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バファローズにおける外国人選手の運用と展望

現在パ・リーグ首位争いを演じる(2023/7/2現在)オリックス・バファローズだが、「全員で勝つ!」というスローガン(※正式なスローガンは「We can do it!!!」)のもと、近年活躍が難しいと言われている外国人選手たちの運用と展望について見ていきたいと思う。

■内外野守れるスーパーユーティリティー・ゴンザレス

まず、今季の外国人選手で真っ先に名前が挙がると思われるのがマーゴことマーウィン・ゴンザレス。昨年はMLBで内外野全ポジションを守っていたスーパーユーティリティ。
実際の守備を見てみても、難しい体勢でも捕球、送球が正確で美しい。
特に4月11日の楽天戦(楽天生命パーク)で見せた遊撃手での守備は軽快そして華麗そのもの。
二塁手としての出場が中心だが、特に日替わり打線となるオリックスでは、日々刻々と変わるチーム状況に合わせた起用が求められ、その日によって必要なポジションが変わってくる。そこでゴンザレスのようなユーティリティプレーヤーの存在が際立つ
今年は特に宗、紅林といったほぼレギュラー固定の選手が不振や故障でスタメンを外れる試合もあり、文字通り「どこでも守れる」ゴンザレスの守備力は非常に助かっている。また、長打力があり、勝負強い打撃でもチームを救い、間違いなく攻守にわたり、大きな新戦力である。

■将来性豊かな未完の大器(セデーニョ、ニックス)

WBCで日本代表が世界一になり、大谷らメジャーリーガーの活躍も大きかったが、NPBで活躍する選手たちの活躍も光った。日本の野球自体が近年大きくレベルアップし(特に投手)、外国人選手も以前ほど即戦力としての適応・活躍は難しくなってきた。
そこで若い選手を獲得し、ファームも含め経験を積み、長い目で育てる必要もあるのではないか・・・ということで、野手ではセデーニョ、投手ではニックス、ここではこの二人に注目したい。

セデーニョは山本由伸や山崎颯一郎らと同じ「小木田世代」。昨季は主に2Aでプレーし、今季オリックスに育成選手として入団。ウエスタン・リーグで24試合に出場して打率.378、1本塁打、14打点の成績を残し、5月19日に支配下契約を勝ちとると、即一軍デビュー、5月21日の日本ハム戦(京セラドーム)ではヒーローとなる活躍をし、一躍注目を集めた。大きな体格から圧倒的なパワーを持ち、長打力が注目されるが二軍では高打率も残し、確実性のある打撃も披露。大きな期待感を持たせてくれる。一軍の投手にまだまだ慣れていく必要があるが、そこは経験値を重ねて対応していきたい。今後の活躍が非常に楽しみである。

また、ニックスはもともとMLBで若手有望株とされていた投手だが、トミー・ジョン手術や肩の故障で2019年を最後に登板なし。
パドレスで指導を受けた中垣コーチのご縁でオリックスへの入団が決まった。3年間のブランクがあること、また、2019年に犬用ドアから民家に侵入し、逮捕・起訴されたという大変異色な経歴(!)を持つものの、キャンプでの投球を見た中嶋監督が「本来はここに来るレベルの投手ではない」というコメントを残すほどの素質を持った投手ではあるので、じっくり勘を取り戻しつつ、これからその片鱗をぜひ見せつけてほしいと思う。

■先発→リリーフに転向して花開いたワゲスパック

ナカジマジックによる配置転換にて見事に花開いた選手もいる。
それが来日当初は先発として起用されていたが、シーズン後半に勝ちパターンに定着、日本一の胴上げ投手となったワゲスパックだ。
昨年はビドル、バルガスがともに中継ぎメインの投手だったため、このワゲスパックが先発として期待されたが、長身から投げ下ろす直球は威力十分、抑えに向いているのでは、ということでシーズン途中から中継ぎに転向し、そこからの活躍は皆さんご存じの通りである。
今季もリリーフで(ときには抑えで)ブルペンを支える。

