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BTS「Butter」4種と、タトゥーの役割と、兵役と。

こんにちは!パクチーです。「Butter」のプラクティス動画を見ていたら感極まってしまって、「Butter」関連を見ているうちに色々感じることがあったので、綴っていきたいと思いました。

[CHOREOGRAPHY] BTS (방탄소년단) 'Butter' Dance Practice

冒頭の並んでいる順番からひとりずつ。

ジンくん
またダンス上手くなってるよ…。すごいよー。気迫を感じました。こういう系のダンス(ちょっとモダン、ジャズ入っているような、ややアメリカンなミュージカルダンスの香りのする、背中を立てて踊るようなジャンル)、合ってるんだろうなあ。今回見せ場の多いジンくん、ダンスも気合入れて練習したんだろうなと思わせる、ダンスが作った筋力を感じさせる躍り込みされたダンスでした。正直デビューの頃の彼のダンスは、子供の頃からダンスをしていた組と年季の違いが色濃すぎて、「この壁を超えるのは大変そうだ…超えることは可能なのか?」と思われた。ああ、30歳を迎えてもまだまだダンスが成長するという底知れなさが、心底すごいです。可能性は無限か。痺れる。

テテちゃん(V)
今回の曲の声のトーンも可愛い系で新鮮でしたが、このプラクティス動画に関しては、ジンくんと逆であっさりと力を抜いた解釈で踊っているのが面白いと思いました。トリックスター的な、気まぐれなニュアンス、初期のテテちゃんを思い起こさせるような。ああ、その頃の自分に再会しつつあるのかな!と思われた。色々成長して後、再び受け入れることのできる童心。胸が熱くなる!彼の表情を通して彼がどう音楽を感じているかが見える、身体全体見ようとしても、顔から目が離せない。あなたが幸せそうだと、世界が素晴らしく見えるよ…。

ジミンちゃん
彼が踊っているのを見ていて不意に、「なんて優しい人なんだろうか」と思ってしまった。こんな優しい人が?いつか兵役に行くの?銃を持って誰かを傷つける訓練をするために?彼が血反吐を吐いて育ててきた踊る為の筋肉の繊維を、重い装備の行軍でぶちぶち切らせてしまうの?人を傷つける行為の訓練は彼が命がけでやってきたダンスよりも価値が高いのだろうか。わたしには彼をバレエダンサーと同列に見てしまうからよりそう思ってしまうが、バレエは1年離れたら致命的だ。そして、これは彼らの国の、すべての心優しい青年に対して、家族や周りの人が感じてきたことなのだろうと思った。

ゆんちゃん(SUGA)
おおお〜。ここまで踊るためにどんなリハビリが必要かは、わたしには経験も知識もないので何も語れないが、ここまで踊る体力と筋力を回復させるのは並大抵ではなかったはずだ。今回この曲の彼のラップでパクチーは今までと違った方向からズキューンとなったのだが、それは彼の英語のオーソドックスなラップは聴き馴染みがなかったのに、英語になったことで彼のラッパーとしての核みたいなものがくっきりとあからさまになったからじゃないのか。かつて「アイドルラッパー」でラッパー未満であると揶揄されていたことが、「アイドル」×「ラッパー」、両方ピカイチのものが掛け算しとる、この最高級のチームメイトと踊るダンススキルを、どんなラッパーが身に付けられるであろうか?このように表現者として、チームでひとつの世界を作ることに、手を抜かずに参加できるラッパーがいるだろうか。そして「Butter」関連の彼のコメントを聞いて、HipHopは彼の「音楽」という広い世界に入る指針であったけど、彼が大衆音楽に興味があるように、もはや彼は「音楽」そのものに奉仕する人なんだなと思った。

ホビ(J-hope)
関節いくつあるのかしらん…関節周りの筋肉が、すごく質がいいんだろう。ダンサーの素質ってこの関節周りの筋肉の質のこと?幼少の頃からずっと使ってきたその時間と、その過程でずっと進化してきた彼の財産を見ているような気がした。ホビは一人でダンス練習している時がもうべらぼうに上手くて、常に時間を使って探究し続けているだろうことが想像できて、ジャンルもBTSのダンスとは違って、彼がBTSで群舞をしているときと印象が全く違う。ああ、彼が一番得意で本気のダンスをしたらメンバーと揃わない、この深さで踊れる人はいないわ、と思う。でも今回ホビのセンターで、ホビの広い宇宙を垣間見れたな!本当に触りだけ、ちらっと!

