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『ウルトラマン』(初代)観ました。(第31話〜第39話まで)

 凡例のようなもの

 以下の感想は視聴当時(2019年12月2日〜2020年2月21日)にふせったー(指定した箇所を伏せ字にしてツイート出来るツール。追加で長文も付けることが出来る)を使用してツイートしたものです。省略した句読点の追加や、語句の統一程度の推敲はしましたが、ほぼそのまま掲載しています。
 今回は第31話から第39話までの分を扱いました。
 全体的にネタバレや、感想を読む方が視聴していることを前提とした内容です。まだ未視聴の方は、その点をご留意ください。

 『ウルトラマン』(初代)第31話観ました。

 「血を吸って身を肥やすのは、最早文明ではないのですから」、刻んでおきたい言葉ですね。
 人間よりも高度な文明を持った植物・ケロニアが、人間の文明を乗っ取ろうとする話でしたね。前回は怪獣と文明の対立が描かれましたが、今回は逆に文明を持った怪獣が登場し、大変興味深いです。結局、植物が何故文明を持つに至ったのかは謎とされ、明かされることはありませんでしたが、ケロニアが人間の血を吸うことを特徴とする植物ということで、博士は「血を吸って身を肥やすのは、最早文明ではないのですから」という言葉が出ました。これは人間同士の場合でも言えるのではないかとわたしは感じます。人間は時に、血で血を洗う争いをも躊躇わない生き物です。文明を持つ者、文明に生きる者、恩恵に預かる者として、心に刻んでおきたい言葉だと思いました。
 今回は高度な文明を持つものが戦いの相手ということで、ウルトラマンや科学特捜隊も大変手こずった様子でした。空飛ぶ円盤が登場した時は「一体どこでそんなものを生産出来たのか」と唖然としました。しかし燃えやすい植物を起源とするということで、発火対策が万全だったのは感心しました。ウルトラマンの放つスペシウム光線すら効かず、カラータイマーも鳴る状況で一体どうするのかと不安になりました。しかしそこはウルトラマンということで、またまた新技が炸裂、文字通り木っ端微塵に爆散させてしまいましたね。
 次回は一体どのような相手になるのでしょうか? 楽しみですね。

『ウルトラマン』(初代)第32話観ました。

 パティが日本の名物について「地震、怪獣、ウルトラマン」と挙げていましたが、確かにそうかもしれませんね。
 今回登場した灼熱怪獣ザンボラーは、自分の周囲の任意の地点に発火・火災を引き起こすことが出来るという難敵でした。自分の周囲を焼き払うことで人間を寄せ付けませんし、まず火災に対処しなければならないという、人間の文明にとっても厄介な点を複数持っています。
 また、今回のタイトルは『果てしなき逆襲』でしたが、それは大いなる大自然からの人間への逆襲という意味じゃないかとわたしは考えました。ムラマツキャップは「東京は自然を焼き払うことで、世界の大都市になった」と言っていますが、自然は逆に東京ひいては都市を焼き払うことで、自然を取り戻そうとしたのかも知れません。
 パティは話の最後に、日本の名物として「地震、怪獣、ウルトラマン」を挙げました。怪獣やウルトラマンは確かに、日本の文化・コンテンツとして、今や世界に名を馳せています。一方で、地震もまた日本で生活する上で避けては通れないものの一つとなっています。『ウルトラマン』はもう半世紀以上続くシリーズですが、最初の作品で既に地震について取り上げられているのを見ると、それとも永い付き合いなのだなと思いました。

