!やっぱり、味がなくなるまで味わい尽くさなくっちゃですよね!

一応パクチー、元音大生、数年っぱかし芸能界の舞台の世界の端っこに居た身ですから、アカデミックに、ダイナミックに、インテリ且つカオティックに、ドラマチックに、変な汁は出さずに、ジンくんのギフトを咀嚼して行きたいと思います。

Q.冒頭の「わるるるるんるわ〜〜」みたいな不思議な音は何ですか?
A. 地球の大地の音です。

イントロの後ろの方にうっすら、変な音が入っています。ライブバージョンではイントロはこの変な、「うぇろろろんわ〜〜〜」みたいな音から始まって、もっと顕著ですので、気付いた方も多いと思います。

はい、もうここで、「パクチーさん、止めてくれ…」という声が聞こえてきたような気がしますが、今回はこんなもんじゃないですよ!独自研究ごりごりで進めますからね、今日は長丁場よ!ちゃんとおにぎり持ってきましたか?

BTS JINによる【The Astronaut】、この曲の歌詞は見事に『闇』と『光』の二極の要素しか出て来ない。基本、闇に包まれている彼の世界から、「光=あなた」を見ているという構造だ。

この楽曲が、「彼、ジンくんから見た光は、どういうものであるか」ということを主題にしているのに対して、

一方、MVの映像のテーマは少し違う。

映像の方のテーマは、「そのことによって、光は彼にどういう変化をもたらしたか」

つまり、

異星人であるジンくんが、地球を「HOME」に定めたこと、

宇宙の放浪者であった彼が、地球人の中に「家族」を見つけたこと、

が主軸になっている。

BTS JINのソロに【Moon】という曲がある。この曲で彼は「月」であり、色彩豊かに輝く地球を照らし、見つめる、石の塊だ。この時点で「月=彼」は、月に存在する「真っ暗な海」と「痛い傷」が見透かされないでいられる距離を必要としている。月は衛星であるから、どれだけ愛おしく思って地球の隣を回っても、その距離が縮まることは永遠にない…!

それが今回、「宇宙の放浪者」=「宇宙飛行士」と、人の形に近づき、宇宙空間を進行して、ついに、地球に不時着、望んでか望まずしてか、彼は一人降り立った。

彼は、ここ地球で自分を明らかに異物だと自覚しながら、地球人の振りをして生きる。地球人にまぎれて生きる経験を通して、やがて彼は「あなた」と、同じ大地の上で、目線を合わせ、さらには、地球にいる人間と家族、つまり「同等」になったと言う…!

「月」と「地球」だった時と比べてみてくれ!

我々はゼロ距離になったんだよ〜〜〜!

地球、来ちゃった…

「うぇろろろんわ〜〜〜」。モンゴルのホーメイのような音、乾いた風が草原を吹き抜ける、大地に響く地球の音。彼が立って地に足を下ろして、彼が受け入れ、彼を受け入れた時聞こえてきた、大地の音。

彼は、月が持っていた「真っ暗な海」と「痛い傷」が、「あなた」に見えてしまう距離に自分がいることを、地球の大地の上に立って今、受け入れている。

…と、いうのが、パクチーが観る「映像」に展開された物語である。

一方、楽曲の方、歌詞の方が描いているのは、彼にとって光、つまり地球の人の光がどのようなものであるか

彼が地球に持ち込んだ性質を「月」とするならば、彼は何もしなくとも「真っ暗な夜に はるかに明るく/캄캄한 밤에 훨씬 더 환하게」「君のそばを守ってあげる/너의 곁을 지킬게(Moon)」という本質を、自らの内側の世界に持っていた。

それが地球の人々と彼を隔てる異和でもあるのだが、と同時に、彼の本質は、それに触れた地球の人の魂の輝きを弾けさせる側面も持っていたのである。

彼は異物である自分に、近づいて触れる他の魂達が、目の前で自らの輝きを宇宙中に解き放つのを何度も目の当たりにする。本質を閉じ込めて生きてきた人たちが、どうしてか彼の魂に触れると、やがて自分自身を生きることに気づいていく、自らを輝かせ始める。

