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くま君

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くま君の毎日
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#小説

あの日の砂場遊び

あの日の砂場遊び

くま君には、どうしてもしなくてはならない日課が二つある。一つは朝、なるべく太陽の光を浴びること。もう一つは、爪切り。

一つ目の日課である、朝日を浴びる、は、冬眠を避けるために行っている。
くま君は、一日を春夏秋冬に分ける意識を持つことで、冬に長く寝る熊の習性、冬眠を、夜の睡眠に置き換えている。
一度、うっかり冬眠してしまい、次の日に食べる予定だったサーモンの切り身をダメにしてしまった経験がある。

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掌編 競馬場のくま君

掌編 競馬場のくま君

くま君は、五歳だと言った。もうだいぶ前からずっと五歳で、これからもずっと五歳なのだと言った。

中学生の時、部活の帰りに寄り道する雑貨屋があった。店の名前は「コイケ」
コイケには、可愛い文房具やお弁当箱、それからぬいぐるみなどが置いてある。お誕生日プレゼントは、いつもコイケで買っていた。田舎なので、そんなお店はコイケしかなかった。友達もみなコイケでプレゼントを買う。包装紙は薄いピンク色で、小さいコ

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