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視力の悪い男の子

私が、無意識か意識的にか、小説によく出してしまう、視力の悪い男の子。

彼のモデルはたぶん、予備校で一緒だったA君だと思う。
A君は、ハイレベル私大コース?みたいなクラスに入っていたから、頭が良かったんだろう。私はもっとずっと下のコースで、古文でたまに、教室が一緒になった。

私は彼に好意を持っていた。でも、あちらは特になんとも思ってなかったはず。顔を合わせると「よお」みたいに挨拶はしてくれた。
小論文で講師に少し誉めてもらえて、嬉しくてA君に見せたら、これ、小論じゃなくない?と言われた。

その時の小論文の内容は、覚えている。
自分に自信が無さすぎて、他人に攻撃的な言動をとっている。自分は中身が空っぽなのだ、みたいな内容。確かに、どこが論文?と思う。ただの独白ではないか。

A君は、現実世界で私の理解者であったわけではなく、妄想の中でも私を理解しない。けれど何だろう、ボールを投げたら「ハイハイ」と受けとってはくれて、怠そうにではあるが、また投げ返してくれそうな存在として、いる。

私に、わざわざ誰かを攻撃するのは良くないよ、と言ったのが夫。雨が降ってるから、傘をさしたほうがいいよ、みたいな感じで。素直にそうかもなと思えた。

どこからが攻撃で、どこからが攻撃じゃないのかわからなくて、多めに黙った。
人と自分との境界線があやふやで、それが嫌で自分で線を引いた。

人を攻撃しないと、自分にも攻撃しないなと思った。矢印が逆の可能性もある。


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