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MLB「最強投手は誰だ!?」投票企画


現役最強投手は誰だ!?」ーーーーー
 こんな問いを皆さんに投げかけてみるとどうだろうか。「マックス・シャーザー」と答える方もいれば「クレイントン・カーショー」という人もいるだろう。「ジャスティン・バーランダー」,「ジェイコブ・デグローム」,「コーリー・クルーバー」を挙げる人も多くいる事であろう。「スティーブン・ストラスバーグ」を挙げる変態は一緒に旨い酒が飲めそうなので私の奢りで今度ご飯に行きましょうね。

 お分かりの通り,「最強」を決めるとなれば必ず論争が生じる。そもそも「最強」の定義づけが曖昧なのだ。球が速くて変化球が鋭いピッチャーが最強?それとも他を寄せ付けない圧倒的な成績を残すピッチャーが最強?
 恐らく,いつの時代も「最強とはなにか?」という屁理屈じみた定義づけから始まり,多くの識者によって論争がされてきたのであろう。
 MLBにおいては,毎年リーグ別に「サイ・ヤング賞」という最もすばらしいパフォーマンスをした投手が選出される賞がある。通算511勝を挙げた稀代の名投手の御名あやかって付けられた権威ある賞であり,2018年シーズンはア・リーグがブレイク・スネル,ナ・リーグがジェイコブ・デグロームが受賞。
 複数受賞者が長いMLBの歴史においても,たったの18人しかいないことからも受賞の難しさがうかがえる。

 唐突だが,ここで1992~2004年のサイ・ヤング賞受賞者を見ていこう。

'92 グレッグ・マダックス(CHC)
   デニス・エカーズリー(OAK)
'93 グレッグ・マダックス(ATL)
   ジャック・マクダウエル(CHW) 
'94 グレッグ・マダックス(ATL)
   デビッド・コーン(KC)
'95 グレッグ・マダックス(ATL)
   ランディ・ジョンソン(SEA)
'96 ジョン・スモルツ(ATL)
   パット・ヘントゲン(TOR)
'97 ペドロ・マルティネス(MON)
   ロジャー・クレメンス(TOR)
'98 トム・グラビン(ATL)
   ロジャー・クレメンス(TOR)
'99 ランディ・ジョンソン(ARI)
   ペドロ・マルティネス(BOS)
'00 ランディ・ジョンソン(ARI)
   ペドロ・マルティネス(BOS)
'01 ランディ・ジョンソン(ARI)
   ロジャー・クレメンス(NYY)
'02 ランディ・ジョンソン(ARI)
   バリー・ジト(OAK)
'03 エリック・ガニエ(LAD)
   ロイ・ハラデイ(TOR)
'04 ロジャー・クレメンス(HOU)
   ヨハン・サンタナ(MIN)

 太線にさせて頂いたが,「ロジャー・クレメンス」,「ランディ・ジョンソン」,「グレッグ・マダックス」,「ペドロ・マルティネス」という名前が異様に多いことがすぐわかるだろう。それぞれクレメンスは7回受賞(歴代1位),ジョンソンは5回受賞(歴代2位),マダックスは4回受賞(歴代3位タイ),マルティネスは3回受賞(歴代5位タイ)しており,この時代におけるサイ・ヤング賞は彼らの独壇場ですらあった。

 では,彼ら4人の投手の中で誰が「最強」なのか?となったとき,私が「サイ・ヤング賞を歴代最多となる7回も受賞したクレメンスに決まってるだろ」なんてことを口にしたアカツキには多くの読者から石を投げられてしまうだろう。(理由は後述)
 いくら権威あるサイ・ヤング賞を多数受賞したとはいえ,その回数で雌雄を決するというのはあまりにも短絡的すぎるのだ。
 では私が長ったらしい分析をして寸評するべきか?と言われたらそんな偉そうなおっさんくさいこともやりたくないし、誰も見たくないだろう。
 てな訳で,今回の記事ではこの大投手達の凄さを列挙し,その上で読者の皆様にツイッターで投票していただくことにした。もちろん,「記事なんて読まなくても一番すごいのはこいつに決まっている!」という方も多数いらっしゃると思うので記事を読まずに投票していただいても構わない

