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【NYY】2022年ヤンキース戦力構想:野手編

長くも険しい冬を乗り越えたMLB,MLBPA,そして我々ファンコミニュティーにとって4月7日の開幕戦を迎えられたことは喜ばしいことですよね。今年,栄冠に輝くチームはどこになるのでしょうか。

今回は2009年以来,28度目となる優勝を狙うニューヨーク・ヤンキースの戦力分析を行っていきます。なお投手編はNYYメイン担当のKzillaさんが行い,野手編は当方にてまとめさせていただきます。
<KzillaさんのNYY戦力分析~投手編~>


①オフシーズンを振り返る

(1)強力打線は何処へ…

例年は強打が売りの打線も,昨年は不振が続きましたよね。222HR(MLB7位)は立派でしたが711得点(同19位)1266安打(同23位)1482三振(同25位)BA.237(同24位)などの成績からも分かる通り,タイトルコンテンダーを名乗るにはあまりにも力不足なシーズンを過ごしました。それ故に,守備力不足を露呈したTorresの後釜遊撃手の確保,怪我がちのVoitに代わる一塁手の獲得などに注目があつまりました。

★オフの野手補強ターゲット
一塁手・・・Freeman(FA),Olson(OAK),Rizzo(FA)など
遊撃手・・・Correa(FA),Seager(FA),Story(FA),Chapman(OAK),Kiner-Falefa(TEX), Galvis(FA)など
中堅手・・・Marte(OAK),Gardner(FA)など

(2)オフの補強をおさらい

シーズン終了後にマイナーFAとなる予定であった3A捕手のSandsが40人ロスター入り。そのSandsが程なくして中継ぎ右腕のNelsonとともにPHIへ放出されたことでロスターに空きを作ることを選択しました。
更にOdor(2B),Frazier(LF),Wade(UT)の3選手をDFAすることで5つのロスタースポットを生成。特にWadeは内外野守れて代走もこなせるUTであっただけに衝撃を与えました。

★ロスターセット
放出
Donny Sands ⇒ PHIへトレード
Nick Nelson ⇒ PHIへトレード
Rougned Odor ⇒ DFA
Tyler Wade ⇒ DFA
Clint Frazier ⇒ DFA

そのスポットに,ルール5ドラフト対策として昨季マイナーで大ブレイクを果たしたOswaldo Cabrera(IF),Everson Pereira(OF)の野手2名を加えました。(+投手3名)

★ルール5プロテクト
Oswaldo Cabrera(SS/2B/3B)
Everson Pereira(OF)
Stephen Ridings(RHP)
Ron Marinaccio(RHP)
JP Sears(LHP)

その後間もなくしてロックアウトを迎えるわけですが,野手補強に関して主だった動きは見られず。Jose Perazaなどのマイナー契約だけがアナウンスされる毎日。しかし3月10日にロックアウトが解除されると市場が再騰を見せ始め,その熱波はNYYにおいても例外ではありませんでした。3月14日,MINとの間に5選手が絡むビッグディールが成立し,球界に激震が走ったことは言うまでもありませn。

★ミネソタ・ツインズとのトレード
○獲得
Isiah Kinah-Falefa(SS/3B/2B/C)
Josh Donaldson(3B)
Ben Rortvedt(C)
○放出
Gio Urshela(3B)
Gary Sanchez(C)

正捕手Sanchez,正三塁手Urshelaを放出した代わりにリーグ屈指の強打者Donaldsonと名手ユーティリティーKinah-Falefa,24歳捕手のRortvedtを獲得した大胆な動き。
これによって昨年末より取り沙汰されていた正遊撃手を確保。並びに攻守でハイリスク(かつハイリターンではない)であったSanchezを,守備指標に優れた若手捕手にチェンジ。低年俸が魅力のUrshelaを手放すことになりましたが,健康体であればHR王争いにも絡めるような三塁手Donaldsonを確保。

今オフのMLBでも屈指のビッグディール

その2日後にはAnthony Rizzoと2年契約を締結。Freemanの獲得競争に見切りを付け,昨年TDLからチームに溶け込んでいるベテラン一塁手をキープしました。

★フリーエージェント
○獲得
Anthony Rizzo(1B)

また,Rizzo獲得によって完全にダブついたLuke VoitをSDにトレード放出。ユニバーサルDH導入にともなって,指名打者を確保したいナリーグのチームを素早く見つけることができました。

★ミネソタ・ツインズとのトレード
○獲得
Justin Lange(RHP)
○放出
Luke Voit(1B)

主にDonaldsonとRizzo加入によって,チームの総年俸は贅沢税しきい値を超過。いわゆる不良債権化している選手に有望株を付けての放出が確実視されていましたが,執筆時点(3/23)では全くといって動きはありません。

②ラインナップ予想

(1)筆者の考えるNYY最厚ラインナップ!

