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【NYY】Rizzoとの再契約。そして近づく別れ。

日本時間正午頃,一昨日の大型トレードに続き,NYYによる新たな契約についてツイートが流れてきました。

昨年のTDLにてCHCより獲得した一塁手・Anthony Rizzoとの再契約を果たしたとの一報である。契約の内訳はどんなものだろうか。

2年3200万ドル(AAV16M)・1年目終了時のオプトアウト付というのが契約概要。今回のnoteではRizzoの再契約,そしてそこから予見される今後の動きについてまとめていきます。

①補強ポイントの一塁手を確保

昨年のTDLにてAlexander Vizcaino(RHP),Kevin Alcantara(CF)というまだ若くハイシーリングな有望株をシカゴ・カブスに放出。対価として3度のAS選出4度のGG賞受賞など,2010年代を代表する一塁手・Anthony Rizzoを獲得。同じくTDLで獲得したJoey Galloと共に当時PS争いの当落線上(WCG進出ですら3.5G差)にいた窮地のチームを救えるかに注目が集まりました。
結果としてヤンキースは13連勝などもあってギリギリPSに滑り込みを果たしたわけですが,これはRizzoとGalloの貢献よりもJudge・Stantonの勝負強い打撃や,投手陣の踏ん張り,下部組織からの底上げが主な要因と言えるでしょう。

★Anthony Rizzo(NYY移籍後の成績のみを抜粋)
49試合 .249(173-43) 8HR 21RBI 28SO 16BB
.340/.428/.768 /wOBA.339/fWAR0.7/rWAR0.5

シーズン終了後にRizzoはFAとなった訳ですが,ロックアウト前よりRizzoがNYYとの再契約に非常に前向きである旨の報道が見受けられました。現にキャシュマンGMも,早い段階よりRizzoの代理人との交渉が始まっていたことを述べています。

Rizzo expressed willingness to return to New York during a December appearance on former Cubs teammate Ian Happ’s podcast, saying that he “loved” living on the Upper West Side, where he’d visit Central Park daily to walk his dog.

https://www.mlb.com/news/anthony-rizzo-yankees-deal

NYYには2020年の短縮シーズンにて本塁打王を獲得したLuke Voitが正一塁手としていたものの,ここ数年は腰や足の慢性的な怪我に悩まされていた現状があります。それにより,OAKのMatt OlsonやFAのFreddie Freemanなどといったビッグネーム獲得も噂されていましたが,結局はRizzoとの再契約を選択することとなりました。(Rizzoも十分ビッグネームですけどね😤)

○打撃

CHCにて2013年にレギュラー定着後,安定した打撃を披露。10年間でAVG.272,1311安打,242HRなどの輝かしい実績が立ち並びます。もちろん32歳で迎える2022年シーズンでは更なる成績低下も懸念されますが,昨年は2015年の計測開始後最高となる平均打球速度90.1mph,最高打球速度115.2mphを記録。優れたコンタクトを武器にK%においても依然としてMLB全体15%に入るといった能力の高さを見せていました。

そしてRizzoを語る上で外せないのが並外れた選球眼による出塁能力でしょう。キャリア通算BB%=11.0,出塁率.369という数値は圧巻です。長打力においてはJudge,Stanton,Galloに加えて,一昨日のトレードにてDonaldsonを補強するなど文句無しのメンツが揃っているため,Rizzoには出塁・チャンスメイクに重点を置いてもらう形がよさそうですね。(内野版のHicksといったら流石にRizzoに失礼でありますが,イメージとしてはそんな感じ)

私が懸念しているのが左打者に不利な数値が散見されているヤンスタでAVG.232 OPS.684など目に見えて悪い成績を残していた点。リグレーフィールドではOPS.911を記録していただけに,本拠地との相性も気になるところですね。

打順におけるスポットとしては3番打者,または1番打者に置いても面白いかもしれません。下位打線に置くにもKinar-FalefaやHigashioka&Rortbedtといった得点能力の低い選手の前で打たせるのはやや効率が落ちる気がします。

