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『ウルトラマン』(初代)観ました。(第21話〜第30話まで)

凡例のようなもの

 以下の感想は視聴当時(2019年12月2日〜2020年2月21日)にふせったー(指定した箇所を伏せ字にしてツイート出来るツール。追加で長文も付けることが出来る)を使用してツイートしたものです。省略した句読点の追加や、語句の統一程度の推敲はしましたが、ほぼそのまま掲載しています。
今回は第21話から第30話までの分を扱いました。
 全体的にネタバレや、感想を読む方が視聴していることを前提とした内容です。まだ未視聴の方は、その点をご留意ください。

『ウルトラマン』(初代)第21話観ました。

 フジ隊員とホシノ少年がかっこいい回でしたね!
 怪獣ケムラーの異変の兆候について、アラシ隊員が「それ(兆候の詳細を調べに行くこと)は女子供の仕事ですよ」と言ったのには時代を感じました。しかしそれに対して逆に立候補して心配させることで男性陣の鼻をあかす科学特捜隊の紅一点・フジ隊員は格好良かったですね。出発の際の敬礼に男性陣が居直って応ずる様には笑ってしまいました。また、無断参加ながらもビートル2号を毒ガスで気絶したフジ隊員の代わりに発進させ、窮地を抜ける活躍をしたホシノ少年も格好良かったですね。最初は科特隊への憧れからいたずらっぽいところが目立っていましたが、段々と活躍を重ねてついに入隊し、ビートルを飛ばしたのは少年の夢を感じます。その後イデ隊員にアイデアを与え、ウルトラマンを励ましてケムラー撃破のきっかけまで作っていますが、その報酬が飴玉なのは惜しいと思います。話の最後に彼がいたずらっぽく言った言葉は、大人の男性への皮肉にも感じられます。
 ところで今回初めて、発明家としてのイデ隊員の姿が見られましたね。眼鏡に白衣で実験をする姿は、いつものムードメーカーとは一転して、面白いが冷静な彼の表情を表現していたと思います。

 『ウルトラマン』(初代)第22話観ました。

 『ウルトラマン』にウルトラマンがいないだけで不安になることが証明された回でしたね! 
 話の初っ端からハヤタ隊員がパリに向けて出発し、科学特捜隊極東支部から不在になってしまいました。その後間もなく不穏な事件が次々に起き、ハヤタ隊員の安否が分からなくなる始末です。ハヤタ隊員と去ったはずのアンヌ(※ひし美さんではない)と似た女がただの人間でないことが分かっても不安は拭いされません。なぜならハヤタ隊員=ウルトラマンがいないからです! ウルトラマンがいなければ科特隊は怪獣を倒せないし、逆にウルトラマンが科特隊を食った存在となっていることを改めて気付かされました。科特隊のビートルがナパーム弾を投下した時、怪獣・テレスドンの被害よりも科特隊の誤爆のほうが被害を拡大しているような気すらしたほどです。この番組のタイトルは『ウルトラマン』なのでウルトラマンがメインを張りますが、本来地球を守る組織であるはずの科特隊の存在を否定されたような気すらし、不安でいっぱいになりました。
 しかし事件の原因を作った地底人達のシーンは幻想的でした。モノクロの映像に目元を誇張したアングルは、ファンタジーを感じました。ウルトラマンが変身した時に眩しい光を感じて感動している様子には、まるで浄化されて昇天していくようにも見えました。
 無事にウルトラマン=ハヤタ隊員は帰って来て本当にパリに旅立ってしまいますが、今度は大丈夫なのでしょうか。誘拐の心配よりも、次回以降のウルトラマンの登場が不安になります。この番組は『ウルトラマン』なのに。

 『ウルトラマン』(初代)第23話観ました。

 人類の科学のありかた、科学者、人間の心のありかたが問われる回でしたね。
 今回登場した棲星怪獣ジャミラはまず姿そのものが衝撃的でした。首がなく、頭と胴体がそのまま繋がったような形、ごつごつとした岩のような肌に長い腕が生えているのは、生物的ではないようでとても怖かったです。しかしジャミラの真骨頂は「科学競争の果てに宇宙へ取り残され、見殺しにされた地球人、人間である」という由来だと思います。ジャミラは人類に対する恨みと憎しみから国際平和会議を妨害・阻止しようとしますが、地球人でありながら地球の平和を乱そうとするところが、宇宙人でありながら地球の平和を守ろうとするウルトラマンと対極にあると感じました。ウルトラ水流で倒され、泥まみれになり、地球の土に還った最期が、因縁を感じてなりません。
 また、今回は様々な発明で科学特捜隊を助け、ムードメーカーとしてお茶の間を和ませてきたイデ隊員の心が乱れた回でもありました。自分の発明がジャミラ発見に繋がったものの、ジャミラがいわば自分達・科特隊の先輩にも当たる存在だったと知るや、発明を後悔した時は心が痛みました。自分達の未来の姿かも知れないジャミラを退治しなければいけなくなったのは可愛そうでなりませんでした。最後の場面でイデ隊員の表情が見えなかったのが想像を掻き立てられますが、むしろ見えないのが深いと思います。
 ウルトラマンは時々楽しいだけではない、考えさせられるエピソードを挟んでくるのがいいですね。次も楽しみです。

