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『ウルトラセブン』観ました。(第41話〜第49話まで)

凡例のようなもの

 以下の感想は視聴当時(2020年2月22日〜2020年4月5日)にふせったー(指定した箇所を伏せ字にしてツイート出来るツール。追加で長文も付けることが出来る)を使用してツイートしたものです。省略した句読点の追加や、語句の統一程度の推敲はしましたが、ほぼそのまま掲載しています。
 今回は第41話から第49話までの分を扱いました。
 全体的にネタバレや、感想を読む方が視聴していることを前提とした内容です。まだ未視聴の方は、その点をご留意ください。

『ウルトラセブン』第41話観ました。

 紛うことなき河童回でしたね。
 今回は河童推しでしたね。河童同好会の人々を中心に置いて、湖に現れた河童の謎を追う感じが、ミステリー・アドベンチャー番組らしくて楽しかったです。中でも、河童だと思ったら宇宙人を捜索に来ていたフルハシ隊員とモロボシ・ダンだったのが笑いました。モロボシ・ダン、主人公でありウルトラセブンであり、真面目な好青年である立場なのに、ギャグ的場面に登場したのがびっくりでした。
 一時は本当に妖怪の河童かと思われましたが、しかしこれは『ウルトラセブン』、河童の正体は紛うことなき河童の姿をした宇宙人でしたね。少しは差異があるのかと思いましたが、頭上に皿を、手には水かきを持っており、本当にまるっきり河童でした。
 結局、話中では「河童の正体は宇宙人」ということになりましたが、本当に妖怪の河童はいないのでしょうか。ちょっとだけ気になります。
 ところでアンヌの髪が長くなっていましたね。最初の頃は長かった印象があるので、それに戻った感じがします。

『ウルトラセブン』第42話観ました。

 今までは地球を侵略してくる異星人が相手でしたが、今回は逆にウルトラ警備隊が代表する現代の地球人が侵略者になった気分です。
 今回は2年前に亡くなった謎の少年・真市くんがキーパーソンでした。真市くんはモロボシ・ダンをはじめとするウルトラ警備隊の大人達に「海底開発はやめろ」「海底はノンマルトのものだ」と必死に働きかけましたが、海底を現代の地球人の大切な資源と見做すアンヌやキリヤマ隊長達に無視もしくは否定されました。キリヤマ隊長に至っては、実際にノンマルトの海底都市を発見した際に「地球の先住民はノンマルトだったのか?! いや、そんなはずはない!」とノンマルトの存在そのものを否定する姿勢を見せました。
 この話に、自分達を地球の唯一無二の支配者だとする人間の愚かさへの批判を感じました。また、未踏の土地に先住民を見た際に、尊敬の念を表現せず対等な立場すら取ろうとしない侵略の姿勢の良い例を、地球人の大人達に見た気がします。ウルトラ警備隊の相手は、今までは地球を侵略してくる異星人でしたが、今回はウルトラ警備隊が侵略者となってしまったのだと思います。
 M78星雲では地球人のことをノンマルトと呼ぶとダンは言っていましたが、やはりノンマルトが地球の先住民だったのでしょうか。そして光の国と交流を持っていたのでしょうか。興味は尽きません。
 ところで冒頭では『ウルトラマン』でイデ隊員役だった二瓶さんが登場されていましたね! いつものあの陽気な感じが懐かしかったです。

『ウルトラセブン』第43話観ました。

 ソガ隊員が占星術に凝ったり、下駄を蹴り飛ばして天気占いをするのが、人間味を表現していたと思います。
 今回は現代でのコンピューター技術の発達や、AIの出現を予見したような内容でしたね。計器によって自動操縦が出来る長距離ロケット・スコーピオン号に導かれて旅した先が、コンピューター技術が発達し、ロボットが人間を支配するようになった第四惑星だったのは偶然ではない気がします。
 第四惑星では人間が資源として残されていましたが、支配階級のロボットが「コーヒーの味が毎日変わる」と人間の不正確さを揶揄し、人間を抑圧していました。一方で「人間もロボットのように生きるように扇動した」として、政治犯を銃殺刑にしてもいます。
 第四惑星のロボットは500年先をも予測し、将来的に希少になる資源である人間を確保するために地球侵略を行おうとし、現れたウルトラセブンによって事前に阻止されます。しかしそれがウルトラ警備隊の通信の届かない、観測されなかった戦いだっただけに、本部ではスコーピオン号の実験が成功と見做されてロボット開発を推進する動きが出ました。
 コーヒーの味を毎日変えてしまう不正確さを持つ人間性を抑圧するようなロボット開発が本当に進むことを危惧して今回は幕を閉じました。わたしにはソガ隊員が、占星術や下駄を蹴り飛ばして天気を占う、神秘や偶然に頼る非科学的な行為に凝っている様子が、人間味を表現していたと思わざるを得ません。