その変化の瞬間に立ち会う機能を、彼は自覚せずにか持っていた。彼の魂に触れて自らの本質を輝かせる光が、世界に光を放つ。その光は彼の精神宇宙をもきらめきで一杯にする。

その時感じる感覚を、彼は他の宇宙のどの場所にいた時も体験したことがなかった。ここで初めて、体験した。地球で、初めて知った美しさと高揚、極上の安らぎ、時間のない世界。

When I'm with you
僕があなたと一緒にいる時
There is no one else
他に代わるものがない
I get heaven to myself
僕は自分の中の天国にいる
I feel this way I never felt
僕は決して感じたことは無かった、こうやって感じることを
A life, sparkle in your eyes
人生が、あなたの瞳の中の閃光が
Heaven comin' through
天国を連れてくる
And I love you
そして僕は、あなたを愛おしく思う

Jin【The Astronaut】より

光とは、愛のことであるから。光を解き放った魂が、愛に弾けているのを見て、彼がその光をどれだけ貴重に、どれだけ愛おしく、どれだけ慰められているか、わたしはあのMVの紫の宇宙空間の映像を本当に美しいと思って、彼が人差し指を差し出す時の姿勢も、彼の指が光に触れる様子も、光が解放される様子も、ただもう、胸に迫って何も言えなかった。

この曲が、『闇』と『光』の二極の要素しか出て来ない、ということを前述した。闇の中にいる彼にとって、ARMYを【Moon】では地球に喩えたことで、彼にとっての光はどういう存在か、わたしはとあるイメージを持っている。

みなさんは、地球外生命から見た地球が、どのように見えるか、考えてみたことがあるだろうか?

地球の周りに、どれだけの数の、種類の地球外生命がいるだろうか。もちろんこの疑問にパクチーは答えられないのだけど、時たまこれに答えられる人によって書かれているものがあって、パクチーはそれを大変興味深く読んだりする。

地球にある生き物が、陸の動物、海の動物、植物、昆虫、微生物、あまりに複雑で、多様で、どうしてこんなにも構造の違う生き物が同じ惑星に住んでいるのか、不思議に思ったことはないだろうか?それは、宇宙のいくつものそれぞれ別々に発達した文明が、太古、それぞれの星から地球に技術を持ち込んで生命を発達させたからだ、と。インテリジェント・デザイン説というのがある。我々が自然進化で猿からヒトになったとは現実的に考えにくい、という、DNAの研究家が行き着いた答えの一つだ。

この地球の多様さは、宇宙の他の文明にとっては、奇跡のように貴重なものだった、なぜかというと、他の文明はもっと多様さといういう意味ではシンプルに出来ていたからだ。地球だけが、土地の構造も、生態系も、自然現象も、多様な美しさに満ちていた、こんな星は他にはない、それは宇宙全体から見て、奇跡の宝石のように愛でられていた、

존재로도 빛나는 너
ただそこにいるだけで輝いている君

네 존재가 얼마나 예쁜지 너 알고 있을까?
君の存在がどれほど美しいか、君は知っているだろうか?

Jin【Moon】より

魂は、自分自身を生きて輝きを放っているから美しいのではない。今、閉じ込めている輝きを内包している、その雑多で複雑な機能を含めて、存在自体ですでに貴重だ、と。地球の多様性が奇跡であるように、その地球で、雑多さに翻弄され、相反する感情に揉まれていること自体が、すでに命を輝かせている。そこにいて息をしているだけで、光を放っている、君、「あなた」。そうであると、君は知っているだろうか?