ナムさん(RM)
今回見せ場はあまりなかったけれど、ちょっと出てきて貫禄がバーンとあって、体も大きくて、存在感を打ち出してるのが真のリーダーっぽかった!(水戸黄門的な!)ターンがきれい。とにかく筋トレのおかげなのか、全ての動きに余力を感じさせるのが、見ていて気持ちが良かったな。踊り切ってエネルギーにまだまだ余力があるのも感じるし、決して遅れてないんだけど、動きがふわっとして見える。言うなれば筋肉マッチョなのに赤ちゃんをすごく上手に抱っこしそう的な(言わなくていいか)。そして筋肉量が増えてるのに手足の長いのが映えるって、もうどうしたらいいの…。

グク(ジョングク )
グクも、グク見てたら初期のグクを思い出した…変わらない!どこかで見たダンスか?と思うくらい変わらない!結構どのダンスでもグクはグク、グク節が効いている。それってすごく素晴らしいことだと思う。カメレオン俳優的じゃなくて、何踊ってもグク。顔の向き、目線の高さが高確率で一定だからそう感じるんだと思うけど、彼がダンスを自分の表現として獲得するために見つけた軸が、相当早い段階で確立されていたことに、ただ驚く。彼の個性。スタイル。「永遠に目線を遠くに置く少年」。

関係ないが、この動画、他の動画と比較して暗いのが気になるけど、この極力明るさを排した練習室、集中できそうでいいなあと思った。

BTS (방탄소년단) 'Butter' Official MV (Hotter Remix)

いやーこのリミックス、本当、すごい好きです…ありがとうございます…。Hotterの次はSweeter?そしてCooler?ドキドキ。え、違う?(追記:公開されましたね!やっほい!)

BTSのスタッフたちは、これまで長い時間をかけて、彼らが自主的にパフォーマンスする機会を、段階的に設けてきました。それは質を担保しなくてはならない制作的な立場からするとリスキーでもあるが、その可能性をいつも優先順位を高く持っているのが、見ている側にも感じられました。

おぅおぅおぅ…(涙)

今や!固定カメラで!場所も変えずに!MV1本分の!フリーパフォーマンスだけで成立するレベルに達しているのかぉおぅおぅ…。

こういう、即興のパフォーマンスというのは、その人そのもので、その人の持ってるものしか出ません。そしてその人自身の表現が生まれる内側のところ、その人の内面が磨かれる機会がなかったら、その面はずっと上達することがない。スタッフが、彼らの内面を大事に大事に育ててきたことがわかります。

パクチー常々思うんですけど、人格のうち、ペルソナの部分が対人を担当してくれますね。ペルソナは数多く機会をこなすことで鍛えられてるので、磨かれもするしブラッシュアップもされる。そこには後から身につける技術や儀礼やマナーや作法の美しさだったりも含まれる。しかし自分だけ知っている内面の部分が誰にも晒される機会がなかったら、晒されない内面が鍛えられることはない。ある時覚悟を持って晒し、ほんのパートの時間でもその自分でもって生き、そこのフィードバックを得て、いい時もあり、上手くいかないこともあり、その部分が幼いところからすこしずつ成長していくのは、内面が晒されて初めて行われる。それには自己愛も必要だし、守ってくれる身内の愛もそれをサポートする。そうしてわたしたちは、向き合い難い自己の嫉妬深さや、欲深さや、狡猾さ、エゴ、恐怖、他の大切にしたくて自信のないものとの付き合い方を習熟していく。それが大人になるということのような気がする。

BTS (방탄소년단) 'Butter' @ The Late Show with Stephen Colbert

そう。The 大人。みんな大人だよ……。BigHit改めHYBEさん、ようお育てになられましたな…。
それにしても、この絨毯が踊りにくそうである。グクが笑うとほっとする。

BTS (방탄소년단) 'Butter' Special Performance Video

Sooooooo Cute……!!!!!!!なんなのこれ、みんなすごいおしゃれやん!おしゃれ一等賞はSUGAだよ!ごめん!完全に個人的なツボです!もー何なんみんな、普通の人みたいな格好して…もう…本当に!本当に!

