おとぎ話と塔

丘の上、灰色の空を背景にして石造りの塔が建っている。
身長より大きな扉の前に立って頂上を見上げてみる。積まれた石が空にまで届くようだ。重い扉を開け、塔の中に入る。
塔の中心は吹き抜けになっていて頂上から光が差しこんでいる。吹き抜けを取り囲む螺旋状の回廊があり、外壁側に部屋が並んでいる。
歩きながら、部屋の扉にある窓から中を覗いていく。
ある部屋には蛙の王様がいる。ある部屋には七匹の子山羊をのみこんだ狼が、ある部屋にはお菓子の家を作った魔女、ある部屋には灰かぶり姫、もちろん上のほうの階には髪の長い女の子もいる。
最上階の部屋には、ベッドに入っておとぎ話を聞かせてくれるのを待っている幼いころの自分自身がいる。

ろきせの今日のお題は「おとぎ話」「塔」
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