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【私的Disc Review-013】Sly Dunbar – Rasta Fiesta

ジャマイカでいや世界で一番GroovyでToughでRoughなリズムコンビSly & RobbieのRobbie Shakespeareが亡くなった。
自分にとっては今年1番のショッキングな話題だ。
以前から糖尿病なのに暴飲暴食だと言う噂を聞いていたがもし本当ならこれはこれで長生きだったのかもしれない。

20年ほど前に一度彼らを日本に呼びたくて奔走した事があった。
彼らのマネージメント窓口のTAXI Productionとやりとりしていく中でギャラをペイするためには日本国内で数本のレコーディングのブッキングと国内ツアーのブッキングをせねばならなかった。
国内のいろんなアーティストにレコーディングの打診をしてみたが皆物凄くやりたいけど高額なギャラに尻込みをしてしまっていた。ヨーロッパではLiveも評価されていて、何より70年代から色々なアーティストとセッションを繰り返しているWorld Wideなアーティストであるのでギャラに関しては納得していた。
まあとにかくそれだけの金額が必要な理由というのがあるわけだ。これまでの実績に裏付けられたエンターテイメントとして質の高いパフォーマンスとプロダクション。それゆえ当時、日本国内だけでギャラをペイして彼らにパフォーマンスを披露してもらうことはかなりオーバースペックだったということなのだろうか?
80年代の日本の音楽業界は潤沢にお金があっただろうし何しろ「レゲエ」という新しく出てきた音楽に日本のミュージッシャンも注目していて、上田正樹や久保田真琴などが当時セッションできたのだろう。

今回選んだこの曲はSly Dunbar の1979年のアルバム”Sly, Wicked And Slick”からシングルカットされた曲。SlyのアルバムだがBassはもちろんRobbieである。このアルバム自体ジャマイカで録音されUKのVirgin傘下Front Lineレーベルからリリースされた。世界に向けて意識された音で好きなアルバムでもあるが特にこの曲はSly&Robbieの一番おいしいところが感じられるというか、ジャマイカ国内のレゲエ仕事もそれはそれで良いのだがSly&RobbieはBill LaswellのMaterialプロジェクトに代表されるようなミクスチャーな場所に放り込まれた時の二人の息のあったリズムがたまらなく好きだ。どこに行ってもジャマイカの土埃っぽい煙たいサウンドがUSやUKのアーティストのピュアな音色をいい意味で汚してくれ、何か心の中にグッと大切で重い荷物を置いて行ってくれるようなそんな気がしてならない。特にRobbieのベースは重要な核となっていると思う。
もう聴けないのかと思うと残念だがこの先Robbieを凌駕するようなレゲエベーシストが現れてくれることを願う。


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