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半村良「亜空間要塞」「亜空間要塞の逆襲」(パロディな異次元世界での冒険)

昔に読んだ小説を読み返しています。
半村良の「亜空間要塞」とその続編の「亜空間要塞の逆襲」を読み返してみました。

「亜空間要塞」は文庫本の解説によると、1973年(昭和48年)の「SFマガジン」9月号から12月号に掲載された小説、「亜空間要塞の逆襲」はその2年後の1975年2月号から9月号に掲載された小説。

私が読んだのは、角川映画「戦国自衛隊」が上映され、原作者の半村良が注目された当時の1979年頃(40年以上前)だと思います。

若者たちが異世界に行くという軽い話の「亜空間要塞」は割に面白かったけど、「~逆襲」はよく分からなくてあまり楽しめなかったという印象しか記憶に残っておらず、話の内容は全く覚えていませんでした。

「亜空間要塞」は、山本麟太郞、吉永佐一、三波伸夫、伊東五郎(山本リンダ、吉永小百合、三波伸介、伊東四朗のもじり)の4人の主人公が、UFOの光線を浴びて、山本の別荘で発見した時空間のゆがみから異次元世界(亜空間要塞)へ行くという話です。
亜空間要塞の中は、壁で仕切られたさまざまな異なる世界が存在し、外から来た4名はその壁を越えられるが、元々その中にいる人々は壁を越えることができない世界となっています。

SFに詳しくないのですが、「デューン砂の惑星」「ウルフガイ」「火星のプリンセス、ジョン・カーター:バローズ」「フランケンシュタイン」「ドラキュラ」(デューン以外は未読)などなどいろいろなSF小説のパロディになっているようです。
SFに詳しい方は、「ああこの部分はあれのパロディだな」などがわかり、楽しめるかもしれません。

「亜空間要塞」は、亜空間要塞が何なのかを含め、色々な謎も明らかにされないまま終わってしまいます(主人公たちの仮説は語られますが)。
そのため、「亜空間要塞の逆襲」はその続きなのかなと思って読むのですが、ちょっと違います。

「亜空間要塞の逆襲」は、想像上の亜空間要塞が実際に存在していて、その秘密をなぜ半村良が知っていて小説を書いたのかを、異星人(?)から探られるというような話です。
半村良自身は「亜空間要塞」の小説の内容はすべて想像であり、誰かから教えてもらったというものではないので困惑します。

閑話再開<はなしはそれるが>。
「亜空間要塞の逆襲」を読んでいて、スパイであった主人公が拉致された「村」の中で、秘密(情報)を出せ出せと言われる「プリズナーNo.6」という昔の海外テレビドラマを思い出しました。
閑話終了。

「亜空間要塞の逆襲」の前半は、半村良を過去に時間遡行させて、その秘密を探ろうとします。半村良の過去の話がいくつか語られるのですが、どこまで本当でどこが嘘の話なのかわからない(全部嘘かもしれませんが)、ノンフィクション的なフィクション小説になっています。自分的にはちょっと退屈でした。
後半は、小説と同じくUFOの光線を浴びて、実際の亜空間要塞に連れて行かれます。後半は少し面白くなりましたが、「亜空間要塞」と同じく、最後は急いで終わらせた感がありました。一応、最後に取って付けたような解明がありますが、あやふやな感じです。

半村良には他にもっと面白い小説(数冊しか読んでいませんが、自分が読んだ中では「岬一郎の抵抗」)があると思うので、特にお薦めできる小説ではありませが、気楽に読むSFとしては良いかもしれません。

未読の半村良のSF小説はたくさんあるので、今後少しずつ読みたいと思いました。




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