『ウルトラセブン』第44話観ました。

 「人間の姿で脳はサルという生き物が、貴方の周りにもいないとも限りませんからね」というナレーションに恐ろしさを感じました。
 今回は人間とサルの脳波を入れ替えて、サル人間を増やして侵略をしようとするゴーロン星人の企みが描かれました。
 最初の事件で「ゴリラのようなものを見た」という目撃証言が得られ、犯人の血液は人間のものだとする結果が出た時は、今度こそ人間同士の戦いが起きるのではないかと恐怖しました。特にモロボシ・ダンがモンキーパークで檻の中のサルを見た時に「本当にこれがサルだろうか?」と言った時は怖かったです。結果的にそれは地球に侵略しにやって来たゴーロン星人の仮の姿だったわけですが、常に敵の正体が地球人だったらどうしようと思って観ていました。
 話中の様々な種類のサルの映像が挟み込まれる演出も、それに一役買っていたと思います。見れば見る程、人間とサルは似ていて、まるで「人間とサルの違いはどこにあるのか?」と思わされているようでした。
 また最後の「人間の姿で脳はサルという生き物が、貴方の周りにもいないとも限りませんからね」というナレーションは恐ろしかったです。少し前に『ウルトラマンマックス』で『狙われない街』の回を観たのですが、その回でも時折サルの声が日常の風景に挟み込まれる演出が取り入れられており、文明の発達で便利な道具に慣れきった人間達が乱暴になっていく様子が描かれていました。それが今回の話に類似している気がして、気味が悪かったです。また両方とも見直してみようと思います。

『ウルトラセブン』第45話観ました。

 最後の場面を観ると、やっぱりあの青年はペロリンガ星人に星へ連れて行ってもらったほうが幸せだったかも知れないと思ってしまいます。
 登場したペロリンガ星人も示唆していましたが、まるで多少救いのある「狼少年」の話のようでしたね。嘘ではなく真実を告げていても、それに信憑性が無ければ嘘だと判断され、それが続けば真に受けてもらえなくなる。もしかしたら「狼少年」よりも救いが無いかもしれません。
 今回は青年の伝えた情報がモロボシ・ダン達によって正確だと判断され、それによって地球が防衛されました。青年の元にはウルトラ警備隊員達が直接訪れ、表彰まで示唆されましたが、そうして人間のゴミゴミした社会に迎え入れられることが青年にとって幸せだったとは、とても思えません。青年は少年(正体はペロリンガ星人でしたが)に言っていたとおり、「人間のゴミゴミした社会を離れ、星の世界へ行きたい」と思っていました。人間の社会に迎え入れられることが、必ずしも青年の幸せに直結するとはとても思えず、やはりペロリンガ星人に星へ連れて行ってもらったほうが幸せだったのかも知れないと思ってしまいます。

『ウルトラセブン』第46話観ました。

 偽者であっても我らがヒーローに攻撃されるのはゾッとしませんね。
 恒例となりつつある、ウルトラマンの偽者の登場回でしたね。サロメ星人によって作られたにせウルトラセブンが街を破壊し、味方を攻撃するという、偽者とは言えゾッとしない回でした。
 『ウルトラマン』と違うところは、『ウルトラマン』ではザラブ星人が化けたものが現れたのに対し、『ウルトラセブン』ではサロメ星人によってロボットとして製造されたところだと思います。ウルトラセブン=モロボシ・ダンという本物の目の前で製造され、仕上げられ、挙げ句の果てにはにせウルトラセブンが街を破壊する様を見せつけられたのはショックでした。地球侵略を目的とする異星人達の中に『地球にはウルトラセブンがいて、地球人の味方をしている』ことが常識として流れている中で、それに着目し、「ウルトラセブンを排除せず、逆に味方にする」ことを実行したのは、今までに無い点だと思います。そして『ウルトラセブンはモロボシ・ダンという人間として生活している』ことも見逃さず、ガッツ星人のように『ウルトラセブンの状態で倒す』ことに拘らず、モロボシ・ダンの姿の時に拘束し、にせウルトラセブンを見せつけ、用済みとなったら爆破するという点は感心します。
 しかしそこまでしても、やはりウルトラセブンは優しくて強いヒーローなので、サロメ星人の科学の粋を集めて製造されたにせウルトラセブンにも勝ってしまうんですよね! あと残り3話ですが、最後までこの調子で頑張って欲しいです。