1 DJ LeMahieu (2B)
2 Aaron Judge (RF)
3*Anthony Rizzo (1B)
4 Josh Donaldson (3B)
5*Joey Gallo (LF)
Giancalro Stanton (DH)
7 Isiah Kinah-Falefa (SS)
8 Kyle Higashioka (C)
9**Aaron Hicks (CF)
- Gleyber Torres (2B/SS/3B)

控*Rortvedt(C)
Tim Locastro (OF) or Ender Inciarte (OF)
控**Oswaldo Cabrera(SS/2B/3B) or Miguel Andujar(3B/LF/1B)

※アクティブロスターを26名,13名は投手に割くと仮定した場合。5月までは28名をアクティブロスターとできるようですが今回は考慮していません。

(2)新打線の魅力

昨年初頭に見られた右打者偏重のラインナップはGallo,RizzoのコンビでTDL以降と同様に解消。スイッチヒッターのHicksも怪我から復帰,Higashiokaとのプラトーン起用が有力なRortvedtも控えているなど,バランスのとれた打線を構築できると考えています。
今回はTorresを外していますが,彼はLeMahieuやDonaldson,はたまたIKFとローテーションで内野に就くことを想定。MLBの過密日程を乗り越えるためには必要な人材になるでしょう。

2021年、ようやく機能したBig Duo

1番打者LeMahieu2番打者Judgeはここ3年間不動の様相で,彼らがホットストロークに乗っている時のチームは非常に強い印象があります。それぞれがタイトル獲得時の勢いを取り戻せれば優勝がグッと近づくような気がします。
3番打者Rizzoには長打も勿論ながら,持ち前のバットコントロールと選球眼による繋ぎ役を期待したいところ。
4番打者には新加入のDonaldsonを配置し,上位打線に重みと厚みを与えます。
5番打者は出塁率を考慮するとGalloが望ましいと考えます。彼には上位打線に次ぐテーブルセッターの役割を果たしてほしいです。
そして6番打者には頼れる強打者Stanton。1-5番の間に溜まったランナーを一掃する昨年のような勝負強さに賭けたいです。
7番打者IKFはスプリングトレーニングで新打法を披露しバッティングも好調。もしかすると嬉しい誤算もあるかもしれません。
8番打者は右のHigashioka,左のRortvedtプラトーン起用することが効力を発揮すると思います。
最後の9番打者Hicksに任せたいですね。2020年シーズンにはアリーグ1位のBB%を記録していることなどからひたすら出塁に徹してほしいです。

ラインナップ・控えを通しても長打力は相変わらず。キャリアで30HR以上を記録した打者は6名,25HR以上に限れば9名もいる強力な陣容です。
また,最大の魅力は選球眼に優れた打者が揃うことによる得点機会の創造性の高さでしょうか。Kinah-FalefaとHigashiokaを除けばシーズン50BBを記録できる選手が並んでおり,バットが湿っている日であっても一定の成果が得られるのではないでしょうか。コマンドに不安を抱える投手にとっては地獄のような打線に見えること間違いなしです。

<KZillaさんの考えるラインナップ!>
1 LeMahieu(2B)
2 Judge(RF)
3 Stanton(DH)
4 Gallo(LF)
5 Donaldson(3B)
6 Rizzo(1B)
7 Hicks(CF)
8 Kiner-Falefa(SS)
9 Higashioka(C)

③守備位置予想

(1)デプスチャート

 C | Higashioka/Rortvedt/Brantly
1B | Rizzo/LeMahieu/Gonzalez
2B | LeMahieu/Torres/Cabrera/Kiner-Falefa
3B | Donaldson/Kiner-Falefa/LeMahieu/Andujar
SS | Kiner-Falefa/Torres/Cabrera
LF | Gallo/Stanton/Andujar/Gonzalez
CF | Hicks/Locastro/Judge/Gallo
RF | Judge/Stanton/Gallo
DH| Stanton/Donaldson/Judge

(2)守備力は如何に!

