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【NYY】遊撃手問題-「Oswaldo Cabrera」という選択肢

 前回のリリーフ投手展望「Re:Re:Re:Bronx」でおもっくそ棚上げした2021年オフのNYY補強課題(先発二番手・一塁手・遊撃手)ですが,今回は遊撃手問題について触れたいと思います。

①NYYの遊撃手状況をおさらい

 不動のショートストップとして君臨したDerek Jeterが2014年にピンストライプを脱いだ後,アリゾナ・ダイヤモンドバックスから加入したDidi Gregoriusが正遊撃手の座を得るとたちまち攻守で大貢献。それまで打撃よりも守備で知られていた選手が,2016年に20HRを放つ成長を見せたことは衝撃を与えたことでしょう。2017年には打撃でAVG.287/ 25HRの傍ら,遊撃守備ではUZR・DRS共にプラスを記録するなど球界トップ級の遊撃手として名を広めていきました。
 しかし2018年オフにTJ手術を行うと復帰後は攻守で精彩を欠き,残留を望むDidiに対しNYYがオファーを行うことはありませんでした。これにはGerrit Cole獲得を狙うNYYに金銭的余裕がなかったこともありますが,一番の理由は後継の遊撃手としてGleyber Torresを起用する意向があったからでしょう。2019年,不振にあえいだDidiとは対象的に23歳という年齢ながらシーズン38HRを記録した打力はNYYの新時代すら予感させるものでした。

18年は2人合わせて51HR,19年は54HRと強打の二遊間を結成

 しかしTorresが遊撃手を務めた2020年-2021年,チームとしても個人としても不安定な期間が続きました。この2年でのTorresは169試合でAVG.256/12HR/OPS.703と大ブレーキ。遊撃守備に至っては1200イニングで通算DRSマイナス19を記録。これにはNYY首脳陣も危機感を覚えたのか2021年後半にはTorresを二塁手に戻し,本来三塁手のGio UrshelaやAAAのAndrew Velazquezを起用することで応急処置を講じました。このように,来る2022年を迎えるにあたっては正遊撃手の確保は急務でありましたが,不安を拭えぬままにロックアウトとなってしまいました。

Carlos Correa & Trevor Storyは大型契約必至だが…

 巷では未だに去就の確定していないCarlos CorreaTrevor Story獲得を推す声もありますが,不良債権を多く抱えるNYYにとっては彼らのような大型契約を抱える余地はありません。また,嬉しいことに下部組織にはAnthony VolpeOswald Perazaという攻守で好成績を記録している遊撃手(2023年-2024年デビュー予定)がいることもあって,「2022年の1年間だけ遊撃手に置ける人材」を欲しているのが本音に近いでしょう。
 こういった状況を踏まえ,FAのAndrelton SimmonsやTEXのIsiah Kiner-Falefa獲得も噂されています。

SimmonsならFAでの単年契約,Kiner-Falefaは2024オフFAということもありコンテンダーとなったTEXにはそれなりの対価が必要か

②Oswaldo Cabreraという選択肢

 そんな状況において,私がひとつの選択肢として推しているのが現在AAAに所属しているOswaldo Cabrera(オズワルド・カブレラ)の正遊撃手起用です。 来季23歳を迎える彼は昨年11月のロスターセットによってRule5対策による40人ロスター入りを果たしたばかりの若手内野手です。

Oswaldo Cabrera

 Cabreraは2016年-2019年の1540打数で24HRとパワーレスながらも,安定したヒッティングツールやフィールディングを武器に年々階級を登っていきました。そして2020年のシーズン休止を経て迎えた2021年,AAとAAAでAVG.272/29HR/21SB/OPS.863と大躍進。(AAのNortheast LeagueでMVPに輝きました)
 シーズン最終盤に昇格したAAAでの大立回りは,打者としての天井の高さが垣間見えた瞬間とも言えます。

NYY Prospect Rankings【野手編】から流用

 この飛躍についてはコロナ休止下でのトレーニングによるビルドアップ,打撃フォーム改造もさることながら,NYY傘下で打撃コーチを務めたDillon Lawsonによる「hit strikes hard」という打撃理念も多いに影響したと言われています。もちろんそれまで武器にしていたヒッティングツールを犠牲にしたわけですが,内野手であることからすれば選手としてのValueは高まったともいえます。

