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楽園の作り方

週3.5日働いて、週3.5日休む。今のわたしの働き方。すっかり忘れていたけど、気がつけばいつの間にか自分が理想としていた状態になっている…。

高校生の時は、週3日学校に行ったら2日休むの5dayクールか、まあ、5日行くんだったら4日は休みたい…と思っていた。5日学校に行って休みが2日ってしんどくない?5日仕事して休みが2日じゃ旅行も行けないよね?

誰が決めたねん、1週間が7日。

なんでわたしがそれに縛られなあかんねん。

結局、「7日のサイクルがわたしの体に合わないんじゃないか?」という考えは大人になってもなくならなくて、後にTVで、ヨーロッパのパン職人が月齢に合わせたスパンで労働時間と休日を取るという話を聞いて、なるほど、月齢に合わせた陰暦だったら合うのかもしれない、などと考えたりした。

BTS IN THE SOOP2のティーザーを見た時、正直に言うと、あんまりに「お城」だったので、ちょっと引いてしまった。自分の持っている庶民的な感覚とあまりにかけ離れた閑静な豪邸だったので、あまり気に留めていなかった、もともとあった遠さが可視化された…!のかな。拓かれた山の斜面を見て、「これ、上下水道引いたんですかね…すごい額のプロジェクトだな…」と、きゅっと肝が縮まった。

が、わたしが一番感動したのは、彼らの、「自分はこれがあったらハッピーだな」の望みが、みなさんひっっじょーーーーーに的確だったところだ。自分が何を欲しているか、具体的なモノ、量、質について、きちんと明確に相手に伝わるコミュニケーションで、頭の中に持っている「幸せ」のイマジネーションをリアルの現実に物質化させる、その誤差の無さ。ジンくんが「ゲームをするためのPCが4〜5台欲しいなあ…」とフタッフに言う。「4台用意しました」の返答に間髪入れず「5台で」と、居合の勝負かってくらいに、丹田がぐっと落ちたまま切り返すその腰の引けてなさ、イメージに対する確信、交渉のゴール設定、すごい、すごいよ…ほれぼれするよ…。

「城」は、本編によって、それが中古物件のリフォームだったことが分かり、意外に個々のベッドルームはこじんまりと、内装が実用的だったこともあり、ギャップはふわっと拭われた。

そう。わたしは欲しいものを的確にぱしっと選ぶことが上手くない。というか買い物が上手くない。多分、育った家の事情で、お金に困ったことがないのに、財布にはいつも金がない、という状態で人生長く過ごしてしまったからかもしれない。現状に問題が起きていなければ、今以上に欲しいものをつい、なるべく考えないようにしてしまう。

お子が借りてきた図書室の本のタイトルが『キャベたま探偵100おく円のたからさがし』だったことで、夜、旦那くんが真剣に「100億円あったらどうする。俺は絶対に頭がおかしくなると思うから欲しくない」と言った。この手の心配は、この妄想には必要なものだろうか?

わたしは「うーん、今そんなに欲しいものないから、キャッシュレスがリアルにキャッシュレスで便利という気持ちで、普通に今の生活をするんじゃないのかな。あ、でもオンライン漫画を買う。好きなだけ」と、真剣に考えて具体的な返答をしたら、「ちげーよ!100億円だよ!」となぜか怒られた…手に入る心配のない100億円の使い道でなぜ怒られなければならないのか?外資から環境を守るために山でも買えと?別に100億円あるからって高額なものを買わなくてもえかろう…。

この会話で、わたしは、自分が深層では結構本気でオンライン漫画を好きなだけ買いたいと思っていることを初めて知った。

でも、自分の望みが分かる、自分を幸せにするものが自分で、的確に分かっている、というのは、実はとっても重要だった。メンバーたちはそれぞれ、自分を幸福にする時間がどうやったら得られるかのビジョンを持ち、希望のモノが揃っている空間を用意してもらった、そこで一番気心の知れた仲間と過ごせるなら、それは地上の楽園じゃないか…と、本編を見ていて思ったのだ。楽園は作れる。自分が好きなものが何か、自分の好きな人たちが分かっていれば。でもどんなに資産があっても、それが分かっていなかったら作れない。

と、こんな時わたしは思い出すんですよ。わたしが初めて出産した後、初めて新生児のお世話をする生活がスタートしたわけだが、これが例えるなら国家重要人物のSP、24時間警護の緊張感の中で毎日過ごすこととイコールであると言っても過言ではない。些細な変化も逃さない様、常にセンサーをオンにしている。気を張っている、休まらない、目を離したら些細な何かで死んでしまうかもしれない小さな生き物のお世話を、24時間、自分の側に置いて見ているのだ、トイレに行っても赤子が気になるし、風呂で頭を洗うのも赤子が気になるし、目の前にいなければ気になるし、ずっとオンでいれば、頭も神経もとっても疲れる。

そして産前産後の女性は、理論的な言語能力が、もちろんそうでない方もおられようが、著しく落ちる。本能の言葉しかしゃべれない。自分のしんどさを、上手く論理立ててパートナーに伝えられない。最愛のパートナーは、やることなすこと痒いところに手が届かない働きの悪い下僕のようにしか感じられない(ひどい…「…ひどい!」って言われたわ)。我の一番の望みは、この緊張感から、数分でも解放されて、脳の神経を休めたいというところにある。精神的な緊張、疲労は、「ちょっとお茶を淹れてくれた」「洗濯物を干してくれた」程度では緩まない、緩むわけがない、抜本的な解決策を取らない限り解決しない。