『ウルトラマン』(初代)第24話観ました。

 今回は大冒険の回でしたね。
 今回は前回とは打って変わって大冒険な回でした。海底に潜水したり、怪獣を相手に潜水艦で戦うのはあまり無いので新鮮でした。
 海底基地が怪獣グビラの攻撃でパイプラインが破壊され、危機に陥った際の各人の行動は、ある意味お手本のようでした。ムラマツキャップの行動は上に立つ大人の鑑のようでした。弱い立場の人間のために自分の分の酸素ボンベを使ったり、部下(ホシノ少年)を励まして先に行かせたり、素晴らしい行動をしていたと思います。ホシノ少年も少女をよく元気づけ、上司で尊敬する大人であるムラマツキャップによく従っていたと思います。しかし一方で立場のある人間であるはずの会長が、「酸素の節約のためにタバコを吸うのはやめよう」と言われた途端に文句を言ったり、「こんなこと(トランプゲーム)で気が紛れると思うのかね」といじけたり、自暴自棄になって「同じ死ぬならやるだけやって死んだほうがましだ」と他の人間に被害を与えるような行動に出たのが興味深かったです。
 今回は海底怪獣が相手ということで、ウルトラマンの戦いも海底から始まりましたが、本番は両者共に地上へ出てからでしたね。グビラは海獣イッカクのような鋭いドリルのような角を武器によく戦っていたと思います。ウルトラマンが繰り出した八つ裂き光輪が輪投げの輪のようにドリルに引っ掛かった時は笑ってしまいました。しかし久方ぶりのスペシウム光線が見事に決まったのが良かったと思います。

『ウルトラマン』(初代)第25話観ました。

 彗星に一喜一憂する人々の反応が楽しかったですね。
 彗星ツィフォンが地球に紙一重の差で接近するという騒動が起き、人々が一喜一憂する様子が楽しかったです。特に未だ衝突するかもという予想だった時のイデ隊員の反応が、科学に造詣が深く、しかし冷静でない人のそれで興味深かったです。
 イデ隊員は科学特捜隊の中でも科学者に一番近い立場の人間の一人です。ただの科学オタクでメカマニアというだけではなく、科学に関わる者であり、科特隊の一員として地球の平和を守る者としての責任を感じているんだと強く感じます。今回も怪獣が複数体現れ、それらを戦わせることで難を脱した時に「人間はずる賢い生き物だ」という言葉を漏らした時は、彼が地球に生息する怪獣を地球の生き物として捉えているのだなと感じました。しかし彗星が無事に逸れて過ぎ去って行き、地球に平和が訪れた時に、イデ隊員が穏やかに雪原を見渡しているのを見て、とても安心しました。イデ隊員は愛すべき科特隊の一員です。彼が平穏無事に暮らせる日が来ることを願ってやみません。
 また、わたしが科特隊の一員と考えているイワモト博士が再登場しました! 博士が他の科特隊の仲間達と活動しているとわくわくしますね。今回は彗星の軌道の計算のために本部へ来ていましたが、騒動で一喜一憂していた一人であるフジ隊員に、他の隊員と同じく塩入りコーヒーを飲まされて眉間に皺を寄せる反応を見せた時は「この人も科特隊の仲間だ」と強く感じました。イワモト博士は話の終盤に、次回の彗星再訪時の軌道をも計算していましたが、その時に見せた人類の平和希求精神と科学技術向上への信頼は、彼の情熱そのものだと思います。
 ウルトラマンの戦いも今回は技の新パターンが見れましたね。レッドキングとの再戦でしたが、今回は「スペシウム光線を撃って相手を爆発させてはいけない」という縛りがある中での戦いでした。ウルトラマンはアラシ隊員の心配をよそに、ウルトラ念力でレッドキングの身体を空中に固定し、2つの八つ裂き光輪を放つという複合技を見せました。いつ見ても怪獣の身体が分解する様は衝撃的ですが、今回のように怪獣の危険な部位だけを宇宙へ持って行って処理する必要がある時は便利ですね。
 次回も楽しみです。