『ウルトラセブン』第47話観ました。

 『ウルトラマン』ムラマツ隊長と『ウルトラセブン』キリヤマ隊長のツーショット、最高でした。
 今回の話では団地での生活の一端が描かれました。現代ではお隣さんが誰か、何をしている人かわからないことはザラなので、今回登場したサトウさんのようにお隣さんやお向かいさんに助けを求められる程に近所との付き合いをし、信頼関係を築けているのはすごいなと思ってしまいました。
 また、今回はモロボシ・ダンがウルトラセブンとしての能力を存分に発揮して事件を解決していましたね。フック星人の発する音波や立体映像は、ダンが異星人・ウルトラセブンとしての能力を使わなければ、もっと言えばフルハシ隊員をはじめ、地球人であるウルトラ警備隊員達の力だけでは解明できませんでした。フック星人の今回の計画は、サトウさんの電話やモロボシ・ダンの存在さえなければ、完遂できたのだろうなと思います。
 現在モロボシ・ダンはウルトラ警備隊の親しい隊員達にすら正体を明かさず、ウルトラセブンとして活動していますが、宇宙人としての能力を使わなければならない事件が多い以上、正体を隊の中だけでも明かして、その上で作戦計画を立てられることがあれば、もっとスムーズに事件解決に役立つのではないかと少々考えてしまいます。きっとウルトラセブンは正体を明かしてしまうことをきっかけとして帰還してしまうのでしょうが、それは勿体ないことだなと思いながら観ています。

『ウルトラセブン』第48話観ました。

 ここにきて少数精鋭部隊の欠点というか、ウルトラセブンによるワンオペ地球防衛の負の結果が出ていて心が痛みますね。
 話の最初からモロボシ・ダンが不調で、パトロール任務や迎撃戦に影響が出ていて心配になりました。
 ウルトラ警備隊は少数精鋭の組織で、6人で任務を回しており、今までの回ほぼ全てで総員出撃しています。もちろん『ウルトラセブン』なので、主人公モロボシ・ダン=ウルトラセブンが全部の回で登場・出撃しており、地球防衛の成功はウルトラセブンの活躍による成果と言わざるを得ません。前回の感想で書いた通り、モロボシ・ダンが宇宙人としての能力を活かして解決した事件も多くあります。ウルトラセブンと同様の能力を持つ者が他にも居たら良いのでしょうが、サブトラマンは居ないので、結果的にウルトラセブンのワンオペでやってきてしまいました。その負の結果が今回出てしまっており、社会人として会社勤めをしている者として心が傷んでしまいました。
 幸いにも他人の顔色が悪いと心配してくれる同僚はいるし、すぐに医療が受けられる体制は整っているのですが、ウルトラセブンとしての優しさが自分への甘さを許さないし、身体の仕組みが違うので普通に医療が受けられないのが残念ですね。
 次回は残念ながら最終回ですが、有終の美を飾ることは出来るのでしょうか。今までやって来て地球人の愚かさも存分に味わってしまったウルトラセブン=モロボシ・ダンが、上司(?)に堂々と「地球は美しい」と言ってくれるのがとってもうつくしいので、出来れば勝ってほしいですね。

『ウルトラセブン』最終話観ました。

 『モロボシ・ダンの名を借りて』『倒せ、火を吐く大怪獣』という、『ウルトラセブンのうた』そのままの最終回でしたね。ダンに正体を明かされたアンヌが泣いていたのが印象深いです。うつくしい最後でした。
 まず、前回と今回と、クラタ隊長がウルトラ警備隊の隊員の一人として登場したのがとても良かったです。クラタ隊長はキリヤマ隊長の良きライバル・同僚として活躍されました。荒っぽいところもあるけど、任務には忠実で厳しいところもあるけど、部下を大切にされる立派な上司でした。そんな彼が最終話に登場されたのは嬉しかったです。わたしは本編にはあまり登場しないけど、隊員達と親しい、良きパートナーな、『ウルトラマン』で言えばイワモト博士のようなポジションの登場人物が大好きなので、クラタ隊長が他のウルトラ警備隊の戦闘機と揃って空を飛んでいたのが嬉しいです。
 また、ゴース星人に囚われたアマギ隊員の神妙な表情が印象深かったです。ゴース星人からのメッセージを呼びかける彼の様子は洗脳されきったようで怖かったのですが、それを終えてもう地底ミサイルを撃ち込むか、マグマライザーが突っ込んでくるかという時の瞑目した様子は、腹を決めているのを感じさせるようでした。最終的にはウルトラセブンによって救出されましたが、『ウルトラマン』ではウルトラマンだった彼がアマギ隊員としてウルトラセブンに救出されるのは、不思議な縁を感じますね。
 「ダンは死んで帰っていくのだろうか」「いや、ダンはきっと元気になって帰ってくる!」とモロボシ・ダンを心配していたソガ隊員とフルハシ隊員も印象深いですね。それに「なんで体調が悪いことを知らせてくれなかったんだ」とウルトラセブンとして戦っているダンを心配していたキリヤマ隊長の言葉も深いです。
 そして何より、ダンに真っ先に正体を明かされたアンヌ隊員です。彼女は涙しながら何を思っていたのでしょうか。愛するひとが宇宙人だったことでしょうか。我らがモロボシ・ダンがウルトラセブンだったことでしょうか。その彼が必死になって地球に献身していたことでしょうか。何はどうあれ、アンヌがダンを受け入れた姿勢、あのシーンはうつくしかったです。しかしダン=ウルトラセブンは彼女を振り切ってアマギ隊員と地球のために飛び立って行きました。そんなアンヌの心情は計り知れません。
 ウルトラセブンの最後の戦いは悲壮でした。しかし地球は彼の手で守られました。あんなにうつくしい、痛ましい、決死の戦いをわたしは知りません。
ありがとう、ウルトラセブン。