そこでわたしは、旦那くんと交渉して、赤子と完全に物理的にすぱっと離れる時間を3時間取らせてもらうことにした。同じ空間じゃダメ気になるから。可愛い泣き声が憎らしく感じるのを目安にすると、わたしの耐性は約1ヶ月だった。それまで何ともない毎日のルーティンが、前触れなくある時途端に、些細なことで感情が激する、ヒステリックになる、泣く、喚く、攻撃衝動を理性をフル動員して抑える、と、情緒不安定になるのだった。外側を見る限り割と激しいが、自己を内観すると、ただひたすら、ゆとりがない、追い詰められた、ただそれだけのことだったのだ。

月に一度、旦那くんに全てを預けて外に出る。完全に自分の為だけに過ごす。たった3時間会わないだけで我が子は、帰宅し、玄関で靴を脱ぎ、旦那くんに寝かしつけられた我が子は、あるいは旦那くんの腕の中で泣く我が子は、久し振りに再開する懐かしくて可愛くてしょうがないものに変身している。でも実際に変わったのはわたしの「ゆとり」の具合で、精神的負荷の方で、意地と責任で鬼のような山姥やまんばのような精神状態で我が子と無理くり一緒にいるよりも、シンプルにブレイクを取って回避できるならしよう、それは子供のためにも、母親であるわたしにとっても、結果的に実に健全で健康的な判断だった。彼は家事一切が出来る人だったのもあり、赤子と3時間二人きりになるのは、彼にとっても思い出深い、自信となる時間になった。

授乳と授乳の間の3時間。この時、自分が何で、完全に不安なく楽しい時間を過ごせるか、何をしたら無条件に楽しいか、個としての自分を思い出すために子供の頃好きだったものまで思い返したりした。選択肢はいくつかあるといいよね!クラブを夜友達と飲み歩くのが何より楽しみだった友人は、出産後それが出来ないことが本当にしんどそうだったが、確実に自分を喜ばせるものがそのタイミングでは色々難しい場合もある。時間の融通の効く、ひとりですぐに実現可能なもの。読書、美容院、エステ、映画、喫茶店、ショッピング、カフェ、レストラン、運動、工作、絵を描く、手芸、何だろな、何かな、何か今すぐ可能な、解放され、頭がリフレッシュして、自分を喜ばせられる何か。

それが、月に一度の3時間が、精神がアンノーマルに落ちきるのを止め、わたしに「母親」を続けさせてくれたのである。

ジンくんがゲームが好きだと言う。わたしはそれを知った時、ジンくんは「脳を休めたいのかもしれないな」と思った。脳は、全く真逆のことに使うことでしか休まらないのだそう(by養老孟司氏)。勉強の疲労には運動が、料理が息抜きになったりするように、ステージで本番をするのに強いられる緊張やプレッシャーを、質の違う作業、ゲームに集中することで休めたいんだろう、そして実際に休まるのだろう、あるいはそういう作業でしか上手く休まらないのだろう、と。集中には快楽がある。乳飲み子を育てると良く分かる。特に一人でする作業が好きなタイプのわたしのような人間には、自分のためだけに好きなだけ集中できる環境は、一時期、嗜好品であり贅沢品であった…。

やっぱりわたしにはあんまり夢がないのだろうか。やっぱり、希望を明確にして現実化するのがあまり上手くない。「誕生日プレゼント何がいい?」と言われても、何も思いつかなくて「新しい靴下(穴が空いたから)」とか言ってしまう。

それでも今年は誕生日と結婚祝いとクリスマスプレゼントを合わせて、旦那くんがわたしにワインセラーを買ってくれた。

ワインセラー…。

いい……!!!

旦那くんが見繕って、オンラインで買ったワインも入れておいてくれる。

ワインに合う料理を想定して料理と楽しむのもいいけれど、平日、夕食を支度し、子供は宿題、新しいリーデルのグラスにビオワインを注いで、オンライン漫画(買った)を読みながら煮物が煮えるのを待つ…。というのが今の、控え目に見積もって幸福。ビジョンが無いなりに、少しずつQOLも上がるんだな…と満足しているわたくし。オンライン漫画のマイブームは早くも去りつつあり(目が疲れる)、図書館で借りたハードカバーがこの時間のお供で共闘中。

大きなビジョンが無いなら無いなりに、気付いたら小さな山を登れてたみたい。

ところで、ヘッダーの写真は2022 SEASON’S GREETINGSの写真が格好良かったのでお借りしてしまいました。スポットではメンバーたちが「わーみんなよく似合うねー」と言い合う中で、ジンくんがまるで衣装でないような衣装を着せさせられていましたが、鎖骨が美しすぎて何の問題もありません。

最近ちょっぴり慌ただしくて、BTSのいろいろがあまり見れなかったのだけど、身の回りのことに向き合ってじっくりと時間を過ごしました。それはそれで良かったみたい。


それではまた!





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