彼がいる場所がどうして、いかに、どれほどまでに「闇」か、というのは、これはどのように言葉を尽くしても説明し難いが、今回はそこは主題ではないので語らない。

MV制作の舞台裏を紹介するEPISODEにて、登場する少女が、「誰も自分に関心を持たなかったけれど、あの子は僕に興味を持」つ人物だとジンくんが説明している。

芸能界でアイドルとして活動を始める人が、それを成立するためにどれだけの条件をクリアし続けていなければならないだろうか。人気のアイドルが、人々の設定する条件を、どれだけ下回ったら、アイドルとして成立しなくなってしまうのだろうか。条件から外れている部分の自分について、どのように理解し、コントロールするのだろうか、誰が守ってくれるだろうか。

自分を条件に見合うべく、がむしゃらに、ストイックに全ての能力を絞り込んで、「自分はこうあらねばならない」と思っている時に、その自分に触れて、自分を輝かせる変化を起こしたファン達がいることを知ることが、どれだけ彼らの規定にはまらない部分を勇気づけ、成長させただろうか。自分の魂が広い宇宙の中では何も欠けていないし足りなくない。それを知って、だから相手もそうであると伝えることができる。それを知って、そこでのやりとりを見ているうちに、だからみんなの精神がつながっている世界では、等しく、不足するもののない、魂として、結局僕たちはファミリーなんだ、という実感になっていく。

その精神がつながっている世界とは、最終的に還る場所のことだが、

それは今生きているこの体で感じながら生きることができる、という話を彼は曲でしている。

アイドルとして芸能活動をする彼らのいる場所から、いつでも、今までも、これからも、今世が終わっても、その光は救いなのだ。彼を闇の中に留まらせ、そこで生き永らえさせる、唯一の理由、光が見えること。

彼がMVの中で演じた人物は、彼の中の、どのような要素であったのだろうか。

わたしは、不時着した宇宙人である彼が、ずっと異物として暮らしていることを、自分の本来いるべき場所が違う場所にあることを片時も忘れずにいながら地球に暮らしていることを、特に宇宙、宇宙服、自分自身の顔が見えた時に、一層その思いを強くすることを、そしてMVの終盤で分かるように、彼は、いつでも、すぐに、今の生活を終わりにする手段を、どこまでも宛のない暗闇の現状から自分を救い出して皆の目の前を去る手段を、その手の内に、いつでも、実は持っているのだということを、

非常に、映像の中で、最高に、素晴らしく、表現しきっている、と思った。

ところで、ジンくんの作ったマスコット、「ウット」くん。この子がなかなかに「今ココ」を生きているんだよね。

この子が「宇宙の放浪者(=우주떠돌이)」の略だと知って、検索してみると、

放浪者(=방랑자)よりももうちょっと、アウトロー寄りなのだった。どちらかというと、この子に関しては宇宙をさすらうことに主体性がある気配がある。流動的、大きな組織に属さない、支配されない、独立した、自由な旅人。

パクチーは、【The Astronaut】をピアノで弾いてもみた。

Coldplayさんの、どこを切り取っても最高潮みたいな音楽、どうやって弾けばいいのだ…!と思ったら、結局普通に弾けばよかった。普通に弾くと、メロディー自体にもともとドラマが自然に起こるように出来ているので、こっちが何かを意図しなくても、良いのだ、勝手に起こる、ということが分かった。(でも難しかった…)。

シンプルな、F - Dm - B♭ - C の繰り返しでほとんど曲が成っている。最後、Dm - B♭ の繰り返しでフェードアウトしていくのが、宇宙空間にその存在が遠ざかって消えていくような感じで、もう、完全に、Coldplayさんって、宇宙的な音楽だよね…!!!!実はパクチー全然よく知らないんだけど、ライブで「フラワー・オブ・ライフ」をシンボルにしていたりしたのを見ると、「おお、宇宙の人だ…」と。

だから、この曲は、Coldplayさんとジンくんが完全に魂の根っこを宇宙に置いて、両者が繋がる部分で書いている曲なんですよ。宇宙の魂から地球に住む人々への、宇宙空間を超えたラブレターなんですよ。めちゃめちゃ熱いラブレター。

最初に聴いて、ジンくんの歌い方を、K-POPと大分違う、正直に言えばパクチー的には時代的に懐かしい感じの「歌謡曲」的だ、と感じて、Coldplayさんの曲想やファンの世代も、ジンくんの世代よりも、上だしなと思っていたところで、それを「歌謡曲的」と言ってはいけないような気がして、パクチーは別のnoteで「ワールド」と表現させて頂きました、が、