『ウルトラマン』(初代)第33話観ました。

 人間に直接交渉して地球侵略を狙うメフィラス星人、今まで出てきた中ではいちばん恐ろしい星人かもしれません。
 今回登場したメフィラス星人は、自分自身では直接攻撃を行わず、捕らえた者を操ることで街の破壊を行う珍しい怪獣(?)でした。ウルトラマンとの戦いでは自分でも光線技を出し、ウルトラマンのスペシウム光線を相殺出来たのに、それにも関わらず、です。しかしメフィラス星人の恐ろしいところは、隠れた実力の高さではなく、人間に直接交渉し、地球侵略を狙う知能の高さだと思います。しかも今回は、フジ隊員の弟という、いち一般人の子供に交渉を仕掛けました。交渉も、「宇宙には他にも素晴らしい星がたくさんある。大きな星の支配者にすらなることも出来る。たった一言、『地球をあなたにあげます』と言うだけだ」という簡単な内容でした。
 今回は交渉相手の少年が断固拒否したため、メフィラス星人の侵略は失敗に終わりましたが、肝心の侵略者本人は倒されたわけではなく、諦めて姿を消しただけなため、再度の登場もあり得るという状況です。わたしは、これが現実に静かに行われていたら、本当に恐ろしいだろうなと思いました。正直、現代の閉塞感が漂うこの状況下で、同じ内容の交渉が行われてしまったら、わたしだったら多分首を縦に振ってしまうことも有り得そうだと思ってしまったのです。ウルトラマンは少年について、「地球を良くしようと思いこそすれ、売り渡そうなどとは言わないだろう」と言っていました。わたしは現代こそ、現状を変えようという空気感が必要じゃないかと思ってしまいました。
 それにしても、メフィラス星人とハヤタ隊員=ウルトラマンの会話は興味深いものでした。メフィラス星人はハヤタ隊員に「きみは宇宙人と人間、どっちなんだ」と問いかけ、ハヤタ隊員は「両方さ」と答えています。わたしは今のハヤタ隊員の意識はウルトラマンのものなのか、ハヤタ隊員本人のものなのか気になっているのですが、今回の応答で、もしかしたら本当に、文字通り、ハヤタ隊員とウルトラマンは一体化してしまっているのではないかという仮説を立てました。これに答えが出るのか、出ているのか、分かりませんが、更に掘り下げる描写があるのを楽しみにしています。
 今回の特撮シーンは巨大なフジ隊員が街を破壊するという、珍しい展開でしたね。まさか巨大になったとは言え、生身の人間が街を破壊するというのはなかなかないので、すごく楽しかったです。
 またこんな楽しい展開があるのを楽しみにしています。

『ウルトラマン』(初代)第34話観ました。

 稀に見る大爆笑回でしたね!
 『空の贈り物』と題して、空から降ってくる様々なものが取り上げられました。雪や雨など天候に由来するもの、科学特捜隊のビートルが空から送り届ける傘、更にはビルの屋上から落ちてくる自殺者など、色々なものが取り上げられましたが、今回登場した怪獣スカイドンはとんでもないものでしたね。スカイドンが歩くたびに地面に脚がめり込む描写は、怪獣のとてつもない重さを印象づけるのに十分でした。またウルトラマンが立ち向かってもびくともせず、振り回すことも出来なければ裏返すことすら出来ない、のしかかられるだけでカラータイマーが点滅するというのは前代未聞ではないでしょうか。
 この類を見ない怪獣に対処するために様々な作戦が練られましたが、この作戦名を紹介するのに紙に印字された明朝体が使われたのが、後の『新世紀エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』で使われた演出を彷彿とさせました。またワイヤーロック作戦での「上昇開始」の合図や、新型麻酔弾を科特隊全員で発射する時のカメラアングルやレイアウトが特徴的で面白かったです。また、睡眠中や作戦成功を祝う会、昼食の途中などに異変が起き、良い大人なのに皆が狼狽える様子は楽しかったです。あの有名なカレースプーンのシーンが観れました。
 残り少ない話数ですが、最後に向かっていく中でこれからも楽しい回が続くと良いなと思ってます。

『ウルトラマン』(初代)第35話観ました。

 シーボーズ、今まででいちばん可愛そうな怪獣かもしれません。
 今回は怪獣という存在の哀しさが強調された回だったと思います。怪獣は宇宙のどこにいても除け者にされ、いじめられ、排除される存在で、正義の味方であるウルトラマンですらそれは覆せないんですよね。むしろウルトラマンは正義の味方であるからこそ、邪悪とされる怪獣の存在は見逃すことが出来ず、排除するしかない。怪獣は弱者かもしれなくても、怪獣は邪悪な存在なので、ウルトラマンは排除するしかないんですよね。そう思うと、怪獣はどこまでも救えない、救われない、哀しい存在だと思います。
 亡霊怪獣シーボーズはまさしくその怪獣の哀しさが強調された存在だと思います。ロケットにぶつかってしまうという不運のために、怪獣墓場に漂っていた時間を邪魔され、ひたすら攻撃を受けるしかない地上へ送られてしまうのですから。ウルトラマンとの戦いのシーンは、ただ地上にいるだけで邪魔者にされるシーボーズが、事情を知っているはずのウルトラマンから攻撃を受けるのが見ていて辛く、早く宇宙へ送り返されて欲しいとずっと思っていました。
 2度目のウルトラマンとの戦いは、シーボーズが不貞腐れた子供、ウルトラマンがそんな子供に言う事を聞かせようとする親のように見えて仕方なかったです。ウルトラマンがチョップの素振りを見せた時のシーボーズの頭を抑える様子は、見ていて可愛そうでした。こんなに暴力を振られて可愛そうに思える怪獣も、そうそういないのではないでしょうか。それだけにロケットが無事に発射され、シーボーズが宇宙に届けられたのはホッとしてしまいました。
 これからもウルトラマンと科特隊は怪獣と戦い続けるのでしょうが、どうにか和解出来る道はないのでしょうか。そんなことを考えさせられる回でした。