(上記アカウントの固定ツイートから行くと一番いいかもしれません)

 投票の基準はなんでもいい。「球速が一番速いから」でも「顔が好みだから」でも「名前が画像乞食だから」でも構いまわない。一番票数の多かった投手を勝手にこの時代の最強投手とさせていただくことにする。

①「ロケット」ロジャー・クレメンス

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(21)20登板 133.1回 *9勝*4敗 126奪三振 防御率4.32 WHIP1.31 rWAR1.8
(22)15登板*98.1回 *7勝*5敗 *74奪三振 防御率3.29 WHIP1.22 rWAR2.7
(23)33登板 254.0回 24勝*4敗 238奪三振 防御率2.48 WHIP0.97 rWAR8.9
(24)36登板 281.1回 *20勝*9敗 256奪三振 防御率2.97 WHIP1.18 rWAR9.4
(25)35登板 264.0回 18勝12敗 291奪三振 防御率2.93 WHIP1.06 rWAR7.1
(26)35登板 253.1回 17勝11敗 230奪三振 防御率3.13 WHIP1.22 rWAR5.7
(27)31登板 228.1回 21勝*6敗 209奪三振 防御率1.93 WHIP1.08 rWAR10.5
(28)35登板 271.1回 18勝10敗 241奪三振 防御率2.62 WHIP1.05 rWAR7.9
(29)32登板 246.1回 18勝11敗 208奪三振 防御率2.41 WHIP1.07 rWAR8.8
(30)29登板 191.2回 11勝14敗 160奪三振 防御率4.46 WHIP1.26 rWAR2.6
(31)24登板 172.0回 *9勝*7敗 168奪三振 防御率2.85 WHIP1.14 rWAR6.0
(32)23登板 140.0回 10勝*5敗 132奪三振 防御率4.18 WHIP1.44 rWAR1.9
(33)34登板 242.2回 10勝13敗 257奪三振 防御率3.63 WHIP1.37 rWAR7.7
(34)34登板 264.0回 21勝*7敗 292奪三振 防御率2.05 WHIP1.01 rWAR11.9
(35)33登板 214.2回 20勝*6敗 271奪三振 防御率2.65 WHIP1.10 rWAR8.1
(36)30登板 187.2回14勝10敗 163奪三振 防御率4.60 WHIP1.47 rWAR2.9
(37)32登板 204.1回 13勝*8敗 188奪三振 防御率3.70 WHIP1.31 rWAR4.6
(38)33登板 220.1回20勝*3敗 213奪三振 防御率3.51 WHIP1.26 rWAR5.7
(39)29登板 180.0回 13勝*6敗 192奪三振 防御率4.35 WHIP1.31 rWAR2.6
(40)33登板 211.2回 17勝*9敗 190奪三振 防御率3.91 WHIP1.21 rWAR4.0
(41)33登板 214.1回 18勝*4敗 218奪三振 防御率2.98 WHIP1.16 rWAR5.4
(42)32登板 211.1回 13勝*8敗 185奪三振 防御率1.87 WHIP1.01 rWAR7.8
(43)19登板 113.1回 *7勝*6敗 102奪三振 防御率2.30 WHIP1.04 rWAR3.5
(44)17登板 *99.0回 *6勝*6敗 *68奪三振 防御率4.18 WHIP1.31 rWAR1.5

実働24年 709登板 4916.2回 354勝184敗 4672奪三振 防御率3.12 WHIP1.17 rWAR139.0

アメリカンリーグ・MVP 1回
アメリカンリーグ・サイ・ヤング賞 6回
ナショナルリーグ・サイ・ヤング賞 1回
投手三冠 2回
最多勝利 4回
最優秀防御率 7回
最多奪三振 5回
MLBオールスターゲーム選出 11回

○「ロケット」という愛称から分かるとおり,とてつもない球威を持つ160km/h超えのフォーシームを軸に150km/h近いスプリット高速スライダー緩いカーブを織り交ぜ,歴代3位となる通算4672奪三振を奪った。「ツーシーム」や「チェンジアップ」が流行した時代においてもこの投球スタイルを変えることはなかった。制球力も優れており,通算K/BBは2.96通算イニング数4916.2回は歴代16位で,250イニングを20年続ければようやく到達できるという未知の数字である。
Pitching Repertoire (←動画)