この動画のハイライト…1分25秒、テテさまの口づけにより下界に光が差した瞬間。

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これ見ていて思ったのは、なんとなく、K-POPっぽくないなと思ったことでした。髪型が。テテちゃんを始め、襟足の長さとかバリエーションがある感じが、むしろ日本っぽいような気がして、そんなところからカルチャーの違いが感じられて興味深かったでした。

とにかく、総じてポジティブでしたね。ここまで、歌詞もダンスも音楽もポジティブなのは、音楽でネガティブなことを表現することの責任を感じているのかと思ったりもします。音楽が波でできている、音が空間に、人の体に、その振動が伝わって影響を与える。良い作用もすれば悪い作用もする。音楽がメンタルに与える影響を考えた時、2億とか3億とかの再生回数分の何が再生されるか、というのは、それがポジティブである場合とネガティブである場合で、計り知れない違いが生まれるような気がします。

もはや彼らはある時期から、ネガティブな言葉すら努めて口にしません。それがネット回線を通じてものすごい数の人に視聴されるとき、発した本人に返ってくるネガティブは、一般人であるところのわたしがリフレクションとして受け取るようなものと違って、わたし達が簡単に想像するよりずっと深刻にリアルに、大きく重いものなのかもしれない。

これが、若いファンたちに対して「ポジティブすぎて自分たちのリアルじゃない」「きれいすぎる」と感じる可能性はあるかもしれないと思って、TOMORROW X TOGETHERの「0X1=LOVESONG (I Know I Love You) feat. Seori」を聴いてみた。おおっ!グランジか…?!それからENHYPEN 「FEVER」を。

ほう…。
なるほどですね…。

青春期、思春期の陰湿さ、アンハッピーさ、人生のへ無価値感、センシティブさ、周囲のものに対する怒りや不信、情緒の不安定さ(それは主にホルモンバランスが変化の過渡期で安定しないことによるものが大きいと思うのだけれど)、莫大なエネルギーが内側に篭っていく様子、潔癖感、ある段階でこれらが立ち現れるというのは、成長段階としては正しい。そしてそのことの代弁者であるのは、もうBTSの役割ではないんだな、と思った。だって、見比べてみたら、BTSはもうすっかり大人なんですもの。アダルトよ。体の作りからして違う。TXTの子達に、あるいはENHYPENの子達に、例えば「アジアンヘイトについてどう思いますか」なんて、少年の彼らには訊けない。酷すぎて。

BTSがMVの中で、演じていないような年相応の自然体で笑ったのは「War of Hormone」が初めてだ(パクチーの独断と偏見か)。それ以前のMV「No More Dream」「We Are Bulletproof Pt.2」「N.O.」では怒ってる、無表情、イラついている、そう、不機嫌なんである。そしてその不機嫌さは、本人の中では正当な理由があって不機嫌で、それは自分の感情を表現した結果で、正しく、自分が感じている理不尽さ、嫌悪、やるせなさ、抑圧を、不機嫌さとして周囲に撒き散らし、それはある段階まで正しいアプローチだとパクチーは思う。そして成長して自分が社会の庇護される立場から、社会を構成する立場になってくると、不機嫌さを撒き散らすと、結果起こるのは自分の周りが汚れる、ということを理解してくる。理不尽さ、嫌悪、やるせなさ、抑圧に、新しいアプローチが必要になってくるのである。

これが自覚されているのが、大人になるということでないかなと思う。

そういう意味で、BTSは初期、思春期の青春期の代弁者であり、彼らの成長とファンの年齢的な成長と共に、違うフェーズに移った。自分の怒りの質を知り、タイプを知り、ペースを知り、何に喜ぶかを知り、何に安らぐかを知り、自分に生まれるネガティブを濾過する方法を覚えていく。ポジティビティを提供することで、ポジティブの連鎖を生む方へ価値を見出していく。これは一部のファンからするととても希望のある態度だが、一部のファンから見たら、不自然と感じられるかもしれない。

HYBEは、もはやそれを分かって役割を分担させている。HYBEという大きなチームで、それぞれのクラスタのニーズに合わせてアーティストの作品のカラーを作っている。そしてBTSは彼ら自身の役割を分かって、その分担割りに協力している。ついこの間歌われたナムさんの「Fresh boy pull up and we lay low」は耳に新しいけれど、つまり、ああ文字通りそういうことだったんだね、TOMORROW X TOGETHERのクレジットを見て、「RM…?」驚いたけど、やっぱりナムさんであった、心強い、会社としてこれ以上ないくらいよく知った、信頼できるクリエイターだ。

と、ここでグクのタトゥーである。ここのところつい「ジョングクのタトゥー」という単語を使ってしまうんだけど、彼が露出を上げているのに伴って気になっているんだよー。

彼は非常に戦略的に段階的にタトゥーの開示をしている、「意図的だ」と言う人がいるが、わたしも意図的だと思う。

そして今、少し露出が上がっているね?