■ポイントゲッターとして期待されるシュウィンデル

三振も四球も少ない打者で、コンタクト力の高さが持ち味。また、右投手もそれほど苦にしないのも良い。腰痛の影響もあり、試合出場は少ないもののここまでヒーローインタビューには2回立っており、デビュー戦は3安打の猛打賞で体調さえ良ければ固め打ちも可能なので、3連覇への勝負となる後半戦で大爆発してほしい。もちろんセデーニョにも期待したいが、まだ若く適応まで時間がかかる可能性もあるため、間違いなく彼の存在は今後必要になるはずである。

■ふわふわ魔球の持ち主、コットン

彼の持ち味は日本では見られない軌道を持つチェンジアップ。
ふわっと横に揺れて浮き上がり、縦に落ちる球。
4月25日の日本ハム戦(エスコン)では4回で9つの三振を奪い、ファンの度肝を抜いた。
その後二軍調整もあり、登場機会も限定されているが、「バックスバニーのように止まって、また動き出す」と称されるこのチェンジアップが決まると「ここぞ」の場面での起用も可能で、その効果も最大限となるはず。ローテーションの谷間やロングリリーフなど、あっと驚く場面であっと驚く活躍を期待したい。

■一瞬だけでも強い閃光を放った選手たち

成績だけを見たら「失敗だったのでは・・・」と思えるかもしれないが、実は特徴的な持ち味があり、一時期だけでもチームに貢献、2連覇を支えた選手たちもたくさんいた。ここにも今後のヒントが隠されているはず。

昨年もゴンザレス獲得のもととなる、ユーティリティー内野手の先駆けとなったバレラ、先発中継ぎどちらでもOKのバルガス、低打率でも選球眼がよく、出塁率は高かったラベロ、シーズン序盤、間違いなくブルペンを支えてくれたビドル…。個性的な持ち味のある選手たちが在籍していた印象が強い。また、その前の年もコロナ禍による開幕延期や攻守に衰えが見え、スタメン起用が難しくなってきたAJことジョーンズを代打の切り札として起用し、日本シリーズ第5戦での決勝ホームランを含め大きくチームに貢献した例もある。

日々刻々と変わるチーム事情もあり、現在ゴンザレス、ワゲスパック以外は一軍で常時出場、活躍できているとは言えない状況ではあるが、シーズンはまだまだ続く。ここぞのところで彼らの活躍がチームの大きな武器となり、「全員で勝つ」「全員へ頂点へ」を掲げるチームに大きな刺激と彩りを与えてくれるはずである。3連覇に向けてますます彼らの力が必要になる側面は増えてくると思う。6人の活躍に、乞うご期待!!!

■最後に

個人的な話になるが、実は昨年在籍していた外国人選手の中に、大好きで推していた選手がいた。2021年の夏に入団したランヘル・ラベロ選手。
1年目、来日直後に骨折して離脱したものの、必死のリハビリでリーグ優勝、そしてポストシーズンの舞台に立てたこと、スタメンを外れた日も、笑顔でチームメイトをベンチで迎えていた姿は忘れられない。選球眼は今まで見た外国人選手の中でもピカイチだったと思う。

本当はもっと一緒に戦いたかった、もっと京セラドームで活躍を見たかった。叶わぬ思いと、そして、出会った頃に抱いた希望を胸に、私は今日も背番号42のユニホームを身にまとい、京セラドームへ向かう。彼のことを決して忘れないために、そして「バファローズの外国人選手」というバトンを受け継いだ今の6人、そしてこれから受け継ぐであろう選手たちに願いをを託すために。2年間ありがとね、ノリー()。絶対、忘れないよ。

2022年のわたしへ。

たとえ数字に残らなかったとしても。「ダメ外国人」と呼ばれることがあったとしても。京セラドームのお立ち台に立つことがかなわなかったとしても。

あなたにとってヒーローなら、その選手は間違いなくヒーローなんです!!!どうか、その選手のことを、忘れないでいてくださいね。
この先、いつか笑える日が来ますように。

2023年のわたしより。


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