○1986年には歴代最多タイとなる一試合20奪三振(←動画)を達成。この年,先発投手としてはア・リーグ史上2人目となるMVP獲得を果たす。

プレースタイルや言動は極めて過激。1986年のMVP獲得時,歴代本塁打数2位の大打者ハンク・アーロンが苦言を呈した際には「まだ彼がプレーしていたらよかったのに。そしたら頭にボールをぶつけてぱっくり割ってどれだけ俺に価値があるか見せてやるのに」と発言。内角球も恐れず投じるため,時には頭部付近にボールが行くこともあり「ヘッド・ハンター」という二つ名も持つ。

○2007年に公開された「ミッチェル・レポート」に名前が挙がるなど,ステロイド使用疑惑がある。偽証罪の裁判では無罪になっているが,未だに嫌疑は晴れておらず,4投手の中で唯一殿堂入りができていないのは大体これが原因。

総評: (良い意味で)古典的な投手であり,能力としての欠点が見当たらない程の投手。強気なスタイルではあるものの,データも緻密に確認するタイプで投球術にもスキがない。
 実績でいえば他を圧倒しているが,やはりステロイド疑惑が彼の評価を阻害する結果となっている。投票される方でも「ステロイドが無くてもクレメンスは大投手」と感じている方もいれば「ステロイド疑惑が出ている時点でアウト」という方もいるだろう。ここが票の割れ目になるのではないだろうか。

②「ビッグ・ユニット」ランディ・ジョンソン

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(25)*4登板 *26.0回 *3勝*0敗 *25奪三振 防御率2.42 WHIP1.15 rWAR0.7
(26)29登板 160.2回 *7勝13敗 130奪三振 防御率4.82 WHIP1.51 rWAR-0.5
(27)33登板 219.2回 14勝11敗 194奪三振 防御率3.65 WHIP1.34 rWAR2.2
(28)33登板 201.1回 13勝10敗 228奪三振 防御率3.98 WHIP1.50 rWAR3.0
(29)31登板 210.1回 12勝14敗 241奪三振 防御率3.98 WHIP1.42 rWAR2.4
(30)35登板 255.1回 19勝*8敗 308奪三振 防御率3.24 WHIP1.11 rWAR6.6
(31)23登板 172.0回 13勝*6敗 204奪三振 防御率3.19 WHIP1.19 rWAR5.5
(32)30登板 204.1回 18勝*2敗 294奪三振 防御率2.48 WHIP1.05 rWAR8.6
(33)14登板 *61.1回 *5勝*0敗 *85奪三振 防御率3.67 WHIP1.19 rWAR1.2
(34)30登板 213.0回 20勝*4敗 291奪三振 防御率2.28 WHIP1.05 rWAR8.0
(35)34登板 244.1回 19勝11敗 329奪三振 防御率3.28 WHIP1.18 rWAR5.7
(36)35登板 271.2回 17勝*9敗 364奪三振 防御率2.48 WHIP1.02 rWAR9.1
(37)35登板 248.2回 19勝*7敗 367奪三振 防御率2.64 WHIP1.12 rWAR8.1
(38)35登板 249.2回 21勝*6敗 372奪三振 防御率2.49 WHIP1.01 rWAR10.1
(39)35登板 260.0回 24勝*5敗 334奪三振 防御率2.32 WHIP1.03 rWAR10.7
(40)18登板 114.0回 *6勝*8敗 125奪三振 防御率4.26 WHIP1.33 rWAR1.6
(41)35登板 245.2回 16勝14敗 290奪三振 防御率2.60 WHIP0.90 rWAR8.4
(42)34登板 225.2回 17勝*8敗 211奪三振 防御率3.79 WHIP1.13 rWAR5.8
(43)33登板 205.0回 17勝11敗 172奪三振 防御率5.00 WHIP1.24 rWAR1.7
(44)10登板 *56.2回 *4勝*3敗 *72奪三振 防御率3.81 WHIP1.15 rWAR1.4
(45)30試合 184.0回 11勝10敗 173奪三振 防御率3.91 WHIP1.24 rWAR3.2
(46)22試合 *96.0回 *8勝*6敗 *86奪三振 防御率4.88 WHIP1.33 rWAR0.3

