タンブラーマグを買った話
コーヒーが好きだ。濃ゆいブラック。別にラテが嫌いなわけでもないけどブラックが好き。
そんでもってドリップコーヒーが好き。これもコストパフォーマンスなんて虚言に惑わされずに1杯単価110円のスタバのオリガミを買いためる。
一時期,ネスカフェゴールドブレンドのインスタントを飲んでいたけども,久々に淹れた時の臭気と酸味がめっきりトラウマになってしまった。
地元の珈琲屋で焙煎豆を買いつけて,手動のグラインダーなんて用意しちゃって,大層自己満足なコーヒーライフを送ったこともある。しかし汎用性に欠ける。一年の大半をアットホームな職場で過ごす僕にとってはいささか不便であった。
やっぱりスタバのオリガミだ。
オリガミはオリガミでも「ハウスブレンド」と「カフェベロナ」が特に好きだ。どちらも臭気や酸味を放つことなく,芳醇な,それでいて深々とした薫りと苦みが口いっぱいに満たしてくれる。
焦ってはいけない。かならず摂氏90度のお湯で時間をかけて淹れる。ここで98度のお湯を使おうものなら灰汁や苦みを増長させ,途端にスタバの黄金比率が死ぬ。
また,ドリッパーに並々とお湯を注いではならない。本来ろ過器のような役割を果たす豆が舞い上がってしまい,大して旨味の抽出できないコーヒー風味の汁となってしまう。決して焦ってはいけない。
そんな折り,タンブラーマグを買った。それまでローソンのキャンペーンで手に入れたリラックマの縦長タンブラーを愛用していたのだが,ゴムパッキンの劣化によって長らくの役目を終えた。
ミーハーなだけあって,こういうものは雑貨屋に限る。セレクトショップにあるようなご当地ものに始まり,中流階級御用達の家電,北欧を思わせるカトラリーや陶器,入浴剤に美容用品となかなかに飽きない。
もちろんタンブラーも複数あるのだが,今回はマグカップ型の蓋付きタンブラーを購入した。飲み口をスライド開閉できる優れもの。デザインもシンプルで素敵。そうそう,こういうのでいいんだよ。
明くる日,オリガミをタンブラーマグで淹れる。30秒の蒸らしを経て,少量のお湯を注ぐ。反してスタバの細挽きは間髪入れずにマグの中へ,先ほどまで摂氏90度のお湯だったモノを落とし込む。
その時だ。”超音速”の衝撃が走ったのは。
スチール製のタンブラーマグの中に,少量のコーヒーが滴り落ちるごと,「カンカラン…カラン」という一聞すると噪音ともとれる響きが内耳に飛び込んできた。
これ,,Oasisや…!!
Oasisの”SuperSonic”の冒頭や…!!!
その日飲んだコーヒーが,世界一ロックな味であったのは言うまでも無い。
(新しいタンブラーでコーヒーいれたらスーパーソニックの音がしただけの無駄話)
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