『ウルトラマン』(初代)第26話観ました。

 今回は前後編構成ということもあってか、怪獣を取り逃がしたりするなど、珍しい展開が目立ちましたね。
 今回は怪獣が大好きな子供が取り上げられました。『ウルトラマン』を観ていて思うのですが、怪獣によって多大な被害が続発し、怪獣への対策を専門に扱う組織まであり、かつこの番組は怪獣を倒すヒーロー・ウルトラマンが主役であるはずなのに、子供達は意外と怪獣に対して悪い感情を持っていないのですよね。怪獣が発見されたとあれば、新聞記事を切り抜いて飾ったり、全身想像図を描いたり、ガヴァドンの回のように空想の怪獣すら創作してしまう。あの世界で「怪獣を愛する」というのは、「災害を愛する」ことではないかと思ってしまうのですが、そこらへんは、怪獣を倒すヒーローどころか、怪獣そのものも玩具として消費してしまう我々視聴者の側の感情に近づけているのでしょうか。
 それはあの世界の大人にも見られる事象だということが、今回示唆された気がします。怪獣が恐竜や動物と同様に研究され、いざ発見されたとあれば捕獲して、動物のように生態展示を行おうとする。今まで『ウルトラマン』各回で怪獣がいかに災害の原因となり、人間社会を破壊してきたか、さんざん表現されてきたはずなのに、科学特捜隊ですら「万博のためだ、仕方がない」と怪獣の輸送を承諾してしまいました。それはまるで、災害をも娯楽として消費しようとしているかのように思えました。
 ところで今回は次回とワンセット、前後編という構成でした。そのため古代怪獣ゴモラとの戦いは決着が着かずじまいとなってしまいました。
 古代怪獣ゴモラ、強かったですね。やってきたウルトラマンを繰り返し一方的に尻尾で殴り続け、踏みにじっていました。ウルトラマンはカラータイマーが鳴るまで追い詰められ、ゴモラが戦闘意欲をなくして地中へ潜ろうとするまで一歩も手が出ませんでした。ここまでやられたのは初めてではないでしょうか。
 戦闘の途中にベーターカプセルを落とし、子供に拾われたようでしたが大丈夫でしょうか。ゴモラとの決着はつくのでしょうか。次回が気になります。

 『ウルトラマン』(初代)第27話観ました。

 大阪城が破壊されるという凄まじい展開でしたね!
 前回に引き続き、今回は後編ということでした。
 この世界の大人は子供に優しすぎますね! ホシノ少年が登場した当初から思っていたことなのですが、この世界の大人は重要施設へ子供が侵入しても、挙げ句今まさに怪獣と科特隊や自衛隊が戦闘を行っている場所に入り込んだりしても、こっ酷く叱ったりはせずに注意する程度に留めることが多いですね。登場した警察官の言う通り、「子供は正直、って言うからな」というにしても、度が過ぎることもある気がします。ホシノ少年の場合は科学特捜隊との関わりを深めていき、隊員となったりもしています。子供向け番組ということもあるのでしょうが、時代を感じてしまいます。
 とは言え、今回は子供の活躍があってウルトラマンが勝利出来たということもあります。怪獣殿下をまさか目下戦闘中の大阪城に送り届けるという警察官の行動にもびっくりしましたが、それがなければゴモラを退治出来なかったでしょう。
 ゴモラにとっては今回の展開は理不尽だったと言わざるを得ません。眠りから起こされたと思ったら異国の地に送られ、そこで殺されてしまったのですから。イデ隊員の言う通り剥製になるのがせめてもの供養、なのかは分かりませんが、安らかに眠ってくれることを祈ります。