実働22年 618登板 4135.1回 303勝166敗 4875奪三振 防御率3.29 WHIP1.17 rWAR103.6

アメリカン・リーグ・サイ・ヤング賞 1回
ナショナル・リーグ・サイ・ヤング賞 4回
投手三冠 1回
最多勝利 1回
最優秀防御率 4回
最多奪三振 9回
ワールドシリーズMVP 1回
MLBオールスターゲーム選出 10回

身長208cm・サウスポー・サイドスローという驚異のスペックから最速164km/hのフォーシーム,と2種類のスライダー(高速で横にスライドする球とスラーブのような斜めに変化する球),スプリットを投げ分ける。その体躯からついた愛称が「Big Unit(巨大な物体)」。特筆すべきがその奪三振能力で,通算奪三振数は歴代2位通算奪三振率10.61は歴代1位となっている。
Pitching Repertoire (←動画)

○デビューは25歳と遅めにもかかわらず,34歳から全盛期を迎え,史上最年長40歳7ヶ月での完全試合(←動画)を達成。1998年~2002年の5年間で100勝・1746奪三振を記録。

○20歳代の頃はコントロールが非常に悪く,3年連続で120四球を記録していたが,大投手ノーラン・ライアンのアドバイスにより四球の数が激減。29歳までのK/BBが1.58であったのにも関わらず通算K/BBは3.26まで押し上げた。

○打者のデータ確認などはしていたが,ピンチなどを迎えた際には直感を信じて切り抜けるタイプ。試合前には集中力を研ぎ澄ますため,チームメイトとすら会話をしない職人気質

総評:自分が打者だとすれば一番対戦したくない投手。2015年に97.3%という圧倒的支持率で殿堂入りを果たすなど野球人からの評価も高い。クレメンスと比較すると通算rWARが35.4差も付けられていることが争点になりそうだ。30歳代後半で全盛期を迎えたとはいえ,20歳代前半から一級線の活躍をしていたクレメンスには積算指標でやや及ばない

③「精密機械」グレッグ・マダックス

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(20)*6登板 *31.0回 *2勝*4敗 *20奪三振 防御率5.52 WHIP1.77 rWAR0.0
(21)30登板 155.2回 *6勝14敗 101奪三振 防御率5.61 WHIP1.64 rWAR-0.4
(22)34登板 249.0回 18勝*8敗 140奪三振 防御率3.18 WHIP1.25 rWAR5.2
(23)35登板 238.1回 19勝12敗 135奪三振 防御率2.95 WHIP1.28 rWAR5.1
(24)35登板 237.0回 15勝15敗 144奪三振 防御率3.46 WHIP1.32 rWAR4.0
(25)37登板 263.0回 15勝11敗 198奪三振 防御率3.35 WHIP1.13 rWAR3.5
(26)35登板 268.0回 20勝11敗 199奪三振 防御率2.18 WHIP1.01 rWAR9.1
(27)36登板 267.0回 20勝10敗 197奪三振 防御率2.36 WHIP1.05 rWAR5.8
(28)25登板 202.0回 16勝*6敗 156奪三振 防御率1.56 WHIP0.90 rWAR8.5
(29)28登板 209.2回 19勝*2敗 181奪三振 防御率1.63 WHIP0.81 rWAR9.7
(30)35登板 245.0回 15勝11敗 172奪三振 防御率2.72 WHIP1.03 rWAR7.2
(31)33登板 232.2回 19勝*4敗 177奪三振 防御率2.20 WHIP0.95 rWAR7.8
(32)34登板 251.0回 18勝*9敗 204奪三振 防御率2.22 WHIP0.98 rWAR6.6
(33)33登板 219.1回 19勝*9敗 136奪三振 防御率3.57 WHIP1.34 rWAR3.2
(34)35登板 249.1回 19勝*9敗 190奪三振 防御率3.00 WHIP1.07 rWAR6.6
(35)34登板 233.0回 17勝11敗 173奪三振 防御率3.05 WHIP1.06 rWAR5.2
(36)34登板 199.1回 16勝*6敗 118奪三振 防御率2.62 WHIP1.20 rWAR4.4
(37)36登板 218.1回 16勝11敗 124奪三振 防御率3.96 WHIP1.18 rWAR1.3
(38)33登板 212.2回 16勝11敗 151奪三振 防御率4.02 WHIP1.18 rWAR3.2
(39)35登板 225.0回 13勝15敗 136奪三振 防御率4.24 WHIP1.22 rWAR2.9
(40)34登板 210.0回 15勝14敗 117奪三振 防御率4.20 WHIP1.22 rWAR3.1
(41)34登板 198.0回 14勝11敗 104奪三振 防御率4.14 WHIP1.24 rWAR2.6
(42)33登板 194.0回 *8勝13敗 *98奪三振 防御率4.22 WHIP1.21 rWAR0.5

