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【#003前編】グルーデコで教室開講/百貨店販売徹夜の毎日/新サービス誕生の裏側

― フランス刺繍アーティスト maison de jolie amie 中村 亜佐美さん ―【前編】

フランス刺繍アーティストで、maison de jolie amie の講師でもある中村 亜佐美さんにお話をうかがいます。中村先生は現在兵庫県西宮市でフランス刺繍教室を開講されています。刺繍との出会い、軌道に乗せるまでの苦労話や、新サービスの誕生秘話、コラボ企画など詳細に深く掘り下げてお話をいただきました。クラフトに興味のある方は必見!

<ピックアップインタビュー>


(細川)今回は、刺繍アーティストで、maison de jolie amie の刺繍教室も経営なさっている中村亜佐美さんにお話をお伺います。先生、よろしくお願いいたします。

(中村)よろしくお願いいたします。

(細川)この刺繍教室はいつ頃から始められたのでしょうか?

(中村)レッスンを始めたのは2018年です。このアトリエに移ってきたのは、コロナが流行した年ですから、2020年ですかね。

(細川)コロナが流行した年に移ってきたんですか!?

(中村)ちょうどタイミングが良くて、コロナが流行し始めたのが1月頃だったと思うのですが、まだその頃は緊急事態宣言も出ていない時で、規制もかかっていなかった時なんです。ちょうどその頃にアトリエを借りたいなぁと思っていた時期で。探していたら、2月にこちらが決まりまして、4月から入居ということが決まりました。この建物は新築で、契約時はまだ建築中だったんです。そのあと、ご存知の通りコロナが大流行したので、もう少し遅ければ、アトリエを借りる決断はしてなかったんじゃないかなぁと思います。
2018年9月に貸し教室を借りてスタートしたので、1年半ほどで常設のアトリエに移動した事になりますね。

(細川)それまでの貸し教室というのは、時間貸しのレンタルルームのようなものですか?カルチャーセンターのような?

(中村)いえ、カルチャーセンターではなくて、場所だけ貸してくれるところで。すごく安く借りれたんですよ。2時間半で1,700円だったんです。

(細川)えー!安っ!

(中村)スペースも狭くてMAX4名ほどのスペースで。ちょうどそのくらいでいいと思っていたので。そこを最初は午後だけ、4枠~6枠、隔週で抑えまして。

(細川)へぇ~。隔週で!?結構な頻度で抑えられたんですね!?

(中村)でも、賃貸料がトータル月1万円だったので、そんなに負担はないと思ったんです。1万円くらいなら、マイナスになってもいいか!という考えだったんですよ。

(細川)なるほど、なるほど。(感心)

(中村)おけいこ事は、振り替えられる日もないと人も集められないので。この日だけできますと言ってもダメですからね。

(細川)そうか、そうですね!その日は無理なので、じゃぁまた来月というわけには行かないですものね。

(中村)とりあえず、曜日や日程を選べる日数は必要だと思いまして。まぁ、投資の意味も含めて始めましたね。

(細川)へぇ~。(理解)

(中村)そして、友だちは一切声を掛けないと心に決めてました。面倒になると困るので。付き合いで来ていただかなくていいかなと。知らない生徒さんに来てほしいという考えがありました。お友だち同士で、習い合うお付き合いをされている方も見てきたので、そういうやり方は自分にはなじまないなと思って。だから、最初は生徒数ゼロでしたよ。

(細川)えーーーーー!!ゼロですか!!??(驚!!)

