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『ウルトラセブン』観ました。(第21話〜第30話まで)

凡例のようなもの

 以下の感想は視聴当時(2020年2月22日〜2020年4月5日)にふせったー(指定した箇所を伏せ字にしてツイート出来るツール。追加で長文も付けることが出来る)を使用してツイートしたものです。省略した句読点の追加や、語句の統一程度の推敲はしましたが、ほぼそのまま掲載しています。
 今回は第21話から第30話までの分を扱いました。
 全体的にネタバレや、感想を読む方が視聴していることを前提とした内容です。まだ未視聴の方は、その点をご留意ください。

『ウルトラセブン』第21話観ました。

 過去の戦争で沈没した軍艦が牙を剥くという、ある意味衝撃作でした。
 過去の戦争で沈没した船舶が、異星人のロボットとして復活するという内容でした。世界各国で同様の現象が起きていて、そこの近海で沈んだ船舶が利用されているらしく、日本では戦艦大和が復活し、港に向かって発砲するというとんでもないことが起きました。
 軍艦ロボット・アイアンロックスとして復活した大和は、甲板から上しか水面上に姿を現していませんでしたが、主砲副砲共に健在で攻撃力抜群でした。防御力も当然堅固なもので、ポインターのウルトラミサイルも全然効いていませんでしたね! また上空をウルトラホーク1号・3号が飛行したことで、両者との大きさの比較が出来ました。やっぱり戦艦大和は大きいですね。
 戦前のものとは言え、本来なら味方である自国の軍艦・大和が日本の領土に火を吹くのは、大和を知る一般市民にとっては衝撃だったことでしょう。『ウルトラセブン』は終戦から約20年後の作品なので、当時を知る方も多かったと思います。「戦艦大和」という日本の戦争の象徴とも言うべきものが登場した今回は、ある意味衝撃作ではないでしょうか。

『ウルトラセブン』第22話観ました。

 『人間牧場』というサブタイトルも衝撃的でしたが、映像が前衛的な挑戦に溢れていて面白かったです。
 サブタイトルが『人間牧場』で、異星人が人間を食料の苗床にするという、ある意味おどろおどろしい内容でびっくりでした。
 その内容を盛り上げたのが、極めて前衛的な映像だったと思います。緑やセピアがかった色合い、登場人物達の切羽詰まった心境を反映するかのように陰影が強調された場面、異星人の齎した奇病に侵されて蛍光色に変色したヒロイン達、敵円盤群を攻撃するために高速回転するウルトラホークのコックピット、円盤からのビームを碁盤の目状に逃がすウルトラセブンのバリアなど、試行を凝らしたシーンが数多くありました。またラストシーンも、隊員達から生死不明とされたモロボシ・ダンが、アクリル板に銀河を描くというアーティスティックな場面で締められています。
 ストーリー展開も興味深い『ウルトラセブン』ですが、今回のように映像的にも面白い回もあり、とても楽しいです。

『ウルトラセブン』第23話観ました。

 珍しく超能力や占いの話題が出ましたね。
 『ウルトラ』シリーズは空想科学がテーマであって、占いみたいなものは登場しないと思っていました。しかし超能力ということで、扱われることになったのでしょうか。
 今回登場した予言者はその高い超能力でもってシャドー星人の地球侵略を予知してしまい、命を狙われることになりました。最後に予知能力を失った際には「俺はもう狙われずに済むんだ!」と大喜びしていましたが、わたしはこれに高い能力を持つよりも普通にしていたほうが良いというメッセージを感じました。「能ある鷹は爪隠せ」というか、「出る杭は打たれる」みたいな雰囲気を感じました。ですが結局、これは予言者の高い能力を活かせず、見殺しにしかけてしまった宇宙警備隊の失敗だと思います。いかに非科学的で根拠が無いとは言え、命が狙われているのは隊員達の目撃もあり確かなことなんですから、保護せず帰してしまったのはいけないことでしょう。そんな中でただ一人、予言者の言う通りに「明日を捜」したキリヤマ隊長、そしてそんなキリヤマ隊長を信じたモロボシ・ダンはさすがだと思います。
 ところで話の序盤でダンの姿が見えなかったので、前回の続きで行方不明のままなのかと思いましたが、そういうわけではなかったようですね。