実働23年 744登板 5008.1回 355勝227敗 3371奪三振 防御率3.16 WHIP1.14 rWAR106.7

ナショナル・リーグ・サイ・ヤング賞 4回
最多勝利 3回
最優秀防御率 4回
ゴールドグラブ賞 18回
MLBオールスターゲーム選出 8回

○直球の球速はキャリアを通じても140km/h中盤程度。だが彼の真骨頂はそこではない。代名詞ともいわれるツーシームサークルチェンジ,その他カーブカットボールカーブ正確無比なコントロールで投じる。その様相から「精密機械」と称されるほど。あえて打者の手元でボールを微妙に変化させることでゴロアウトが非常に多い。
Pitching Repertoire (←動画)

○「17年連続15勝」というアンタッチャブル・レコードをもっており,デビュー年とストライキを除けば全シーズンで30登板以上を果たしている。アトランタ・ブレーブスを在籍11年のうち10度地区優勝を導いていることからも,その圧倒的な安定感がわかるであろう。投球回も歴代13位で4人の中で最多。

○「奪三振は最も過大評価された指標。27個のアウトを27球で取ることが理想」と語るように三振は狙って奪うタイプではない。1997年には76球での完投(←動画)を達成。100球以内での完封は実に13回を数える。通算奪三振数3371は歴代10位ではあるものの,クレメンスやジョンソンとは違い,三振の取れなくなった晩年にはrWARが伸び悩んだ。

○「プロフェッサー(教授)」という愛称がつくほど打者心理の虚を付くピッチングスタイルに長けており,冷静な一面も見えるのだが,実際は闘争本能が非常に激しく,「マッドドッグ(狂犬)」というニックネームも持っている。

総評:既に挙げた2人と比較すると派手さは無いものの,「チームに勝利を導く投手」という観点からすればマダックスが優れているように思う。イニングや勝ち星などの積算系の指標ではクレメンスとは差がないため,票がどのように割れるか予想が付かないところである。ここでも結果を左右するのはクレメンスのステロイド疑惑であろう。