(中村)だから、貸しスペースの事務員の方も、「生徒さん連れてこられたんですか?」って聞かれたので「いえ、ゼロです。」って答えたら、「頑張ってくださいね~(汗)」って感じでした。でも、1万円だしいいわ!と開き直っていたんです。
で、どうしたらいいかなぁと対策を考えて、まずはブログとホームページはちゃんとしておかないといけないと思いました。

ちゃんとしたお教室というのを打ち出さないといけないので、それは仕事の一環として継続してやっていこうと。そしてブログをコツコツと上げていたら、告知も一切していないにも関わらず、3~4人の知人がどこかで調べたのか、来てくれたんです。そうすると、1回3,800円のレッスン料で3人来てもらうと、それで11,400円になるでしょ!?そうするともう賃貸料は赤字じゃないので、安心して教室を開けるようになりました。

(細川)なるほど!!(感心)

(中村)また、レッスンに必要な材料も必要な分だけ揃えるので、予め仕入れることはしていなかったんです。今でこそ、キット販売などで材料を仕入れることはありますが、当時は必要に応じてそろえていたので、無駄がなかったんです。だから、そんな感じでリスクなく始められたんです。
そして、だんだんとブログが読まれだして、ブログからの反応で教室にも生徒さんが増えてきて。検索で掛かるようになってきました。例えば「ししゅう教室 西宮」とかで、私の教室にヒットして、問合せが増えて、通われる方が増えていきましたね。それから、貸しスペースの方も空いていたので、午前・午後と借りるようになって…。
そうなると、問題は貸しスペースは時間貸しだから、撤収しないといけないということなんです!

(細川)あ、そうか!道具や材料を置いておけないんですね!?

(中村)そうなの!終了時間が来た!っていったら、15分で片づけて撤収しないといけないんです!入れ替わり制なので。もう、バタバタで。
だんだんそれがしんどくなってきて。おかげさまで生徒さんの人数も増えたので、荷物も多くなってきて…。私も忘れものが多くなってきたので、生徒さんに謝ってばっかりで…。
これはいけないと思って、常設の新しい場所を借りようと思ったんです。それで、このアトリエに移ってきたということなんです。

(細川)なるほどですね!!
その当時借りていらっしゃった貸しスペースも西宮北口だったんですか?

(中村)そうです。こちらとは逆方向で、阪急電車より北側にあったんです。

(細川)その西宮北口にこだわったのは、理由があるのでしょうか?

(中村)いえ、別に理由はありませんでした。貸しスペースも含めてなかなかいいロケーションがなくて。大きさとか賃料とか。
たまたま私が習っていた先生がアトリエを構えていらっしゃったんですけど、初めは西宮でやっていらしゃったとわかったので、検索をしたところ、この物件がいいなぁと思って。
西宮北口で始めたこともありますし、生徒さんにとってもこの場所が良かったみたいで。宝塚からも一本、大阪からも一本、神戸からも一本で通える立地が良かったんです。西宮だから通えますという生徒さんも多かったので、西宮北口からは出る選択肢はなかったですね。
いい物件との出会いもありましたしね。

(細川)それは、コロナ禍だから、物件が空いていたということですか?

(中村)いえ、それはなかったですね。この物件も、周りの物件もあっという間に埋まりましたよ。

(細川)そうですか!!??

(中村)それでね、やっぱり住居目的で借りられる物件は多いんだけど、私のようにアトリエとして貸していただけるマンションは少なくて…。だからちょっと予算オーバーだったけど、すぐにここに決めました。

(細川)もともと、中村先生も刺繍を習っていらっしゃったんですよね!?初めから先生になろう!って思っていらっしゃったんですか?

(中村)そうですね。教えたいなとは思っていました。でも、最初は刺繍でまとまったお金が頂けるとは全く思っていませんでした。趣味の延長だから発想にもなかったんです。でも、習い始めてその先生を見ていたら、そのレッスンの仕組みが分かってきて、レッスン料と生徒さんの数でだいたいやっていけるかどうかっていうのが理解できたので。まだ、その時は習っているプログラムの最中で勉強中でしたので、それが終わった時に私もやりたいなと思って。

(細川)へぇ。なるほど。

(中村)そもそも私が自立をしたかったんです。今はもうどうでもいいと思っているですけどね!

(細川)(笑)(笑)

(中村)でも、始めた時には刺繍教室でこんなに人数が集まるとは思ってもいなかったんです。刺繍に興味のある人がそんなにいるの?ってちょっと懐疑的でした。

(中村)私の先生は、こういった(実物を手に)ちょっと高額だし、特殊な刺繍を教える先生で、その刺繍の生徒さんしか教えていらっしゃらなかったんです。

(細川)(見せていただいた刺繍を指して)この刺繍は何という刺繍なんですか?