○守備・走塁

近年は常にリーグ平均以下のスプリントスピードを計測している走塁は期待薄。
やはりRizzoの出塁能力に並び称される持ち味といえば一塁守備能力でしょう。冒頭でも紹介したとおり,CHC時代には4度のゴールドグラブ賞を受賞。打撃成績がおとなしかった昨年においてもOAA+6を計測しております。(ただ,DRS-6&UZR+0.1とバラつきもあり注視したいです。)

残念ながら前任のVoitは守備能力が低く,Torresと並んでNYY内野陣の穴となっていた点は否めません。Rizzoが例年通りの華麗な守備を披露してくれればチームにとって大きなプラスになることは間違いありません。

○UT性能(おまけ)

緊急登板も可能😤

左投げながら三塁守備も可能😤

○その他

実はRizzoの価値は上記に留まりません。耐久性でいえばレギュラー定着後の2013年から2021年に至るまで,140試合出場を下回ったことは一度もありません。(短縮シーズン除く)毎年のごとく戦線離脱が多発するNYY野手陣においては貴重なリソースとなることでしょう。

また,人格者としても知られており,NYY移籍後にクラブハウス内にリーダーシップをもたらした点は首脳陣も高く評価していたようです。特に,今までNYYの屋台骨,精神的支柱として稼働していたGardnerは未だ再契約の線が薄くリーダーシップ不足の懸念も。MINからのトレード組との関係を取りなす役割を期待したいですね。

最後に今回の契約について。Donaldson獲得によってチーム総年俸が増加し年俸制限を超過。その後にAAV16MのRizzoを獲得したことで現段階では贅沢税しきい値を超えることが確実。これは次項に繋がる話でありますが,もう1つ~2つトレードを絡めることによってサラリー&ロスター整理を行うことは確定事項な気がします。
Rizzoの契約単体に目を当ててみると,2020-2021の年俸が16.5Mであり,50万ドルのダウン。相場どおりの値段とも言われていますが,もう少し値段を抑えられるものだと思っておりました。(個人的に13M-15Mには収まるかと予想してました)2022年オフのオプトアウト条項も加えられているとのことで,今季の成績次第では1年でFAとなる可能性もあります。

②Luke Voitとの別れは確定路線?

○正一塁手から降格となった経緯

一方,今回のRizzo再契約によって40man-Rosterは41人になり,ロスター整理による選手放出は確実。ここで真っ先に白羽の矢が立つのは2020年まで正一塁手であったLuke Voitでしょう。
Voitが2018年のTDLでNYYに加入するとアナウンスされた際,彼の名前を知っていたファンはどれほどいたでしょうか。そんな知名度の低さとは裏腹に,18年には加入後の39試合で14HR,OPS1.095と大爆発。特にアスレチックスとのWCGにて当時屈指のクローザーであったBlake Treinenから放ったダメ押しタイムリーは,ニューヨーカーの心を強く掴みました。

2019年には開幕初打席からHRをたたき込むなど絶好調で,負傷者続出のチームを支え続けました。しかし負傷者が続々と帰還して迎えたレッドソックスとのロンドンゲーム。絶好調のVoitはその日4安打目となるヒットでセカンドを狙った際にインナーマッスルを負傷

その後,スポーツヘルニアによって1ヶ月離脱し,9月には復帰を果たすもポストシーズン欠場。
2020年には4番打者として22HRを放ち本塁打王に輝きますが,ベースランニングの際には常に足の痛みを抱えた苦悶の表情でありました。
2021年のスプリングトレーニングにて左膝の半月板を部分断裂。その後も腹斜筋の張りなどで離脱するなど,2022年を迎えるにあたって,Voitにレギュラーを任せるには相当不安な状況でありました。

もちろん,ここまで負傷履歴を抱える選手の放出となれば容易にはいきませんが,Voit自身は年俸も5M程度とされており,ペイロールへの負担は軽いです。となれば,Isiah Kinah-Falefaの獲得・Roderick Ariasの加入によってダブついた遊撃手プロスペクト(Oswaldo Cabreraが筆頭候補?)などを加えたパッケージであれば望みはあると考えます。
また,新たなCBAによって2022年シーズンからのユニバーサルDH導入が決まっているため,一塁守備が平均以下であるVoitの引取先も見つかるかもしれません。(ただしAndrew McCutchenのMIL入りやDaniel VogelbachのPIT入りなど,候補先が次々に消滅している現状は焦ったほうがよさそうです。)