 そしてTorresの後釜であることから,肝心の遊撃守備に注目が集まるところですが,Cabreraについては心配無用でしょう。先述のとおり,元々は守備に長けたプロスペクトだけあって遊撃守備はMLBでも卒なく通用するはずです。(Baseball ProspectusのFRAAも毎年プラスを記録)

 特筆点として,2021年シーズンに代表されるように,チーム状況によっては二塁手,三塁手起用にも応えられるという武器があります。近年,多くの負傷離脱や感染症プロトコルに悩まされたチームにとってはこの上ないオプションといえるでしょう。
 また,20HR-20SB(2021年Milbにおいて16人のみ)を達成していることからも分かるとおり,走塁・盗塁に関しても平均以上の働きを期待したいところ。なによりここ数年守備・走塁におけるユーティリティーとしてフレキシブルに起用していたTyler WadeをDFAにしてまでCabreraにロスタースポットを与えたわけですから首脳陣の見解も同じと考えます。
 以上のことからもMLBでのCabrera遊撃手起用には一定のメリットがあるといえますし,マイナーでもシーズン30HRに肉薄するパワーバットを下位打線に置く光景は楽しみなところ。スイッチヒッターであることも右打者ばかりの打線を抱えるチームにとってはプラス材料でしょうか。

③2023年以降のチーム作りにも影響大

 SimmonsやKiner-Falefaの補強とは異なり,Cabreraを2022年に起用することは今後のチーム作りにも大いなる影響を与えると考えています。
 先ほども記載のとおり,Milb全体でもトップクラスのプロスペクトに躍進を遂げたVolpe,そしてより高い階級にいるPerazaが2023年(遅くても24年)ごろのデビューを控えています。

短縮シーズンにも関わらず30-30に肉薄するなどMLB Pipeline選出の年間最優秀打撃プロスペクトに
Cabrera同様にパワーレスと見なされていましたがGame Powerが開花,さらなる長打増加も期待

 揃いも揃って平均以上の守備に加えて20-20ポテンシャルを秘めているという贅沢な状況。当たり前ですが3人を同時に遊撃手起用はできませんのでPerazaかCabreraを遊撃手起用し,Volpeを二塁手起用することがBetterなプランと思われます。
 このように,Cabreraに期待される役割はPerazaとVolpeのバックアップに回りつつも下位打線や内野守備からインパクトを与えていくことでしょうか。考えたくないですが,PerazaとVolpeがMLBで全く通用せずに終わったときの遊撃手としても計算できます。(おねがい,みんな活躍して😭)

Peraza(左)とVolpe(右)の働きによってNYYの未来がどちらに傾くかは自明

 また,優先順位からすれば数年後の優勝を狙う際にトレードチップとして放出される可能性も3人の中では一番高いと思います。2022年にMLBで経験を積むことは数年先の補強を見据えたときのValueを高めることができるチャンスと捉えています。

最後に

 「じゃあ実際Cabreraが開幕ロスター入りする可能性ってどんくらいなの?」と聞かれると悩んでしまうところ。CBAにもよりますがNYYが開幕までに新たな遊撃手を補強する可能性のほうが高いのかなと見ています。そもそもAAAで猛威を奮ったとはいえ,たったの9試合とスモールサンプルな点は気になりますし,Perazaと共に開幕はスクラントンで二遊間コンビを形成するのかなーと。
 その上で考えられる流れとして

遊撃手補強

その遊撃手がスプトレで怪我・大不振

一方Cabreraはスプトレで大活躍

BooneとCashmanがCabreraをいたく気に入り開幕起用

CabreraはすぐさまMLBにアジャストし新人王争い😳?

新人に引っ張られたBronxBombersはシーズン105勝し地区優勝😳??

ポストシーズンも破竹の勢いでALCSをスイープ😳???

2009年以来,通算28回目となるワールドシリーズ制覇😳????

言霊😤

今宵も笑顔でYankees Win!!😭もちろんCabreraが全くMLBで通用しない可能性も大いにあるわけで,ローカロリーな期待を心がけます😭
これで両翼守備にもチャレンジしてくれれば帝国謹製スーパーユーティリティー爆誕です😤

2022年8月追記

8月17日に念願のMLB昇格!希望的観測として両翼起用も望んでいましたが,右翼での出場が実現しています!2B-3B-SS-LF-RFに高いレベルで就くことができ,パワーバリューのあるスイッチヒッターとして打線にアクセントを加えることもできるCabrera。今季の活躍はもちろんのこと,今後数年に渡ってチームに欠かせない存在となりそうです…!!

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