ジョングクのタトゥーが今後試金石になりそうなのが、わたしは心から興味深いと思っています。ジョングクのタトゥーが可か否か、それは本人が本人に選択していることなのだから、初めからその問いは他人が言う筋合いのことではないだろう。「好きか嫌いか」は、もちろんそれぞれ見た人の感情はその人のものだから、それぞれ好きに持ったらいいと思う。

嫌悪を持つ人が、それがなぜ嫌か。そこにはそれを嫌悪するプログラムが自分の中に望むと望まざると組まれているからである。どこかの段階で誰かに植え付けられたのか、自分で何かのきっかけを持ってそう考えるようになったのか。そしてそれは自覚することで、適切なプログラムに修正することができる。適切とは、タトゥーを好きになるということでは必ずしもないが、自分の嗜好と合わないものを他人が嗜好するとき、自分の嗜好に特別な正当性があるわけでも、相手の嗜好を否定していい理由になるわけでもないと分かっている状態のことである。

グクのことを想像してみると、中学生で親元を離れて、コンビニにも好きに行けず、好きなものを好きなように食べることもできず、行動も髪型も何もかも規制されて、自分に関わる全てのことに許可が必要だった。一挙手一投足監視下に置かれている状態で、何一つ自由にならず、自分の体なのに自分の好きなように扱えず、投げやりに雑に扱うことも許されず、そんな好きに出来ない自分の体を完全に自分のものだと思うことが出来ただろうか。一つは、体を鍛えるということが(当初反対されても)、それに伴って変化していくことが、「これは自分の体だ」という実感を高めたかも知れない。そしてもう一つの方法に、彼が自分の体を自分のものだと思って愛するために、抑圧されても、何一つ自分の自由に出来なかったとしても、誰にどう指示されどう使われようとも、自分で選んだ印が刻まれているのが目に見えることで、「これは自分の体なんだ」と実感されたのかも知れない。その感覚が、体を使う仕事を続ける上で必要だったのかも知れない、自分の体を愛する為の拠り所になるものが、そうじゃないかもしれない、そうかもしれない、分からないけど…。

分からないけど、彼がHYBEの社員である以上、この件に関しては相当に議論されたと思うし(グクもだろうし、社員間でもだろうし)、そのビジュアルがどう公開されるべきか、あるいはどのシーンでは開示されないべきか、当然社内のコンセンサスが取られていると思う。しかしそれとは別に、メンバーがグクのタトゥーをどういうつもりで見ているかと言ったら、愛していると思うんだよね、個人の嗜好はあると思うけど、それを超えて存在を愛していることは確実に言えると思う。

話は飛んじゃうけど、ジミンちゃんが兵役に行くことがあるのかということに触れた。わたし達は、この先の未来も、まだ、人を殺傷する道具を持って対立したいのだろうか。人の違いを、違いが違いとしてあることを、そのまま共に人が生きて素晴らしい創作ができることを、彼らはずっとその体を使って表現し続けてきたのに。

そういう未来をビジョンにしたり、言葉に出したり、してもいい段階なのじゃないかな、という気がしています。わたし達、殺し合わなくてもいいんじゃないのかな、傷つけ合わなくても、解決しようと努力できるんじゃないのかな。そういうビジョンを描くことは可能なんじゃないか。そして特にわたし達の民族は、そういうことばを口にして実現させる能力の高い民族だそうだから、積極的に使っていったらいいように思いました。みんながそれを可能だとイメージしたら、それは可能になるのだから。

わたしは、彼らが兵役に行かなければならないタイミングが来る前に、そういう未来が実現することは可能なんじゃないかと、希望を持っている。

みんなどれもこれも、つながっているのだ。大人。タトゥー。殺し合わなくていい未来。

ちなみに、ジンくんに関しては、痛ましい感じがジミンちゃんよりしない、なぜか。彼はアイドルとしてのペルソナから自由な環境で、等身大の友達をたくさん作りそうな気がする。そんな気易しいものじゃないのは想像できます、ごめんなさい。しかし彼はとても強い人だ、弱さを開示できるということがすごい強さだとわたしは思っている。彼が自作曲「Abyss」を書く元の体験となったバーンアウトの渦中にあった時、近しいスタッフは彼の精神状態を分かっていたと思うが、それを公開するとなったら、社員の隅々までが彼が精神的に万全じゃなかったのを知ることになる。耐えられるかい?対処する方法を見つけたから開示できた、ということはあると思う。そして彼については、常に最善の、良質のサポートが、会社として提供されていると思われる、そのように大切にされているアーティストであると思うし、彼自身が自分に必要なことの交渉のできる人だとわたしは思う。

最後に、BBCのインタビューで「どうやって精神の健康を保ちますか?」というファンの女の子の質問に対して、「うんどん(運動)」と皆が即答していたことに軽く感動しました。すごい、すごいよ…。この調子で世界に真実を広めてくれ!!!!!!




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