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20240624 正解のない輪郭

人生の枢軸がもげて、足が生えるまで片足で立っている。朝が来る度にこれでいいんだと思う。これでいいんだと思う。

誰かを理解することなんて不可能だ。寂しい言葉に聞こえるかもしれないけど、俺はいまそう思う。これを寂しい言葉だなんていう人は、俺のことを理解していない。でも、そんなもんだ。どこまでいっても辿れない輪郭をなぞろうとして人は間違う。なら、なるべく優しい撫で方で、間違っても怪我しないなぞり方で線を想像すればよかったのかもな。

1人でしか考えられないことは山ほどある。本当の1人っていうのは、なんなのかとか。理解されることってのはなくても、理解しようとしてくれる人がいるってことがどれだけ大事かとか。

外側から輪郭をなぞろうとして人は間違う。内側からだって見えない曖昧な線があって、それを誰かとなぞりながらラインを引いていく。そりゃぶつかり合うさ。そりゃ決めつけるなって思うさ。「正解なんてなかったんだな」って気づく頃には、どこかが間違ってる。そんな感じだ。

ズレてしまっていないか怖いから、筆圧の濃い誰かに寄りかかってしまうこともある。その人は俺の理由になろうとしてくれたのかもしれないし、俺の輪郭を決めつけたかっただけなのかもしれない。心の根っこまでは見れない。愛なんて言葉じゃくくれないくらい、人は濃くて深い。

実家で朝6時に目が覚めると、鳥たちが鳴いている。うるせえなって思う。うるせえなって言わせてくれよ。なんでもかんでも可愛いって思うのは疲れる。ときどき死ねって思う人もいる。そんなこと言っちゃだめだよっていう人は、俺を抑圧しているのだろうか。それとも俺の外側を期待してくれているのだろうか。俺は俺が見えていると思っている。だからこんなにもムカついて、こんなにも寂しい。

何も見えない朝と夜。俺を見ようとした誰かが抱きしめてくれる。俺はそんな形をしていたのかと、抱きしめられて気付く。相手が泣く。相手が怒る。相手が悲しむ。そんなとき、俺は人を傷つけるほど尖ったフォルムだったんだなと気づく。自分で正解だと思っている形は、あんまり優しくないことのが多い。

許してもらうというのは、理解してもらうことじゃないと思う。傷ついても、凹んでも、その輪郭を一緒になぞろうとすること。見えていないものを一緒に探すこと。分からない未来を一緒に抱きしめること。はみ出した線を一緒に絵にすること。

誰かの下書きに傷つかない位置から口を出すのは簡単なことだ。だから強さが欲しい。とりあえず世界をください。俺が思う俺じゃなくていいので、なぞってください。わがままだから、布団にくるまりながらそう思う。それに飽きて、出る。

強くならなきゃなと窓の外を見ながら思う。なんのために1人になったか、わかんなくなるから。俺の曖昧な線は波及する。どこかで誰かと重なるために。



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