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新しい革を仕入れました。お財布オーダーの様子。

ども!BRUSHの長谷川です。

クリスマス〜お正月に頂いたオーダーも制作がひと段落し、久々のnoteです。

工房に新たな革が届きました。

ヤー!!

パワー!!

トーマスウェア&サンズ社のブライドルレザー、ワインレッドです。
ブライドルレザーは当工房の定番ですが、ワインは今までありませんでした。

トーマスウェア&サンズ社は1840年に創業されたイギリスの伝統あるタンナー(皮革製造会社)
同社のブライドルレザーは繊維の密度が高く、植物タンニンで時間をかけて鞣された革に職人が手作業でワックスを塗りこんで仕上げております。
見た目の特徴としてはやはりブルームと呼ばれるロウと、顔料を含んだ仕上げのため色むらがなく表面が均一で美しいです。
染料仕上げの革よりも若干傷や汚れに強いのも良いところですね。

ブルームが美しい。

ブルームを落としてみました。
しっぶ〜いワインレッドです。
鮮やかな赤!といった感じではなく、非常に深い色味で落ち着いているのがトーマスウェア社ブライドルレザーの特徴です。
上質な大人の紳士革小物にピッタリです。

まぁなぜ急にこちらの革を仕入れたかと言いますと、お客様からのオーダーを頂きました。
こちらのワインレッドを使い、「フラグメントケースを好みの形にカスタマイズして欲しい」とのことです。

ベースとなるフラグメントケース。こちらは当工房の定番商品です。
今回お客様のご要望は、こちらの形をベースに、ファスナーをL字にし、フリーポケットを2つ追加する事。

早速お客様とメールでご相談しながら簡単なレイアウトを作成。

※お名前などが記されているため一部ボカしております。

私は正直、絵が描けません。
稚拙な絵で毎度恥ずかしいのですが、簡単なレイアウトくらいなら流石に書けるのでイメージ共有のためにお送りすることがあります。
あとは構造の似たお財布の画像をお送りしたりしてできる限りお客様が完成のイメージが湧くように頑張ってます。

今回は縦横の寸法も予めお客様と決めておき、このような感じでok頂きました。
元のフラグメントケースは横が130mmですが、カードポケットを1つ減らして少し短くしております。
ベースの形ありきのカスタムオーダーですので細部のディテール(例えばポケットの形状)などは元のフラグメントケースを継承致します。

製図をつくりーの。
ラフな図ですが、型紙で細部を詰めるので問題ありません。
やり手の職人さんはCADを使うようですが、私はCADって美味しいの?状態ですのでアナログです。

型紙をつくりーの。本当はもう少しあるのですが撮り忘れました。笑
この型紙作成の作業は切り出しが1mmでもズレると仕上がりに影響します。
ステッチの始点と終点なども型紙にマークし、予め決めておきます。

ヤー!!

まずは型紙から革で試作品を作り、問題がないかチェックです。
試作なのでコバ処理は行わず、縫製はザックリと行います。

今回は型紙を全て1から作る大幅なカスタムでしたので、1発勝負は無理だなと思い一度試作品を作ってブラッシュアップしてから本番に挑みました。

お客様にもご依頼を受けた際に予めその旨をお伝えし、型紙や試作にかかる料金をお願いしております。

床革


これは余談ですが、多くの職人さんは試作品を作る際は「床革」という表皮のない革、本来は破棄する革を使うのですが、私は表皮(銀面)のある革を使っております。
「贅沢だ!」と思われてしまうかもしれませんが、床革は表皮がないため柔らかく、完成した際のお財布の硬さや使いやすさなどが把握しにくいためです。

それでも牛の命を頂くものですから、初めは厚紙で模型を作るなど、できるだけ最小限の消費になるよう努めております。
試作品は今後のオーダーの参考のためにできるだけ保管しておきます。

そんな経緯を経て完成したのがこちら。
突然出来上がりましたね。
工程を撮りながら作ると集中力が切れるため…すみません。
ワインレッドかっこよぎます。

ご要望のL字ファスナー

コバは黒染めの切り目本磨き仕上げです。
染料のためコバがぺろーんと剥がれることはありません。

かっこうぃです。ファスナーの引き手も厚めのブライドルで制作。
ファスナーの色もお客様のご指定で、焦茶の物を使いました。品種はYKKエクセラです。
色々とネットでお財布の配色をお調べ下さり、頂いた画像から似た色を提案させて頂きました。

ワインレッド×焦茶は間違いないですね。
とても渋いです。

内装です。
フリーポケットを1つ追加。マチも付いており、ファスナーをL字にした事で大きく開きます。

革はマルゴーレザーのブラウン。
合計で3色の色を使っておりますが、全てブラウン系、暖色のため上手く纏まっております。
開いた際のコントラストが綺麗ですね。

89mm×124mmの寸法もほぼクリア。
寸法はあくまで目安としてお伝えしておりますが今回はピッタリでした。

背面。
ブルームが最高です。
ブライドルレザーは制作過程でブルームが何割か落ちてしまいますが、なるべく触れないように慎重に作業を進めます。

男性のお客様は特にブルームがお好きな方が多く、たくさん残っていると喜んで頂けます笑
それでもどのみちご使用頂くと落ちてしまいますが…ブルームとは雪のように儚いものです。(は?)

最後にあまり意味のないショット。
なかなか良い仕上がりでお送りできました。

とても使いやすそうです。大きすぎず小さすぎず、ちょうど良いサイズ感。
お客様にもご満足頂けたようで、末長くお使い頂けるよう願っております。ありがとうございました。

通常、非定番の革は特注に伴う追加料金を頂いておりますが(革は小ロットで仕入れると割増になるため)今回のトーマスウェア、ワインレッドは一般販売も見越して追加料金を頂かず、1枚まるまる仕入れましたので、まだまだ余っております。

「同じ物を作って欲しい」や、ワインレッドを使った他商品のオーダーも可能ですので、まずはストアのお問い合わせやSNSのDMなどからお気軽にご相談下さい。

オンラインストア、各SNSへのリンクはこちら。
https://lit.link/brush


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