(中村)リュネビル刺繍と言ってフランスのオートクチュールに使われる刺繍で、ルサージュっていう刺繍専門の学校がフランスにあって、そこで刺繍留学した人にしか教えない技術があるんです。だから、その技術を教えてくれるところが無かったんです。私が習い始めたのが6年ぐらい前ですかね、無かったんですその頃は。私の先生はルサージュに刺繍留学に行ってそこで技術を習得して、教えてくださっていたんです。だから当時は、ルサージュに刺繍留学した人だけが持っている技術でしたが、今はその先生たちに習って習得した人たちが教え始めているんじゃないかな?私のように。

(細川)先生はそうですね第3世代ということですか!?

(中村)そうですね。でも、今でも本場で習得された方から学びたいと思われる方も多いですから。そういった先生はブランド力もあって人気なんですよ。
でも、なんとなく私は色んな刺繍の技術があった方が強いと思ったんです。ひとつの技術に特化するのもいいのですが、(実物を手に)このようなフランス刺繍はもう20年くらい前に習ったことがあったので、両方できて生徒さんが選ぶことが出来たら楽しいかなと。レッスン受けながら、違う刺繍を見てそちらにも興味がわいたら、そちらを受けて頂いたり、自由に選択できるのがいいかなと思いました。そうした方が生徒さんが集まりやすいかなと。
そしたら、その思惑がバチッとはまって、両方あることによって生徒さんの人数が増えました。

(細川)すごーーっ!!
フランス刺繍を習いに来られる生徒さんも、中村先生のリュネビル刺繡の技術が背景となって選ばれているのもあるんじゃないですか!?

(中村)でも、皆さんの話を聞いていたら、やはりどこで学ぼうかというポイントは、「作品」だそうですよ!
こんなものをつくりたい!という思いで、教室に来られています。私もそれはそうだろうと思っていたので、写真にはこだわりました。絶対にその作品の写真を見て来られるので。

(細川)なるほど!だから、すごい写真上手ですよね!!前から一人で感動してるんですけど!!

(中村)いやいや、そんなことはありません。

(細川)いや、いつも否定なさいますけど、ほんと感動します!

(中村)でも、写真がきれいじゃないと。そこが生命線だなと思っています。
だから、いいものを作っていたら、自然と人は集まってくるかなと思っていました。

(細川)なるほど。

(中村)そしたら、どうやって来てくださったんですかと伺ったところ、「こんな感じの刺繍はほかになかったので。」「中村先生の作風が好きだから。」という答えが返ってきたので、やはり作品が生命線だと思っています。

(中村)皆さんまずは検索を掛けてお越しになられます。「フランス刺繡教室 西宮」とかでね。たまたまあまり競合する教室が他になかったので、コンスタントにブログをアップすると検索でトップに上がってきたんです。そんな特別SEO対策とかしたわけではないんですけどね。ただ、検索ワードは何が掛かるのかはちょっと研究はしました。

(細川)へぇ~。(感心)じゃぁ。発信はもっぱらブログで?

(中村)ブログだけでしたね、まずは。そこからインスタも始めて…。知人からインスタは便利だよ、ブログのように文章を考えなくても写真だけでいいから、と聞いたので、インスタも情報発信として加わりました。

後編につづく


 maison de jolie amie は、兵庫県西宮市にある刺繡教室。リュネビル刺繍と呼ばれるオートクチュール刺繍といった本格的な刺繍から、フランス刺繡などさまざまな刺繍作品を作ることができる。また、一般的な額装のみならず、洋裁やバッグ、カルトナージュやグルーデコといったアクセサリーなど豊富な経験から刺繍作品とのコラボレーションを提案。昨年には、刺繍やカルトナージュをキットとしてインターネット販売も手掛ける。また、アーティストとしての活動も活発で、ネットショップでも「Asami Nakamura Handmade」として作品販売も行っている。作品の数々はインスタグラムでチェック。

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