『ウルトラセブン』第24話観ました。

 息子が心配で上京してきたフルハシ隊員のお母さんが、授業参観に来た親か、親の職場に迷い込んだ子供のようでしたね。
 今回は息子が心配で上京してきたフルハシ隊員のお母さんの存在が印象的でした。親としては実家の家業(農家)を継いで欲しいけど、フルハシ隊員自身としてはせっかく上京して就けた職業・任務だし、きっと楽しいし、面白いので続けていたいのでしょう。
 わたしも就職して数年経ったので分かったのですが、就職時にはどういう職業に就くのか説明もしたし、それなりに喜ばれもしたのですが、親とはお互いに自分達の就いていた職種が違うので理解をしているとは言い難いんですよね。今回のフルハシ親子も農家と宇宙警備隊ということでだいぶ違う職業に就いており、しかもフルハシ隊員は任務の内容を漏らすわけにはいかないので家族に説明する機会も無いだろうし、親からの理解も少ないだろうと思われます。それで今回の話になるのでしょうが、こうして息子の職場を実際に見て、「宇宙警備隊って、大変な仕事なんだねえ」とそれなりに理解してもらえたのは、すごいことだと思います。家業を継ぐかどうかはともかく、親に仕事内容を褒めてもらえて、続けることを理解してもらうって、難しいことだと考えます。なので今回のフルハシ隊員は、ある意味羨ましいですね。
 ところで今回は久し振りにカプセル怪獣・ウインダムが登場しました。このところ、カプセル怪獣の存在そのものが希薄になりつつあったので、再登場がとても嬉しいです。ウインダムが敵の攻撃を受けてウルトラセブンに攻撃してしまった時も、ウルトラセブンが攻撃をかわしながら再度指示を出すまでの過程が微笑ましくて可愛かったです。またの登場を楽しみにしています。

『ウルトラセブン』第25話観ました。

 暖冬の年に観たのが少し惜しいと感じる内容でしたね。
 ポール星人によって地球に零下140度という驚異の第三次氷河期が訪れるという内容でした。これを観た今季の冬は、新潟県ですらろくに雪が積もらないという暖冬だったので、今回観たような冬の景色を思い起こすには不充分でした。また大雪の時に再度観たいと思いました。
 屋外の気温が零下140度になっても、通常時ならば快適に過ごせるウルトラ警備隊の基地は素晴らしいですね。それも地下に原子力発電施設があるお陰なのですね。「地下で原子炉が赤々と燃えているんだぜ」とソガ隊員が誇らしげに言っていますが、今では考えられない発言だなと思ってしまいました。ですが肝心の地下発電施設が怪獣に破壊されたことによって、基地は危機に陥ります。いくら発達した文明の利器を用いていても、利用出来なくなれば意味がありませんね。ですがそれを懸命に修理し、復旧させようと努力したことが、結果的にポール星人の侵略を阻止していました。
 ところで今回はウルトラセブンの意外な弱点が明らかになりました。M78星雲・光の国は常に快適な環境に保たれているのですね。セブンが寒さに弱いということは、個体差があるにしろ、他のウルトラマン達もそうなのでしょうか。『ウルトラマン』でも雪山で戦うシーンがありましたが、ウルトラマンは普通に戦えていたので、あの程度の「普通に寒い」くらいならば、今回のようにならずに済むということでしょうか。

『ウルトラセブン』第26話観ました。

 今回の話は、軍拡反対・原水爆反対のメッセージだったのではないかと思えてなりません。
 『ウルトラセブン』は様々な異星人達が次々と地球を侵略するためにウルトラ警備隊に挑戦してくる話で構成されていますね。今回は逆に地球人が防衛する側ではなく、侵略する側になりかねないような話でした。
 確かに登場する異星人達は、現代の人間からしてみてもオーバーテクノロジーと取れる技術や、それを用いた兵器で侵略してきます。それに対抗するためには、こちらも科学の髄を結集して超兵器を作り出すしかないかもしれません。でも、それはモロボシ・ダンの言う通り、「血を吐きながら続ける、悲しいマラソン」だと思います。
 結果、地球人の超兵器の実験によってギエロン星獣が生まれてしまいました。そんなギエロン星獣の誕生の経緯に、わたしは『ゴジラ』に似たものを感じました。
 現代でも今尚、同様の軍拡競争が続けられています。今回の話で滑車を回し続けるリスが印象的でしたが、あのリスのように延々と悲しいマラソンをし続けるしかないのでしょうか。R2号の計画のように終わりを告げる日は来るのでしょうか。

『ウルトラセブン』第27話観ました。

 婚前のカップルが引き裂かれかねない、所謂「リア充爆発」みたいな事件でしたね。
 結婚前のカップルの片割れを異星人が手先に改造して使うという、割とベーシックな作戦が描かれました。このような概要の作戦はこれまでにも何度か描かれた気がしますが、今回は「脳に装着を埋め込んでサイボーグ化する」というやり方が採られました。
 サイボーグ化されたのは通信の面でウルトラ警備隊を支えていたノガワ隊員でした。以前からモロボシ・ダンが「ウルトラセブンだから」という理由で狙われていますが、今回は「ウルトラ警備隊員だから」という理由で利用されています。ウルトラ警備隊は地球を守る要の組織ですが、ウルトラ警備隊員を守る人間は専ら自分のみなのでしょう。ウルトラ警備隊員に求められるのは、まず自分を守る素質ではないかと、とても強く感じました。
 またノガワ隊員はソガ隊員の友人とのことでしたが、思ったよりもソガ隊員の出番が少なかった気がします。もっとソガ隊員の活躍が観たいですね。
ところで『ウルトラセブン』の音楽による演出はとても素晴らしいですね! 『ウルトラ警備隊の歌』や『ウルトラセブンの歌』が流れるタイミングが、ちょうど盛り上がるところで流れるので、ワクワクしながら観れます。