ジンくん、自分で「トロット(韓国演歌)」って言ったよ…(2022.10.28  Weverse Liveより)。

クリス・マーティンさんが曲のデモに込めた感性を損なわないために、ジンくんが発声で大分苦労した、という話をしていましたが、とても興味深いなあ!と思って聞きました。彼の話し言葉の地の声に近い高さで、いいです。とても良いです。西洋の人の骨格、副鼻腔なのかなあ、の空間がアジア人より広いので、響きの種類が同じにはならないのだけど、鼻の奥の空間を広げようとすると、音は少し似るんですよね。わたしはジンくんの響きは、アジア人に特別の、年齢を重ねてもくすまない、貴重な妖精のような地声だと思っていますが…。最初はもっと細かったんですよ…。音圧の出ないタイプの声だったんですよ…。本当に、すごい努力の人ですよ…。

保護!!この少年はうちのコミューンで保護よっっっ!!!!

このEPISODEの中で、「ナード」というコンセプトで写真を撮っている。ナード、内向的、ちょっとオタクっぽい感じ、やや否定的な意味らしい。

MVより

MVの、クロスワードパズルに入っていた「COZY」。居心地の良い、楽な、くつろいだ。

彼が今開示しつつある、月面の真っ暗な海、なのかどうかは分からないけれど、内向的な内側の部分に持っている繊細な、純粋さ、すんごく柔らかくてナイーブな場所に、それは弱さじゃなくて、ウィークじゃなくて、

「保護!!」

愛おしいものなんだよなあ…。

このリリックビデオが、繊細で丁寧で美しくて、ちょっと胸を打つものがあった。彼特有の美意識…、

それはファッションとか、絵画とか、アートとかの方向じゃなくて、彼がMVの編集に口を出した通り、決定していた衣装を変えたように、アルバムに付く写真のセレクトに鶴の一声発声したみたいに、彼の美意識は、かなり、頑固にあるよね!

それが、すんごい嬉しいんである。アーティスト…クリエイター…エンターテイナー…アイドル…彼の頑固さの根拠になっているものはどれも違うような気がして…「Jin」を正しく演出する…?

ただ彼の真実を発している…みたいな…?

アルゼンチンライブ直前のWeverse Liveの彼は、すごく、内側が流れているように見えてとても良かった、素敵でした。真実を発せられないことに苦しんでしまうところに、やっぱり彼の真実を見ている感じがする。Liveの中で、彼は本当に丁寧に周りの人とコミュニケーションを取っていたね。スタッフのセリフをジンくんが物真似るのが「そっくりだ…」と思って、元ネタを知るわけがないのに!本当にそういう喋り方するんだろうなあと思った。”ソウル大”映像演劇科の演技力の贅沢。よく見てるのでしょう。そしてかなり深いレベルで意思疎通を取っているのでしょう。

そんなこんなが、パクチーの感じている【The Astronaut】でした。宇宙飛行士。光と闇のコントラストで音楽とMVをわたしは受け取りましたが、宇宙船で帰ることにしなかったジンくんについて、もしかしたら、ウットの視点が一番、彼の今の立ち位置を的確に表現しているのかもしれない。逃げていないが属してもいない。譲れない部分は譲らない。与えられた刺激を楽しんでもいる。闇の世界をしたたかに、しなやかに味わうジンくんの別の側面。ナードとCOZYの保護者。

MV撮影のEPISODE内で、いくつかMVの設定の種明かしもしてくれているが、会議を繰り返して、丁寧に構築された世界。彼の撮影態度が、アクト中も、コメント中も、むっちゃ理性的で感動する…。

ウットの気質。今この瞬間を見ていて、生きて、とてもよく相手を見て、丁寧にコミュニケーションを取って、周囲のプロフェッショナル、スタッフたちと、「楽曲」「映像」「ウット」3つの側面から【The Astronaut】、彼は自分の世界観を実現させた。見事なマネージ力。

うん。彼の作品に味がなくなる時なんて、ないな。


それでは、また!




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