『ウルトラマン』(初代)第28話観ました。

 待ちに待った三面怪人ダダ回です!!
 今回は待ちに待った三面怪人ダダの回でした!!
 ダダのことは各所で少しずつネタバレをされていたので知っていただけなのですが、面白いだけではなく怖いところもありました。唸るような低い声で「ダ・ダァ…」と言いながら迫ってくるところや、研究所にやってきた女性と正体を知られるか標本にされるかの探り合いをしていた場面は怖かったです。女性とムラマツキャップがダダに追い詰められたところは、ついに標本にされるかも知れないと手に汗握りました。あの場面でなぜダダがミクロ化器を無くしていたのか、本当に不思議です。
 この回は面白かったので複数回観たのですが、ダダも同情すべきところがあり、本当に愛すべき宇宙人です。ノルマを達成するために必死だったり、上司にどやされたり、ウルトラマンがやってくるという緊急事態に対処しながらノルマに追われたり、現代の社会人に近いところがあると思います。ウルトラマンが既にやってきているのに、人間を捕らえないといけないって本当に無理があると思います。ただでさえ同時に2つのタスクに対応しなきゃいけない時って猫の手も借りたいくらいだと思うんですけど、ウルトラマン相手は無理があります。本当にお疲れ様です。
 またウルトラマンと並んでダダの強敵となったのはムラマツキャップです。ムラマツキャップは、イデ隊員と違って宇宙線研究所に乗り込んだ時はそこにダダがいるなんて知るはずもないのに、一見して研究所の職員でしかない人間に容赦なく光線銃を使っています。通常は怪獣相手に使っている兵器を人間に使えば間違いなく死ぬと思うのですが、それにも関わらず、です。やりすぎではないでしょうか。ですが今回はそんなムラマツキャップの強さがあってこそ、ダダを退けられたと思います。
 ところで冒頭の不思議な事故の調査はどうなったのでしょうか。あれは多分ダダと関係あるものでは無い気がするのですが。

『ウルトラマン』(初代)第29話観ました。

 身体が純金で出来ているはずのゴルドンでもウルトラマンにかかればフルスイングされるんですね!
 今回は地底がメインの舞台になりました。
 科学特捜隊のイデ隊員は武器や薬品の開発が得意だと思っていたのですが、まさか巨大なドリルの付いた地底戦車をも設計・発注してしまうとは、びっくりしました。『ウルトラマン』では科学の分野に詳しい人間として、イデ隊員とイワモト博士の二人が登場しますが、イワモト博士は大人の科学者代表として、正しい科学の在り方をふんわり考えさせてくれるきっかけを与えてくれます。一方でイデ隊員はレギュラーメンバーのひとり、子供に近い立ち位置の代表として、大人の発想に拘らない、子供の持つ自由な発想の、いわゆる夢の科学を見せてくれますね。空想科学ものとしての『ウルトラマン』を盛り上げてくれる、稀有な存在だと思います。
 他方、廃鉱になった金山が舞台ということで、金に執着する汚い大人が登場しました。出口が塞がれた鉱山で、明かりもなしに金の捜索を行う大人の姿は、ガマクジラの登場した回で表現された、宝石に執着する女性ともまた違いますが、それに近いものを彷彿とさせました。
 また、今回のウルトラマンの戦いも驚きの連続でした。「ゴルドンの身体は純金で出来ている」と聞いていたので、ウルトラマンがゴルドンに伸し掛かられた時は重くて苦しそうだと思ったのですが、その直後にウルトラマンが渾身のフルスイングを見せたので唖然としてしまいました。ウルトラマンにかかれば黄金怪獣も方なしですね! その後、救助のためとは言え地底へ潜るという珍しい様子が見れました。
 科特隊は次回、どこへ向かうのでしょうか。楽しみです。

『ウルトラマン』(初代)第30話観ました。

 怪獣と人間文明の対立を見た回でしたね。
 科特隊は次回はどこに向かうのだろうか、と前回の感想に書きましたが、白く輝く雪山でしたね! 科学特捜隊って冬の雪山でもあの制服なんですね。寒くないのでしょうか。
 今回は村八分にされる女の子・ゆきんこがヒロインでしたね。出自の謎と伝説怪獣・ウーを召喚出来る能力が原因で村の仲間に入れてもらえず、信用されず、いじめられる姿が印象的でした。ただ自分の身を守るためにウーを呼ぶだけでなく、意図せずウーが現れた時に村人を守るためにウーをなだめる様子は、怪獣と人間達の仲立ちをしているようでした。科学特捜隊の中ではイデ隊員が母親を早くに亡くした過去があることから同情的で、怪獣と人間の仲立ちをするゆきんこに理解を示してもいましたが、「怪獣は人間と対立する哀れな存在」とするアラシ隊員にたしなめられていましたね。
 ウルトラマンはスキー場に迫るウーと戦いを余儀なくされていましたが、ゆきんこの声にスペシウム光線を撃つ構えを解いていました。科学特捜隊は人間と対立するとあらば怪獣に容赦はしませんが、ウルトラマンはそれなりの事情がある場合はとどめはさしていない気がします。
 「怪獣と人間の対立」はこれからも繰り返し取り上げて欲しいテーマですね。いつかまた見れる機会があると嬉しいです。

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