『ウルトラマン』(初代)第36話観ました。

 アラシ隊員と命令遵守の葛藤が描かれましたね。
 アラシ隊員の決死の行動と、今回たまたまそれに反することになってしまった命令遵守の誓いの葛藤が描かれましたね。アラシ隊員は今まで科学特捜隊の切り込み隊長として描かれ、危険に真っ先に飛び込んでいく勇敢さと、正確無比な射撃の実力で、科特隊の危機を救ってきただけに、今回初めてアラシ隊員の攻撃行動によって危機に陥る展開になったのは、『ウルトラマン』の見どころのひとつではないでしょうか。
 今回登場したザラガスは攻撃を受けるたびにそれに対する防御力を身につけるという、相手にしたら厄介なたまによくあるタイプの怪獣でした。そんな性質から最初の爆撃で形態変化し、更に凶暴さを増していってしまいます。一方で科特隊のほうではイデ隊員が「受けたら一発で死ぬ」という恐ろしい効果のある新兵器を開発し、アラシ隊員が命令違反してまでそれで攻撃を試みていますが、それすらも受け付けませんでした。更には負傷を押し切ってのハヤタ隊員の変身によって登場したウルトラマンをも追い詰めています。
 アラシ隊員はハヤタ隊員や子供達の危機を、命令違反をすることによって救いました。ウルトラマンもアラシ隊員のビートルからの攻撃がなければ視力低下で追い詰められて敗北していたかもしれません。一度は隊員の資格を剥奪したムラマツキャップも、それを評価してアラシ隊員の資格を回復したのだと思います。今回はアラシ隊員の勇敢さの勝利と言えるでしょう。
 しかし今回はたまたまアラシ隊員が命令を守らなかったことによってハヤタ隊員達の命が救われ、アラシ隊員の勝手な行動によってウルトラマンは危機から脱せられましたが、本来はやってはいけないことだということをしっかり心に留めておかなければならないと思います。科学特捜隊の誓いに命令を守るようにとの文言があるのは、危険な任務から少しでも多くの隊員や一般人の生命を守るためだと思いますし、ムラマツキャップがアラシ隊員の科特隊の隊員資格を停止したのは、そんな目的のある誓いを守らず、ひいては自分や他の科特隊員、一般人の命を危険に晒したということで、当然のことだと思います。
 『ウルトラマン』は子供向け番組ではありますが、大人が観ても考えさせられるエピソードがあるのは素晴らしい点の一つだと思います。これからも楽しみです。

 『ウルトラマン』(初代)第37話観ました。

 残り3話にして、初めて「科学特捜隊不要説」が唱えられてしまった回でした。
 残り3話にして、初めて恐るべき事態が起きました。イデ隊員によって「いつも怪獣を倒すのはウルトラマンだ」「ウルトラマンさえいれば、我々科学特捜隊は要らないんじゃないか?」と言う「科学特捜隊不要説」が唱えられてしまったのです。しかも、ハヤタ隊員=ウルトラマンの前で!
 イデ隊員は科特隊のムードメーカーである代わりに、思慮深く、ジャミラ回でも科学のありようについて考えたりと、察しがいいところがありました。それがこの『ウルトラマン』終盤の話数で負の方向に最大限に発揮されてしまったと考えます。
 ハヤタ隊員はそんなイデ隊員に対して、「科学特捜隊の活躍がなければ、ウルトラマンは負けていたかもしれない」と、対アントラー戦や対ケムラー戦などの具体例を挙げて科特隊の必要性について説きました。この時のハヤタ隊員は、どことなくウルトラマンから科特隊への感謝を口にしていたようにも見えました。しかしイデ隊員はそれにも関わらず、復活した怪獣との戦いではウルトラマンがやって来ることを願うばかりで、ついにはピグモンが犠牲になってしまいます。この時、いつも冷静なハヤタ隊員がイデ隊員に活を入れるために殴り飛ばしたのは少しびっくりしました。けれど、それによってイデ隊員が無事に復活していたのは本当に良かったです。ジェロニモンとの戦いも、ウルトラマンとイデ隊員、信頼関係のあるふたりの連携がなければ勝つことは難しかったでしょう。
 もう少しで『ウルトラマン』が終わってしまうことはもう分かっているのですが、心から、これからもずっと、この信頼関係のあるウルトラマンと科特隊で、地球を守っていって欲しいです。