『ウルトラセブン』最終話(二回目)観ました。

 地球を守るヒーローとして、恋に生きるわけにはいかないという辛い二択を迫られてしまったのだなあと思いました。
 (オタク的噛み砕き・解釈を含みます)
 わたしは『ウルトラセブン』を、「モロボシ・ダンとユリ・アンヌの恋愛物語」としても観ていました。『ウルトラマン 40YEARS LATER』という音楽アルバムに『フォーエヴァーダン&アンヌ』というトラックがあり、最終話でのダンとアンヌの別れのシーンが再演されていたのです。それがわたしの『ウルトラセブン』視聴のきっかけになりました。モロボシ・ダンとユリ・アンヌが、どのように仲を深めていき、どのようにあの場面を迎え、どのような結末を迎えるのか、どうしても知りたいと思ったのです。
 最終話、ウルトラセブン=モロボシ・ダンは体力の限界を迎え、アンヌはレントゲン写真撮影などの精密検査を受けることを勧めます。ですがモロボシ・ダンはそれを基地からの逃亡を含む手段で拒んでしまいます。それをされると自分がウルトラセブン=宇宙人であることがバレてしまうからです。
アンヌが精密検査を勧めたのは、同じウルトラ警備隊員として仲間の健康を気遣う気持ちもあったと思うのですが、恋人同士であった以上、愛の表現であったとも思うのです。でもダンは宇宙人である以上、その愛は受けられなかったのです。地球人の愛は宇宙人には受け取れないのだと思わざるを得ません。ある意味『美女と野獣』的なものを感じます。
 更に『フォーエヴァーダン&アンヌ』でも描かれた、モロボシ・ダンとユリ・アンヌの別れの場面です。以下に台詞を抜粋します(わたしが聞き取って文に起こしたものです)(『フォーエヴァーダン&アンヌ』と実際の別れのシーンでは台詞の差異がありますが、ここでは最終回でのシーンを用います)。

  

アンヌ「秋夫くんという子が電話で教えてくれたの。ダンがここにいる、って。何故逃げたりなんかしたの? ねえ、答えて」「ダン……」
ダン「アンヌ。僕は、僕はね、人間じゃないんだよ。M78星雲から来た、ウルトラセブンなんだ!」
(ここで背景がキラキラしたものに変わる。風でアンヌの髪が揺れ、逆光で二人の表情が見えなくなる)
ダン「びっくりしただろう……?」
アンヌ「ううん。人間であろうと、宇宙人であろうと、ダンはダンに変わりないじゃないの。例えウルトラセブンであっても……」
ダン「ありがとう、アンヌ……」

(※中略)

ダン「今言ったように、僕はM78星雲に帰らなければならないんだ。西の空に、明けの明星が輝く頃、一つの光が宇宙へ飛んでいく。それが僕なんだよ。さよならアンヌ!」
(ダン、ウルトラアイを掲げて変身しようとする。アンヌはその手を捕まえて言う)
アンヌ「待って、ダン、行かないで!」
(ダン、アンヌを振り払う。アンヌは地面に倒れる)
ダン「アマギ隊員がピンチなんだよ!」(変身する)

  

 ダンとアンヌは恋人同士ですが、それ以上にダンはウルトラセブンであり、ファイターであり、ヒーローなんですよね。ウルトラセブンは火を吐く大怪獣を倒し、地球人の幸せを守らなければいけない。そのためには自分の健康を優先したり、恋愛に生きてはいけないんですよね。だからアンヌの手は相手を倒してしまったとしても振り解かなければならなかったし、敵の手に落ちた仲間を助けて怪獣を倒しに行かなければならなかった。例えそのために命を落としたとしても。
 ダンはウルトラセブンとして、辛い二択を迫られてしまったのでしょう。そして地球を愛する者としてアンヌの手を離すしかなかった。
 正直わたしはダンとアンヌの幸せを願うものとして、この結末は仕方無いとしても不服ではあります。いつかアンヌの元にダンが戻ってきて、今度こそ二人で笑い合えるのを願ってやみません。

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