④「地上最強投手」ペドロ・マルティネス

画像4

(21)*2登板 **8.0回 *0勝*1敗 **8奪三振 防御率2.25 WHIP0.88 rWAR0.3
(22)65登板 107.0回 10勝*5敗 119奪三振 防御率2.61 WHIP1.24 rWAR3.0
(23)24登板 144.2回 11勝*5敗 142奪三振 防御率3.42 WHIP1.11 rWAR2.4
(24)30登板 194.2回 14勝10敗 174奪三振 防御率3.51 WHIP1.15 rWAR4.7
(25)33登板 216.2回 13勝10敗 222奪三振 防御率3.70 WHIP1.20 rWAR4.0
(26)31登板 241.1回 17勝*8敗 305奪三振 防御率1.90 WHIP0.93 rWAR9.0
(27)33登板 233.2回 19勝*7敗 251奪三振 防御率2.89 WHIP1.09 rWAR7.3
(28)31登板 213.1回 23勝*4敗 313奪三振 防御率2.07 WHIP0.92 rWAR9.8
(29)29登板 217.0回 18勝*6敗 284奪三振 防御率1.74 WHIP0.74 rWAR11.7
(30)18登板 116.2回 *7勝*3敗 163奪三振 防御率2.39 WHIP0.93 rWAR5.1
(31)30登板 199.1回 20勝*4敗 239奪三振 防御率2.26 WHIP0.92 rWAR6.5
(32)29登板 186.2回 14勝*4敗 206奪三振 防御率2.22 WHIP1.04 rWAR8.0
(33)33登板 217.0回 16勝*9敗 227奪三振 防御率3.90 WHIP1.17 rWAR5.5
(34)31登板 217.0回 15勝*8敗 208奪三振 防御率2.82 WHIP0.95 rWAR7.0
(35)23登板 132.2回 *9勝*8敗 137奪三振 防御率4.48 WHIP1.11 rWAR1.0
(36)*5登板 *28.0回 *3勝*1敗 *32奪三振 防御率2.57 WHIP1.43 rWAR0.6
(37)20登板 109.0回 *5勝*6敗 *87奪三振 防御率5.61 WHIP1.57 rWAR-0.4
(38)*9登板 *44.2回 *5勝*1敗 *37奪三振 防御率3.63 WHIP1.25 rWAR0.7

実働18年 476登板 2827.1回 219勝100敗 3154奪三振 防御率2.93 WHIP1.05 rWAR86.2

最多勝:1回
最優秀防御率:5回
最多奪三振:3回
投手三冠:1回
サイ・ヤング賞:3回
MLBオールスターゲーム選出:6回

○身長180センチという比較的小柄な体格から最速159km/hのフォーシームに加え,高速で変化するパワーカーブサークルチェンジカットボールを抜群のコントロールで操る。それぞれのボールが傑出しており,ピンチを迎えると球速が上がるというクラッチ性能の高さもあった。
Pitching Repertoire (←動画)

○2000年に記録したWHIP0.74は歴代1位通算奪三振率10.04も歴代2位であり,マダックスのような精密なコントロールとクレメンス,ジョンソンのような奪三振能力を併せ持つ。その打者を封じ込める圧倒的な様相から「地上最強投手」との呼び声も高かった。なんとも企画倒れな呼び名。😠

○実働が18年と比較的短く,試合数・イニング・WAR等の積算指標で上記の3人と大きく差が出ている。当然アベレージ系の指標も晩年に成績を下げた3投手に比べれば,マルティネスの方が低くて当たり前という見方もできる。

○プレースタイルはクレメンスと似て極めて過激。「(キャリアを通じて)死球の90パーセントは故意だった」と語るほど内角攻め・ビーンボールを有効活用しており,こちらも「ヘッドハンター」と呼ばれていた。2003年の「フェンウェイパークの乱闘」でヤンキースのドン・ジマーを投げ飛ばしたシーンはあまりにも有名。

総評:全盛期の瞬間最大風力でいえば彼が最も圧倒的な選手だっただろう。特にボストン・レッドソックスを86年ぶりにワールドチャンピオンに輝かせた功績は比べがたい。ただやはり怪我による引退が比較的早期であったため,積算指標の差とアベレージ系指標の有用性が票を集められるかを決めるだろう。

参考

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クレメンスが抜きん出ていることが分かる。またマダックスは最多奪三振を獲得した他3名と比べるとやはり回数で劣る。


画像6

縦軸は積算系指標の傑出度。横軸はアベレージ系の傑出度。右上に近いほど総合的に優れている。計算式は私のお手製なので参考程度にとどめてもらえばと思う。

~Twitter投票~

 さて,4投手の紹介を軽く行わせていただきましたが,いかがだったでしょうか。おそらくそれぞれに「最強」と思わせる資質もあり,それぞれに票を左右する要素も含んでいると思います。私も「誰に入れるか?」と聞かれたら悩んでしまいます。

 投票は以下のフォームからお願いします。

(上記アカウントの固定ツイートから行くと一番いいかもしれません)

なるべく多くの野球ファンの方に投票していただきたいのでよければリツイートなどで周知していただければ幸いです。


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