『ウルトラマン』(初代)第38話観ました。

 岩石だらけの金星を探検する、ハラハラドキドキの大冒険回でしたね!
 もう街を出て探検をするのは無いと思っていましたが、久しぶりに、しかも地球を遠く離れて金星という舞台を得てハラハラドキドキの大冒険が待っているとは思いませんでした。
 今回の強敵は目潰しの閃光を発する怪獣キーラだったと思います。この怪獣は序盤で存在が脅威とともに示唆されました。この閃光によって宇宙局員、宇宙ステーション滞在メンバーの目を潰してしまったと同時に、今回のピンチの要因を作ってしまいました。また、アラシ隊員など、主要メンバーにも攻撃が加えられることによってタイムリミットのある任務が阻害されてしまい、それがこちらにハラハラドキドキ感を与えてくれました。
 ウルトラマンとの戦いもまた、ハラハラ感がありました。ウルトラマンも閃光にやられてしまい、攻撃を撃つか撃たれるかのやりとりを迫られた時は、手に汗を握りました。八つ裂き光輪やスペシウム光線が効かなかった時はどうなるかと思いました。
 なにはともあれ、今回も無事に任務が達成されて良かったです。次回は最終回ですが、それを迎えたくない思いがあります。これからもこの宇宙をウルトラマンと科特隊で守って欲しいです。

『ウルトラマン』(初代)最終話観ました。

 科学特捜隊単独でのゼットン撃破は、『ウルトラマン』というウルトラマンが活躍する番組で口惜しい展開ではありますが、ウルトラマンが安心して地球を去るに相応しいものだったと思います。
 今回は地球を守る科学特捜隊に対して、地球侵略を企むゼットン星人との戦いという、最終回に相応しい規模のものでした。最初のゼットン星人の円盤と航空自衛隊の戦闘機との空中戦は、どこかで観た映画『宇宙大戦争』の戦闘シーンを思い起こさせました。
 また、最終回に科学特捜隊のメンバーとしてイワモト博士が登場したのは、とても嬉しかったです。しかもキーマンとして、宇宙人に襲われて擬態されてしまったり、あるいは科学センターの試作化学兵器をアラシ隊員に手渡すなど、大活躍でした。科特隊の武器開発担当はイデ隊員の立場ではありますが、イワモト博士の科特隊の準レギュラーとしての立ち位置や、彼の地球を思う、冷静な科学者である以上、やはりこういった場面での活躍は欲しいところでした。
 以前、先手必勝を主張して命令を無視してしまったアラシ隊員が、今回はムラマツキャップの言うことを大人しく聞くという成長を見せていたのも良かったです。今回はイワモト博士の持参した一発しかない新兵器をゼットンに撃ち込むという大役も果たし、見事「科学特捜隊単独での怪獣撃破」を達成しました。アラシ隊員の銃撃の腕が無ければ、これは果たせなかったと思います。
 何より、ウルトラマンがハヤタ隊員のことをどう思っているのかが分かったのが良かったです。ハヤタ隊員のことを高く評価していたこと、地球のことを好きになってくれたのは嬉しかったです。ハヤタ隊員と地球のために、「私はもう2万年も生きた」「ハヤタに私の命をあげたい」と自分の命を擲ってくれたのは本当に好きです。命を(!)2つも(!!)持って来てくれたゾフィーには感謝しかないです。
 こんなに地球を愛してくれたウルトラマンとお別れなのは口惜しい限りですが、またどこかで出会えることを願っています。ありがとう、ウルトラマン!!

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