今オフの課題にもあったとおり,直近2年間でTorresが記録した遊撃でのDRSー19という数値は驚愕の事態であり,守備力のある遊撃手獲得が急務でありました。新加入のKiner-Falefaは昨年DRS+10を記録した屈指の名手であり,目に見えた成果がすぐに表われることでしょう。
一塁手Rizzoについても怪我の影響で守備力は低下しているものの,前任のVoit(NYY在籍時の累積DRSー27)と比較すれば間違いなく強化されているでしょう。
ちなみに,1B-Rizzo/2B-LeMahieu/3B-Donaldson/SS-Kiner Falefaの布陣は全員がゴールドグラブ受賞の経験があり,衰えを加味した上でもセンスは健在で,堅い守備の地力があるでしょう。バックアップとしても守備力に定評のあるIF-Cabreraを構想に置けるのは大きな強み。

ゴロボーラーが増えているNYY投手陣を支えるホットコーナー

外野に目を向けてもLF-Galloは20年-21年とBack-to-Backでゴールドグラブを受賞している名手であることは言わずものがな。RF-Judgeも近年はOAAなどの守備指標が低下しつつあるもののDRS+11,UZR+3.4はリーグ上位。となると目立った穴としては32歳を迎えたベテランのHicksが守るセンターでしょうか。2017年以前までは一定の評価を得ていた守備も,相次ぐ怪我と衰えによって低下。持ち前のARMですらプラスを記録できていません。もちろん打撃で平均以上のパフォーマンスを見せてくれれば良いのですが,それが叶わないとなると居場所はすぐさま無くなる気がします。偶然にも現在FAでHicks以上のCF守備が期待できるNYY一筋の左打者がいますしね。

そして最も注視すべき要,捕手については2021年にDRSー10を記録したSanchezが移籍。代わりに「ミネソタ傘下最高の守備能力を誇る捕手」とも評される24歳のRortvedtが新たに加わりました。DRS+5/FRM+5.5のHigashiokaがメインマスクになると予想されますが,平均以上の守備力を有する捕手が2枚いることは昨年と大きく異なる強みになると思います。

④今年のキーマンは…

あえて今年のキーマンを挙げるならば,2019年・2020年にMVP級の活躍を見せたDJ LeMahieuでしょうか。2020年オフに6年90Mにて契約延長を果たしたわけですが,2021年シーズンは不完全燃焼に終わってしまいました。

2021 LeMahieu

それでも打球速度やxBA,K%等は非常に優秀な数値を残しており,バウンズバックの余地は大きいのかなと思っています。
もともとフリースインガーではない選手でしたが,近年はより選球眼に磨きがかかっている印象で,持ち前のバッティングコントロールに出塁能力が相まってくれれば,再びMVP投票を受けるに値する選手へ回帰してくれるはずです。

気になるのは昨年に患った腰の怪我でしょうか。報道を見る限りではオフに完治させたようで,STにおいても元気な様子を見せています。野球選手の生命線ともいえる繊細な箇所であることからも,無理だけはしないでほしいですね。

⑤総括

オフの課題であった箇所の補修,バランスの取れたラインナップ,守備力の向上など,大きく改善を図れたオフシーズンであったように感じます。たしかに同地区のレイズ,レッドソックス,そしてブルージェイズは強大な敵として立ちはだかりますが,少なからず彼らに対抗できる戦力の拡充はできたかと。
となると懸念はやはり主力の怪我。Judge-Stanton-Hicksの三羽硝子は言わずものがな,LeMahieuとRizzoは怪我の再発防止につとめて欲しいですね。そしてDonaldsonも球界屈指のInjury proneな選手であることから,彼らの出場試合数の多さと順位の高さは如実に比例するんだろうなと思います。(こんなん,どこのチームも同じですけど)

ほな,ワールドシリーズで会いましょう。

◇ ◇ ◇

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