Voit放出の有無に関わらず,年俸制限の兼ね合いとしてAaron Hicks,
Luis severino,Zack Brittonら不良債権放出
によるサラリーダンプも大いに有り得るかと。ここにも複数の若手有望株を付ける必要がありますが,この冬にロスターセット(PHIへの Donny Sands & Nick Nelson 放出)のみでしか有望株の放出を行ってこなかったチームの動きにも注目ですね。

○Voitへの思い入れ

(まだ放出されたわけでない選手に,さも放出された後のような記載はよろしくないとは思いますがお許しください。)
ここまであえてドライに,個人的な見解を少なめにまとめてきましたが最後にLuke Voitへの思い入れを綴らせてください。
2018年,Greg BirdTyler Austinといった屈指のプロスペクトらが開幕ロスターに跋扈していた訳ですが2人揃って結果を残せず。あの年のAustinに至ってはKellyとの乱闘ぐらいしかハイライトが思い出せません。(なお現在)
Neil Walkerに加え,今や完全に黒歴史と化したBrandon Druryらも一塁手として出場しましたがあまりにも無惨なものに。
そんな中,マイナーリーグを主戦場としている一塁手・Voit獲得の一報を知った時は「2019年に向けた布石?」くらいにしか思っていませんでした。ところがどっこい,普通にMLB起用されると快打を連発。特に本塁打後の軽いJump&StepはVoitを象徴するサインともなりました。

怪我こそ頻発していたものの,常に全力でタフな姿はヤンキースファンから手厚く歓迎され,Voitのヒット時にはBooingならぬ「Luke-ing」がヤンスタに響き渡りました。

もちろん生え抜きのJudgeらに愛着はわきますが,UrshelaやVoitといったNYY移籍後に名を挙げた選手らにはそれ以上の執着を持ってしまうのが本音。実際,Sanchezらには強い言葉を浴びせていた私も,彼らには賛辞の言葉しか送った記憶がありません。
それだけにこの度の移籍秒読みとなっている状況は悲しく,Sanchezら放出も相まって一つの時代が終わったようでなりません。
もし放出が現実のものとなった暁には,どうか新天地で怪我に苦しむことなく活躍してほしいと祈るばかりです。

③総括

トレードや再契約によって内野のロスターは以下の陣容に。

Rizzo 1B (Voit 1B)
Torres 2B/3B/SS
LeMahieu 2B/1B/3B
Kiner-Falefa SS/3B/2B/C
Donaldson 3B
(An*****r 3B/1B/LF)

一部のファンからは「TorresかLeMahieuは放出?」などとも言われていましたが,2019年の2B/3B/SSをLeMahieu/Torres/Gregarious/Urshelaでローテーションしていた過去もありますし,TorresとLeMahieu,そしてIKFのポジション可動域を余すことなく使う気がします。162試合(ダブルヘッダー込み)を戦い抜く際にはなかなかに素晴らしい形を作れたんじゃないかと思ってます。

最後に

Rizzo加入によってLeMahieu,Judge,Gallo,Stanton,Donaldsonといった平均以上のBB%を記録する打者が乱立。昨季同様にチーム最多四球のタイトルは確定したと言えるでしょう。

超個人的に言えば,もともとRizzoという選手にはあまり好感がありませんでした。理由は

とのこと。ありましたよね数年前に。まあもう忘れましたよ。Rizzo愛してる💑

性根が歪んでいるので「Voit放出よりもロスターから消し去るべき選手がいるのでは?」と思ってしまう自分がいます。Voitと違い,三塁・左翼も守れる(?)ユーティリティー性能(?)が彼をプロテクトたらしめるのでしょうか。

<3/14に起きた大型トレードについては下記のとおり>


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