『ウルトラセブン』第28話観ました。

 ダンの宇宙人としての地球での楽しみを垣間見た気がしました。
 火薬の運搬という任務そのものや、最中での出来事、そして登場した怪獣へのとどめという面で、爆発がキーワードとなる回でした。詳しく数えてはいませんが、今回だけでも5回は爆発シーンがあったのではないでしょうか。
 今回大きな役目を果たしたのはアマギ隊員でした。彼は以前にもパラシュート降下が高所恐怖症のために苦手とすることを明かしましたが、今回は「小学校時代に近所の火薬工場が爆発する事故があって以来、爆発物が苦手」という弱点が明らかになりました。このように任務に関する事柄に対して苦手意識が多いと、よくウルトラ警備隊を続けていられるなと感心してしまいますが、逆にそれらを克服することを目指して入隊したのかなと思います。キリヤマ隊長もそのことは心得ていて、アマギ隊員の苦手意識を克服させるために今回の任務を任せました。多少、荒療治の感はありますが、結果としてアマギ隊員の苦手意識も無事に克服されたようで良かったです。
 ところで今回の火薬運搬任務を発案したのはモロボシ・ダンでした。冒頭で彼がロードレースの映画を観て(大きな煎餅を食べていたのが絶妙に空気を読んでいない感じで面白かったですね)、「いいなあ」と子供のように話していたのが印象的でした。ダン=ウルトラセブンは今は「モロボシ・ダン」として地球を守るために滞在しているけど、そうしたことの外では楽しみを見つけているのが良かったですね。これからもダンが楽しそうにしている様子が見れたらいいなと思います。

『ウルトラセブン』第29話観ました。

 あのイチノミヤくんの考え方にはなんとなく同情してしまうところがあるなと思いました。
 世間一般の地球人の考え方には染まれず、また地球人を嫌ったりもしたのに、いざ異星人に地球が侵略の危機に晒されていると分かった時には自分からそれに立ち向かっていく。そんなイチノミヤくんの考え方には同情してしまうところがあると思いました。
 以前、『ウルトラマン』でメフィラス星人が登場した時、感想で「わたしが少年の立場なら「地球をあげます」と答えてしまうかもしれない」と書いた覚えがあります。今回の話はそのメフィラス星人の話に似ている部分があると思うのですが、『ウルトラマン』の時は年端も行かない少年が異星人の相手だったのに対し、今回『ウルトラセブン』の時はスレた大学生が異星人の相手をしました。大学生であるイチノミヤくんは実際に異星人(=教授)の世話になり、自分の研究を成功させたりもしています。そこまで異星人の並外れた実力を目にし、それによって成果を得ておきながら、イチノミヤくんは地球侵略への協力を求められた瞬間に拒否したんですよね。結果的にはウルトラセブンの今回の勝因を作っています。イチノミヤくんは異星人の侵略に立ち向かい、その身一つで勝ち得た「ひとりぼっちの地球人」となったのだと思います。

『ウルトラセブン』第30話観ました。

 新人の立場ながら手柄を逸るアオキ隊員のやったことは自戒にしていきたいですね。
 今回は新人の立場ながら未来のウルトラ警備隊員候補と目されるアオキ隊員が登場しました。アオキ隊員は銃撃の腕も抜群だし、戦闘機操縦も素晴らしいですね。でも新人という立場故に現役のウルトラ警備隊員達に目下の者として見られ、試されることも多く、それが腹立たしく思う要因になっていたのだと思います。
 個人的に、わたしも会社に入ったばかりの新人の頃は、何がどのくらいできるか試され、「このくらい知っている」「このくらい皆出来るだろう」と思うことを教えられたりして、なんとなくモヤモヤを溜めていたりしたので、アオキ隊員の立場は多少理解できるつもりです。
で すがアオキ隊員は「栄光が欲しい」と手柄を逸るあまり、報連相をおざなりにしたり、マグマライザーに発信機を取り付けたり、上司であるモロボシ・ダンの許可を得ないままポインターを発進・攻撃を行ったりと、独断専行を多く行いました。機器の操作は出来るみたいですが、あくまでウルトラ警備隊の任務での勝手な行動は、地球の防衛に関わることで慎重になるべきだと思うんですよね。結果的に、ダンの言う通り何人もの人々が異星人の侵略の犠牲になりました。
 結局、アオキ隊員は自分の独断専行がもとで大怪我をし、そのまま亡くなってしまいますが、やっぱりダンの言う通り、生きて償いをして欲しかったし、ダンへの償いだけで済ませないで欲しかったですね。
 とは言え、アオキ隊員のやったことには同情出来ませんが理解は出来るので、自分のこれからの自戒にしていきたいですね。

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